《【書籍化】オタク同僚と偽裝結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど!》オタク同僚と偽裝結婚した結果、娘が生まれて毎日がメッチャ楽しいんだけど!
「絶対にパパとは行かない!!」
「心海(ここみ)! 服著替えなさい。どうしてずっとパジャマのままなの? 洗濯できないんだけど」
私は部屋中に散らばっている服をかき集めながら移している。
どうしてんな場所に靴下や、稚園で使っているハンカチが落ちているのか分からない。
この服は著たのか、著ていないのかも分からない。
私の服を引っ張り出してコスプレをするので、冬のコートまで転がっている。
心海は私の前に仁王立ちして言う。
「心海はパパとは行かないって言ってるの、ママ聞いてる?」
「とにかくいで!」
私がぶと隆太さんが心海の服を後ろから摑んで強引にがせる。
「はいー、いでー」
「パパ!! 変態!! パパは変態だって先生に言う!!」
「はい、パス」
隆太さんが渡してくれた服をけ取って洗濯機に投げ込む。
時間を確認すると、洗濯機を回す時間はあるが干す時間は無さそうだ。
今は無理。帰ってきたらやる。
簞笥前では下著姿の心海がコロコロ転がりながら隆太さんが服を出すのを待っている。
「心海、どうしてこのピンクのスカート履いて行かないの? お気にりだったのに」
「このスカート、キラキラしたラメが教室に沢山落ちるの。それでタクマがいじめてくるの」
「ああ……なるほど……安い服のラメは落ちるのか……」
隆太さんは心海の服の棚を見ながら考え込んでいる。
私に服を買い與えていたは、娘の心海に移して、毎月新宿に繰り出して安い服を買ってきている。
H&Mに二人して3時間居るのだから驚く。
私は正直飽きて本屋に行ってしまう。
甘やかしすぎても良いことは無いと思うけど、心海は可いから何でも似合ってしまう……と思う私も親ばかだ。
「この貓さんスカートは?」
「それでいい! じゃあわかった。パパと行くから、お山のコースにしてくれる?」
「お、いいよ。お山一周コースにしようか」
「わーい! じゃあ行く。お迎えはママ?」
「ママだよ」
「じゃあ行く!」
切り替えが早い心海は稚園の園服も著ないで外に飛び出していく。
私は慌てて隆太さんに通園バッグと帽子と園服を渡す。
隆太さんは私の頬に軽くキスをする。
「じゃあ會社で」
「お晝一緒に食べられる?」
「大丈夫。じゃあ行ってきます」
「気を付けてー!」
外で心海がヘルメットを自分でかぶっている。
年長にもなると自分でしてくれるから楽だ。
隆太さんは子乗せ電自転車に心海をのせて家を出ていった。
私は小さな窓から二人を見送る。
心海が通っている稚園は、山を下って反対側にあるんだけど、山をぐるりと移していくことも出來る。
ただ坂も多いし、距離も長いし、とにかく大変なコースだ。
私は頼まれても絶対に行かない! とても疲れる。
でも景が良い山の頂上や、急な下り坂があり、心海曰く「ジェットコースターより面白い」らしい。
まあ人力のアトラクションだよね……。
隆太さんは頼まれるとたまにグルリと回って登園させてくれる。
お迎えは9割私なので、心海とゆっくり過ごせるのも嬉しいのだろう。
私はしっかり育休を頂き、自宅で隆太さんが復帰用に準備してくれた仕事をした。
そして心海が年長になったのと同時に會社に時短で復帰した。
もちろん絵も書いているが、ここ數年は通販のみだ。
心海が最近私のパソコンに近づくので、それが怖い。
通っているのは認定こども園なので17時まで預かってもらえるのが助かる。
私も隆太さんも出世して、部下が育って楽になったのも幸いして、なんとか二人だけでやっている。
お晝休み、會社近くのお店で隆太さんに會った。
朝バタバタしているし、隆太さんは仕事で週の半分は夜一緒に食事をとれないので、二人とも會社にいる時は外で一緒にご飯するようにしている。
それに隆太さんとゆっくり二人で話すのは楽しい。
隆太さんは食事をとりながら、スマホを取り出した。
「園庭に、もう短冊付きの笹が出てたよ、見た?」
「見てない。年長から自分で書くんでしょ? 文字ちゃんと書けてた? 心海」
心海はの子らしくお手紙を書くのが好きだが、文字は怪しい。
私に似たのか、絵のほうが上手なくらいだ。
隆太さんは寫真を自分だけ見て、そわそわしながら言った。
「今見る? 園庭行って自分で見る? 俺はめっちゃ笑ったよ」
「見せて見せて!」
私は隆太さんのスマホを覗き込む。
そこには心海の文字で
『にくになりたい』
と書いてあった。
私は頭を抱えた。
「に自らなっちゃうかーー」
「そりゃ咲月さんに似たんだよ。二人してばっかり食べてるから」
「隆太さんが料理ばっかり作るからでしょー?」
隆太さんの寫真フォルダは全て心海で埋まっている。
可くて可くて仕方ないのだと見ていて分かる。
だったらさあ……。
「……隆太さん、そろそろこのスマホの壁紙変えない?」
「いや、これは一生これかな。もう他のにすると慣れなくて無理。落ち著かない」
電源をれたトップの壁紙の寫真は、私のウエディングドレス姿のままだ。
隆太さん曰く「この寫真にしてから、大きな仕事が2つ決まって昇進したから、変えたくない」らしい。
でも7年近く前の嫁の寫真がトップって……さすがにもういいでしょ!
あの頃に比べて太ったし、恥ずかしいんだけど!
「あ、分かった。じゃあ今度、スタジオで3人で寫真撮りません? 卒園祝いとかに。それをトップにしませんか?」
「3人……? 俺が邪魔だな。というか、これはもうお守りみたいなものだから諦めてほしい。績落ちたら困る」
「えーーー?」
でも私を大切に思ってくれるのは嬉しい。
妊娠中も、出産後も、隆太さんは私を一番大切にしてくれた。
環境が変わり、話し合いも増えたけど、お互いの立場を尊重してパパとママを出來ていると思う。
この人だから、なんとかやってこれた。
「隆太さん」
「どうしました? 咲月さん」
私は機の上に置かれた隆太さんの手にれた。
隆太さんはほほ笑んで、私の手を優しく握り返してくれる。
「大好きですよ」
「俺もです。本當に大好きです」
ずっとずっと好きでいてくれて、大切にしてくれて、ありがとう。
これからもよろしくお願いします。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
楽しんで頂けたか気になるので、評価して頂けると嬉しいです。想もお待ちしております。
この話が電撃文庫の新文蕓さんから6/17に発売されました。
WEB版とは違い、たくさん書き下ろしてますので、ぜひチェックしてください。
またコミカライズ企畫も進行中です!
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