《【WEB版】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った馴染が後悔してるけどもう遅い【書籍版好評発売中!】》29話 超人気Vtuber絵師がイラスト擔當になった
ある日のこと。
僕は編集さんと打ち合わせするために、編集部へとやってきていた。
編集部がある建の、會議室にて。
「先生、原稿おつかれさまでしたっ! これで、【僕心】1巻の作業は終了ですっ」
擔當編集のお姉さん佐久平(さくだいら) 芽依(めい)さんが笑顔で言う。
僕心。僕の心臓を捧げよ、は僕の2シリーズ目の本になる。
「でも……の速さでしたね。著者校まで早いなんて」
著者校とは、校閲(文字の誤字字をチェックするプロの人)から返ってきた、修正原稿を、著者自らが修正する作業のことだ。
「まさか350ページある著者校を……たった1時間くらいで終わらせるなんて……」
今日、僕は別の打ち合わせのために、芽依さんに會いに來た。
そのときちょうど著者校の原稿が屆いていたから、芽依さんからもらったんだ。
で、し時間もあったし、編集部で作業したって訳。
「改めてだけど先生、おかしいわ……」
「え、おかしいって……遅すぎるってことですか?」
「いや、早すぎるって事よ!」
芽依さんが怒ったように言う。
「他の先生たちは、普通著者校ってどんだけ頑張っても1週間は最低でもかかるのよ。それを1時間足らずで終わらせたんだから、すごいことよ」
「へえ……そんなもんですか」
他の作家さんが作業にどれくらい時間掛かるのかなんて、わからないからね。
作家って基本、作業は一人でやるものだし。
「まあおかしいっていうなら、もう5巻の原稿まで全部書き終わってる先生の速さも異常だけどね……化け過ぎる……さすが神作家」
アリッサとの北海道旅行があったのが先週。
1週間もあれば2冊分くらい、え、書けるよね、普通?
「あ、原稿って言えばそうだ。デジマス最新刊の原稿も、書き終わってありますよ」
「ちょ、ちょっとタンマ! 先生……とりあえずタンマ!」
「? どうしたんです?」
はぁ~……と芽依さんが疲れたように吐息をつく。
「デジマス最新刊って……え、いつ書いたんですか?」
「? 僕心書いてるの合間に。ほら、同じ話書いてるととどうしても行き詰まるじゃないですか。だから気晴らし的に書いてたんですけど……」
芽依さんは唖然とした表で僕を見ていた。
「え、僕何かやっちゃいました?」
「いやどこの異世界チート主人公よあなた!」
芽依さんが聲を荒らげて言う。
「もう凄すぎて驚き疲れたよ! このリアルチート主人公め!」
「な、何に驚いてるんです?」
「全部にだよ、全部にー!」
ややあって。
「で、ようやく本題にるね。今日來てもらったのは、イラストレーターさんについて」
「そっか……僕心のイラスト書いてもらう人、決めなきゃですもんね」
僕が主に書いているのは、ライトノベルと呼ばれるジャンルの本だ。
一般にラノベはイラストが重要とされている。
イラストの出來が1巻の売り上げを左右する、なんて言われるくらい。
「とりあえず希ある? 先生クラスだったら、言えば誰でも起用できるわよ」
「誰でもって……大げさな」
「大げさなものですか。先生は知らぬ者がいない神作家。先生と組んで仕事したいイラストレーターさんめちゃくちゃいるから」
……うーん、そんなに凄い作者だろうか僕って。
世間ではハリウッドで実寫化される原作を書いた作家だっているし。
アニメ化される作品をバンバン手がけている人だってたくさん。
僕なんてまだまだ、ぺーぺー作家だ。
「で、希は?」
「特にありません。芽依さんにお任せします」
「ん。そっか。……ところで、相談なんだけど。実はイラストレーターの候補、1人いるのよ」
へぇ、だれだろう。
まあでも、夏前のこの時期は、みんな夏コミの準備しているからね。
有名なイラストレーターさんは忙しくてけてくれないだろうな。
「先生、【みさやまこう】さんって知ってる?」
「そりゃ、知ってますよ。Vtuberで、イラストレーターさんやってる人ですよね」
Vtuberとは、畫配信サイトで、顔出しせず、モーションキャプチャーを使って二次元の絵をかして配信を行っている人たちのことだ。
【タズナオイ】さんや【月兎人】さんなんかが有名だよね。
みさやまこうさんも、Vtuberの一人だ。
可らしい聲と超絶畫力の持ち主で、絶大な人気を誇る。
「OurTUBEチャンネル登録者數が800萬人の超凄いVtuberさんがどうかしたんですか?」
「先生が反対しないなら、その人で決定しようかなって思ってるの」
「………………は?」
い、今……なんて……?
「聞き間違い……ですよね。今、芽依さん……僕心のイラストを、超人気イラストレーターにしてVtuberの、みさやまこうさんに頼むって?」
「うん、あってるよ。そう言った」
「え、え、ええええええええ!?」
なんかとんでもないことになってるぅう!
「いやあの……芽依さん、冗談ですよね? みさやまこうさんって言えば、イラスト界でも超有名ですし、日本のトップOurTUBERですよ?」
チャンネル登録者數が、日本でナンバー1位なのは、【ヒロユキン】さんで900萬人。
みさやまこうさんは登録者800萬人。
ナンバーワンに比肩するレベルの、ものすごい數字を持つ配信者。
Vtuber界では言わずもがなぶっちぎりのNo.1。
そして彼の凄いところは、絵を描く配信だけで、この數字を取ったということ。
人気も実力もある絵師さんでもあるのだ。
「まあでも先生の作品は、それに見合うだけの価値がある凄い作品だからね」
うう……やばい……また張でお腹痛くなってきた……。
「というか、よくそんな凄い人のスケジュール抑えられましたね」
「うん、というか、向こうから是非にって熱烈なラブコールが來たんだ」
「イラストレーターさん本人から?」
アリッサのときと似てるな。
アニメ化が決まったときに曲を売り込んできたんだっけ。
「そうなのよ。ほら見て、完したキャラの絵だけじゃなくて、表紙のイラストまで送ってきたのよ」
芽依さんはタブレットPCを作して、僕に手渡してくる。
表示されているJPEGの畫像を見て……絶句した。
「す、すげえ……」
言葉を失うとはこのことだろうか。
超絶麗なイラストが、そこにはあった。
「これ……ギャラ発生してないんですよね?」
「そうなの。まだ仕事として依頼してないのに、ここまでハイクオリティな表紙と、キャラ絵を送ってきてさ。もうびっくり」
芽依さんが今度は、僕心のキャラの立ち絵を見せてくる。
……これもまた、驚いた。
「す、すごい……僕の思い描いたのと、同じ絵だ」
頭の中でイメージしたものが、絵として完璧に再現されていた。
それも、の子はちょっとエッチに、男の子は格好よく描かれている。
「……あの、再度確認するんですけど、まだお金もらってないのにこれらを送ってきたんですか?」
「イエスよ先生。普通ありえないわ、超人気イラストレーター自ら無償で絵を描いて売り込んでくるなんて、前代未聞よ」
通常イラストレーターさんを決めるとき……。
まず編集が、向こうに仕事の依頼をする。
スケジュールとギャランティの相談をしてから、表紙やキャラクターラフに取りかかってもらうのが普通だ。
でも……このみさやま先生は、その過程すっとばして、この見事な絵を描いてくれたのだ。
「下手したら斷られて、ギャラが発生しない可能があったのに……どうして……?」
「そんなの答えは一つでしょ。先生の神作品が、好きで好きで仕方なかったのよ」
芽依さんが指を立てて言う。
「これは持論なんだけど、人をかす方法って、大きく二つあると思うの。一つは當然お金ね」
「もう一つは?」
「よ、。何かに対する大きすぎるは、行にうつるもの。二次創作とかそうでしょ?」
まあたしかに、二次創作ってキャラを機にしてるもんね。
「ようするに、この超凄腕絵師さまは、先生の神作品【僕心】にいたくして、ぜひとも仕事させてくださいって頼んできたわけ」
「って……どうしてわかるんです?」
「メールに書いてあったのよ。すっごい長文のメール。容は見せられないけど……すごかったわ。作品へのが」
芽依さんが焦った様子で言う。
結構ヤバいじだったのだろう……。
「で、どうする? 出版社は、みさやまこう先生に任せようってなってるけど。先生が嫌なら斷って全然オッケーだよ」
正直、ここまで超凄い絵師さんが、絵を描いてくれるなんて思っても居なかった……。
僕ごときにこんな凄い人に書いてもらうなんて……悪いなぁ……。
けど……。
完した僕心の絵は、キャラクターたちは……完璧だった。
「是非とも……お願いしたいです」
この人になら任せられると、絵を見てそう確信したから、頼むことにした。
「ん。おっけー。じゃ、みさやまこう先生にオッケーの返事しておくね」
かくして、新シリーズは、超人気Vtuberであり神絵師が、絵を描いてくれることになったのだった。
けど、みさやまこうさんか……。
どんな人なんだろう? 會ってみたい気もあるけど……。
まあ、絵師と作家なんて、顔會わせる機會なんてないからね。
しかも向こうは大人気配信者で絵師、忙しくて會う暇もないだろうし。
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