《【WEB版】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った馴染が後悔してるけどもう遅い【書籍版好評発売中!】》41話 人気聲優のお家で夕飯ご馳走になる

雨宿りのため、僕はライバル作家の白馬(はくば)先生のお家にやってきていた。

そこで遭遇したのは、僕の友達、大人気聲優の駒ヶ(こまがね) 由梨恵(ゆりえ)だった。

シャワーを浴びてバスルームを後にする。

リビングへ行くと、ソファには由梨恵が座っていた。

「ゆ、勇太くん……お湯加減ど、どうだった?」

由梨恵はシャツにスカートという、ラフな格好だ。

濡れた黒髪がしい。

……そして、耳が真っ赤だった。

「う、うん……良かったよ」

「そ、そっか……」

「「…………」」

き、気まずい!

風呂にろうとしたら、由梨恵のをバッチリ見てしまったんだから仕方ない。

「コーヒーがったよ君たち」

イケメンラノベ作家の白馬先生が、お盆を持ってリビングへとやってきた。

「ありがとうございます」

僕は先生からカップをけ取る。

一口啜る。メチャクチャ味しい。

なんか苦みが全くない。

「おや? ユリ。どうしたんだい? そんな格好で」

「ユリ?」

ああ、由梨恵の稱か。

「な、何かおかしいかしら、兄さん?」

由梨恵が目を泳がせながら言う。

「普段君は風呂上がりパンツ一丁じゃないか」

「え、ええー!?」

パンツ一枚だって!?

「ち、違うよ! 兄さんが噓言ってるだけだから!」

由梨恵が顔を真っ赤にして首を振る。

「ふむ? いつも君は風呂上がり、キャミソールにパンツ一枚はザラだと思うが?」

「勇太くんの前で変なこと言わないでよ! もう! 兄さんのばかばかばか!」

は立ち上がると、べしべしと先生の肩を叩く。

「ふむ? ふふん……そうか。ふははは! 全て理解したぞ!」

ニッ……! と白馬先生が白い歯を輝かせる。

「君は勇太くんのことが好(す)」「わぁーーーーーー! 兄さんのばかー!」

外だと優等生チックな彼が、お兄さんの前では……なんというか、普通の妹っぽかった。

本當に兄妹なんだなぁ~……。

「って、あれ? だとすると……先生、聞きたいことがあるんですけど」

「何かね我がライバルよ」

白馬先生が僕の隣に座って長い足を組む。

「前に編集部で、先生が由梨恵と會ったとき、【初めまして】って言ってませんでした?」

僕心発売前のこと。

アニメPVの打ち合わせに、由梨恵と僕は一緒に編集部にいったことがあった。

そして彼は僕にあのひと誰? と聞いてきたし、先生は由梨恵に初対面のように振る舞っていた。

「ふーーーはっは! 鋭い質問だ我がライバルよ! さすが神作家……察力にも優れるのだね!」

しゅばっ! と先生が足を組み替える。

「いちいち作が大げさなのよ、恥ずかしいったらありゃしない……」

はぁ、と由梨恵がため息をつく。

ちなみに白馬兄妹は、僕を挾んでソファに座っている。

ふわりと彼の髪のから、シャンプーの甘い匂いがした。

「答えは簡単さ。ユリがね、外では他人のフリをしろと私に常々言ってるのだよ」

「他人のフリ? どうして?」

「兄さん、外でもこんな調子でしょ? いやなの、兄妹って思われるのが。恥ずかしい……」

はぁ~……と由梨恵がため息をつく。

「フハハハ! 何を恥ずかしがることがある? モデルで曹司、そして大ヒット作AMOの作者こと、この白馬 王子の妹であると堂々と自慢しまくれば良い!」

「兄さんのそーゆーとこがほんと嫌なのー!」

なるほど、そういう理由があって他人のフリしてたんだ。

「ごめんね勇太くん。別に隠してたわけじゃなくて……」

「気持ちはわかるよ。僕も父さんと時々他人のフリしたいときあるし。特に同級生がその場にいるときは」

主にオタク丸出しでんでいるときとか。

「そう! そうなの! わかってくれるこの気持ちっ!」

由梨恵が興気味に手を握ってくる。

ち、近い……! 近すぎる……!

お風呂上がりで艶々な髪のとか、卵のようにぷにっとした

それに、薄著しているから、谷間からチラッと見える大きなとか……。

「「ご、ごめん……!」」

僕らは赤くなって、距離を取る。

白馬先生は立ち上がると、僕を見下ろして言う。

「せっかくだから晩ご飯を食べていきたまえ」

「え、悪いですよ! ただでさえお風呂と著替えもらったのに!」

「なに、我々も今から食事なのだ。2人分作るのも3人分作るのも変わらない」

それに、と白馬先生が笑顔で言う。

「ユリがいつも君に世話になっているからね。そのお禮にごちそうさせてくれたまえ」

せっかく作ってくれるって言うのに、斷るのは悪いよね。

「じゃあ、お願いします」

「うむ。ではしばし待っていたまえ」

「「ごちそうさまでした!」」

リビングの大きなテーブルを、僕らは囲っている。

「先生、味しかったです! 料理上手ですねー!」

夕飯に振る舞われた料理は、とてつもなく豪華でかつ、手の込んだものだった。

どれも味しくて、つい食べ過ぎてしまった。

「ありがとう、我がライバルよ。ユリはいつも作っても何も言ってくれないから嬉しいよ」

「な、何も言ってないってことはないじゃない」

「そうだな。『にんじんきらーい』『ピーマンいれるなって言ったのにー!』とか文句はいつも言ってるな」

「だから……! 余計なこと言わないでよ兄さんー!」

どうやら僕の知らない由梨恵の一面が結構あるらしい。

「由梨恵ってもっと大人っぽい人かと思ってたけど」

「ううー……恥ずかしい……ゲンメツした?」

「まさか。可いなって思ったよ」

「か、かわ……可いだなんて……♡ も、もぉ~……からかわないでよぉ~……♡」

ふにゃふにゃ、と由梨恵が表をとろかせる。

「ふふ、どうやらユリは、我がライバルの前では無理して大人ぶってるようだね」

「別に無理してないもんっ!」

「まあ仕方ない。よく見られたいという心理は理解できる。特に好きな男の前では……」

「わー! ばかばか! 兄さんのばかー!」

耳まで真っ赤にして由梨恵がぶ。

「可いだろう、我が妹は」

「ええ、とっても」

「も、もー……♡ やめてよぉ~♡ 勇太くんまで~♡ いじわるしないでよぉ~♡」

「その割に乙の顔をしているぞマイシスター。さて……食後のデザートを取ってこよう」

白馬先生は立ち上がって、キッチンへとむかう。

二人きりになる僕ら。

さっきよりも張はほぐれているので、々聞いてみる。

「えっと……由梨恵は白馬先生と……ふたりで住んでるの?」

「そう。元々実家に住んでたんだけど、今は兄さんのこのマンションに厄介になってるんだ」

「へえー……というか、今気づいたけど……由梨恵って白馬製薬の、社長令嬢なんだね……」

白馬製薬は日本でトップの製薬會社だ。

先生はそこの令息なんだから、妹の由梨恵も社長の娘って事になる。

「す、すごい……」

「あ、あはは……ありがとう」

なんだろう、由梨恵はあんまり、嬉しそうじゃなかった。

困ったように眉を八の字にしながら言う。

「でも……できればあんまり、勇太くんにはそういう目で見てしくないかな」

「普通に接してしいって事?」

「そう。社長令嬢の【白馬 由梨恵】じゃなくて、あなたの友達【駒ヶ(こまがね) 由梨恵】として」

違いがわからないけど……まあ本人がやめてというのなら、やめておこう。

「わかったよ。由梨恵」

「ありがと♡ 嬉し♡」

ニコニコと笑いながら由梨恵が言う。

いつも外で見せる大人っぽさはなりを潛め、普通の同年代のの子みたいだった。

「僕もそっちの方が可くていいと思うよ」

「も、もぉー♡ 可いって言うの止~♡」

またけた表で由梨恵が言う。

「でもみんなから言われ慣れてるんじゃないの? 可いって」

「可いって言われただけでうれしくなっちゃうのは、勇太くんだけだよ」

「え、っと……どうも」

「う、うん……」

また気まずくなってしまう!

先生はまだか!

「えっと……あ! 由梨恵、スイッチもってるんだね」

テレビの前に、最新據え置きゲーム機が置いてあった。

「えっ? す、すいっち……? 何の? エアコンの?」

と、そのときだった。

「マイシスター。スイッチとはゲーム機のことだよ」

白馬先生がデザートのプリンを持って、僕らの元へやってきた。

「へ、へえー……そんな名前だったんだ」

「ということは、白馬先生のものなんですか?」

「ああ。ゲームを題材にしたラノベを書いてるからね。當然、ゲームもたしなむよ」

「たしなむって……深夜遅くまでピコピコやってるくせに」

ピコピコって。

いな。

「我がライバルもスイッチをやるのかい? もしかして【モン狩】やってる?」

「はい! やってます!」

「おお! では今度一緒に狩へ行こうではないか!」

「いいですねー!」

一方で由梨恵は首をかしげる。

「ね、ねえ【モン狩】って?」

「ゲームのこと。【モンスター狩人】。先生は武何を使います?」

「弓を使うよ。高貴なる私にぴったりの武さ」

「弓! いいですね、僕はスラッシュアックス使ってます!」

「おお、玄人好みな武を使うね! さすが我がライバル!」

僕はモン狩の話題で盛り上がる。

すると由梨恵が不機嫌そうに頬を膨らませると、僕のプリンを奪う。

「あっ! それ僕の……」

「ふんだ、友達をほっといて、友達のお兄さんとおしゃべりする人にはあげないもん」

ぱくぱく、と由梨恵がプリンを食べてしまう。

「はは、すまないね。由梨恵はまだ子供でね。私の分をあげよう」

「お兄ちゃんにもあげないもん! 私の勇太くんと仲良くおしゃべりしてっ!」

「ふふっ……私の勇太くんね」

「~~~~~~! あ、いやえっとうう……」

とまあ、そんな風に楽しくおしゃべりした。

ややあって。

夜、僕はマンションのエントランスにいた。

雨がやんだので帰ることになったのだ。

「泊まっていってもよかったのだよ?」

「「いや……それはさすがに……」」

由梨恵も僕も顔を赤くしてしまう。

「それもそうか。しかしまた遊びに來たまえよ」

「いいんですか?」

「ああ、もちろんだとも。その方がマイシスターも喜ぶだろうし、ね?」

「うぇ? う、うん……まあ……」

うつむいてもじもじする由梨恵。

フッ……と白馬先生が微笑む。

「このように我が妹はまだ、子供だ。君に迷をかけることも多々あるだろう。けどどうか、これからも仲良くしてやってくれ」

「もちろんです!」

由梨恵は花が咲いたような笑みを浮かべる。

「……ほら、お別れのチューくらいしたらどうだね?」

「……にゃっ! 何をバカなこと言ってるのっ?」

「……やれやれ。先が思いやられる。ま、この兄に任せたまえ。君たちをサポートしよう」

「……よ、余計なお節介といいたいけどナイスよ兄さん」

ぼそぼそ、と兄妹が楽しそうに話している。

そこにちょうど、先生が呼んだタクシーがくる。

「ではさらばだ我がライバルよ! ほらユリ」

とん、と白馬先生が由梨恵の背中を押す。

「えっと……今日は楽しかった。また……遊びに來てね」

「うん! もちろん!」

ぱぁ……! と由梨恵が笑顔になる。

し迷ったそぶりを見せた後……。

「え、えいっ」

チュッ……♡

「はえ……?」

由梨恵が僕の頬に、き、キスを……した。

「おやすみの、チューだから」

「あ、う、うん……おやすみ」

僕は呆然としながら、タクシーに乗って、帰路についたのだった。

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