《【WEB版】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った馴染が後悔してるけどもう遅い【書籍版好評発売中!】》43話 神絵師のプロデュースでVtuberデビュー

期末テストを終えて、無事1學期が終了した。

夏休み初日の晝下がり。

僕の家に、神絵師【みさやまこう】ちゃんが遊びに來た。

「こ、こんに、ちは……」

ぱっと見10才くらいのだ。

さらさらの銀髪に翡翠の瞳と白い

儚い雰囲気をまとう彼は、雪の妖かと思うほどだ。

「うっひょぉおおおおおお! 【こうちゃま】だぁあああああああ!」

玄関先に駆けつけてきたのは、僕の父さん。

重度のオタクである父さんは、神絵師の登場に大興だ。

「ひぅ……!」

こうちゃんは父さんを見てびくんっと直させる。

さっ……! と僕の背後に隠れてしまった。

「父さん、こうちゃんが怯えてるよ。抑えて抑えて」

「いや無理だよぉ! 超絶人気の神絵師でありVtuberのこうちゃまが目の前に居るんだよぉ!?」

「前も僕心のPVが完したときに會ってるような気がするんだけど……」

「あのときは母さんが邪魔してリアクション取れなかっただけさ!」

簀巻きにされてたもんね。

「また騒ぐと母さんが怒るよ?」

「ははっ! だいじょうぶ! 今母さんはお買い中さ!」

ちなみになぜ平日の晝間に父さんが居るかというと、リモートワークをしているからだ。

新しい出版社を立ち上げることになったけど、まだオフィスが借りられてないんだって。

だからそれまでは家で作業してるんだとさ。

「鬼の居ぬ間になんとやら! こうちゃま! サインを是非……!」

とそのときだった。

「うふふ♡ 誰が……鬼ですって♡」

ぬぅ……と父さんの背後に、母さんが現れる。

いつも通りの笑顔を浮かべてるんだけど……。

「か、母さん……後ろに鬼が見えるよ……?」

にこー♡ と母さんが笑う。

「ハッ! こ、これはお仕置きの流れ! 間ガード!」

きゅっ、と父さんが両手で間を押さえてになる。

「わはは! 二度同じ手は食らわないんだよぉ! ……う゛っ」

ドサッ……!

「「え……?」」

僕もこうちゃんも困する。

父さんがいきなり前のめりになって倒れたのだ。

「あらあら、あなた、お腹の部分ががら空きですよぉ……?」

母さんが貫手を作り微笑んでいる。

凄まじい速さで一撃をミゾオチにれたのだろう。

「……母さん、ぼく……いちおう……大黒柱なんですけど……?」

「息子の友達を怯えさせて何が大黒柱(笑)ですか」

母さんがこうちゃんを見て笑う。

「いらっしゃい♡ お外暑かったでしょう、麥茶もっていくから、ゆーちゃんのお部屋で待っててくださいね♡」

「あ、は、はい……!」

ブンブン! とこうちゃんが何度もうなずく。

母さんは三和土(たたき)に上がると「邪魔♡」といって倒れ伏す父さんを踏み越えていった。

「と、とりあえず……僕の部屋行こうか」

「う、うん……」

僕は階段を上って、2階、自分の部屋にむかう。

『かみにーさまのおかあさん、強すぎる……! かぁっこいー! きっとオーラをにつけた強化系能力者だ……!』

こうちゃんが神妙な顔つきで、ロシア語で何かをつぶやいている。

たぶん母さんのことだろう。

あれだけバイオレンスな現場を見たんだ。

きっとこうちゃん、母さんに怯えているに違いない。

『もしくは亀仙流の武闘家なのかもっ! 領域展開が使える特級師か、もしくは支配の悪魔かもしれないー! あの強さは尋常じゃないよ! きゃー! クール!』

「こうちゃん。その……母さんのこと、あんまり怖がらないでね」

はて? とこうちゃんが首をかしげる。

「ほんとは優しい人だから。父さんにだけ當たりが強いけど」

「? わかった!」

こうちゃん、何もわかってなさそうな顔でうなずかないでくれ……。

さてこうちゃんが何をしに來たのか?

話は數日前、テスト休み中にまで遡る。

その日、こうちゃんの配信にお邪魔させてもらっていた。

はイラストレーターでもあり、畫配信サイトOurTUBEで配信も積極的に行っているのだ。

『かみにーさまっ、にーさまの絵を描きました!』

『僕の絵? どういうこと?』

『いつまでも、聲だけじゃさびしいかなって思って……じゃーん!』

配信畫面に、彼の書いたイラストが表示される。

こうちゃんが僕のイラストを書いてくれたのだ。

と言っても、別にリアルの僕に寄せていない。

デフォルメされたキャラ……なんだけど。

『こうちゃん、なんで……絵がの子なの?』

そう、こうちゃんから渡されたのは、の子だったのだ。

の髪で、片目を隠した巨人の絵。

これが僕?

『最近Vtuberでもいるんですよ、子のキャラの外見に、中が男の人の配信者っ!』

『いやいや……さすがにれられないでしょこれ……ねえ?』

と思ったけど、コメント欄が凄まじい勢いで流れていった。

【すげえw】

【めっちゃかわE!】

【カミマツちゃん先生ちょー人ー!】

ええー……絶賛されてる。

みんなちょっと懐広すぎない?

『だぁいすきなかみにーさまのために、頑張ってデザインしちゃった! ほめてほめてっ』

うきうきとした雰囲気が畫面越しに伝わってくる。

『うん……すごいよこれ……普通にクオリティ高いし……』

『やぁったぁ♡ かみにーさまがほめてくれた、うれしー!』

『……てゆーか、こんなハイクオリティな絵、書いてもらって申し訳ないよ。いくら出せば良い?』

『え、いらないよー。だって趣味で、にーさまのためだけにかいたんだもん』

マジか……超人気の神絵師がただでイラストかいてくれるなんて……も、申し分けなさすぎる……。

されてるねーかみにーさまw】

【てか、にーさまも配信やれば良いのにー】

ふと、ソンなコメントが流れた。

【それね! せっかくしいてにいれたんだしw】

【かみにーさまの配信みてみたいー!】

【OurTUBEで配信やってくださいよー!】

『いやいや……配信なんてできないよ。やりかたも、機材もないし……』

するとこうちゃんが興気味に言う。

『やりましょう! ぜんぶわたしが用意しますので! ぜひ! ぜひー!』

……で、現在に至る。

僕の部屋にて。

「配信環境、かんせい、ですー!」

ふう……とこうちゃんが額の汗を拭う。

「すごい、あっという間に終わっちゃったね」

「わたし……機械いじり、すきなのでっ!」

深窓の令嬢な見た目の割に趣味がゴリゴリの理系だった。

「これで、Vtuberとして、活できます」

「何から何までありがとね」

僕はこうちゃんの頭をよしよしとなでる。

「あぅうう……」

とこうちゃんが首を引っ込める。

「あ、ごめん。子供扱いしちゃって」

い見た目だから、どうしても妹と接しているみたいになっちゃうんだよね。

『ひゃ~~~~~~~♡ かみにーさまに頭なでなでされちゃった~~~~~~♡ なにこれ天國? ここが天國なのっ? もうっ、幸せすぎてとろけちゃうよぉお~~~~~~ひゃあああん♡』

こうちゃんが自分のをだいて、ぎりぎりともだえていた。

これは……喜んでるのだろうか。ロシア語だからよくわからない。

まあでも、嫌がってないなら安心した。

「かみにーさま。配信テスト。ここ、座って」

こうちゃんがコロコロ、と機の前に椅子を移させる。

……ちなみにこれ、こうちゃんが事前に注文していた、ゲーミングチェアだ。

僕の配信が決まった瞬間に注文して、この家に屆くように手配していたらしい。

ものの數分で、あっという間にこの椅子を組み立てていた。

まじ理系……。

「じゃ、よいしょ」

素晴らしい座り心地の椅子だ。

ぜんぜん背中が痛くない。

「配信、長い時間座ってる。いい椅子……必要!」

「ありがとう何から何まで」

『ふひゃぁぁあ♡ かみにーさまからのありがとう來たー♡ はぁあああん♡ うれしいうれいしいだよぉ♡ かみにーさまに謝される日が來るなんて夢のようだよぉう♡』

ロシア語で何かをつぶやきながら、こうちゃんがテキパキと作業をする。

「これで、顔うごかして、みてください」

パソコンに蔵されてるウェブカメラが、僕を捕らえている。

畫面上には、こうちゃんの作ってくれたアバターが映し出されていた。

「こう?」

僕が顔を左右にかしてみると、アバターの顔も僕にあわせてく。

「すごい……Vtuberだ。僕……Vtuberになってる……」

配信でよく見るようなことが、まさか自分でできる日が來るなんて思わなかった。

「ありがとうねこうちゃん……こうちゃん?」

は凄まじい勢いでキーボードを作している。

っつったーーん! ……とこうちゃんがキーボードのエンターを強く打った。

「かみにーさま、OurTUBEのチャンネル、開設しときました!」

「は、速い……!」

『ジェバンニが一晩でやっておいたよー! えっへん!』

相変わらずロシア語で何を言ってるのか不明だけど、褒めてしそうなのはわかった。

「ありがとう、こうちゃん♡」

『もうっ♡ もうっ♡ かみにーさまはわたしを悶死させるつもりだぁ♡ 何回もうれしいこといってぇ♡ もー♡ 嬉し死にしちゃうんじゃーい!』

ふへふへ、とこうちゃんが笑っている。

「まさか僕も配信者になるなんてね……」

「さっそく初配信を……って、ええー!?」

こうちゃんが目を剝いてぶ。

「どうしたの?」

「か、かみにーさま! チャンネル登録者が! 見て!」

「登録者……?」

OurTUBEでは、好きな畫配信チャンネルを、利用者が登録できる。

畫がアップされると知らせが行くようになるんだ。

「いち、じゅー、ひゃく……わ、10萬人だって。へえ……これがどうしたの?」

「ど、どうしたの、じゃないよ! すご……すぎるよ……!」

こうちゃんが興気味に言う。

「だってチャンネル開設した、ばかりだよ? まだ五分も経ってないのに……もう登録者數10萬人なんて!」

「へえ……それって凄いことなの?」

ぶんぶん! とこうちゃんが何度も首を縦に振る。

「あ、20萬人になった」

「どしぇぇええええええええ!」

こうちゃんが目を剝いてぶ。

『き、規格外……だよぉ。かみにーさま……すごい。さすが神作家の知名度……すごすぎる……!』

わぁわぁ、とこうちゃんが大はしゃぎする。

畫配信なんてやったことないので、登録者數のびなんてわからないから、よくわからないや。

「さっそく、配信しましょう! かみにーさま、準備準備!」

こうちゃんがヘッドセットを取り付けて、ちゃかちゃかと何か作業する。

「え、こ、これから配信するの?」

「善は急げ、です!」

「でも……なにをどうすればいいのかわからないけど……」

「だいじょーぶ! こうちゃんPに、おまかせあれー!」

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