《【書籍化・コミカライズ】無自覚な天才は気付かない~あらゆる分野で努力しても家族が全く褒めてくれないので、家出して冒険者になりました~》方向転換
「とりあえず、目立たず生活するのはちょっと無理そうだからそれについては……うん……諦めた方が良いと思う」
帰り道、とっぷりと日が暮れた街の中を歩きながらフレドさんに言われた言葉に私は衝撃をけた。
そんな……目立たないように気を付けて過ごすというのは、フレドさんが私に言った事なのに。一どうしたんだろう……?
元々、私は「実力を隠して生活する」なんて考えてなかった。例えばこれが家族の誰かなら、名乗る名前を変えても同じ分野で活したら知ってる人にはすぐ気付かれてしまうだろう。けど私には有名になってしまう程の才能なんて元々無いから、何故隠す必要があるのか最初は全く分からなかった。
しかし錬金のように、出來る事はたいした事ではないけど「知識がある」だけで民間ではとても珍しい存在なのだと説明されて。自分はかなり楽天的に考えていたんだなと今では思う。
金銭を稼ぐのに有利な技を持つ者は希で、だからこそ高い報酬が支払われる。
學べば誰でも出來るようになるレベルとは言え、その「出來る人」自がないのだという事。私はそんな事もしっかり理解できていなかった。
実は冒険者以外では、翻訳の仕事についてし考えてもいたの。錬金師として働こうと思ったら師匠や出工房について絶対尋ねられるし、音楽や蕓でを立てるには貴族が背後にいるサロンに関わる必要がある。そもそも実家の影響のない地で一から評価される程の才能はないと思っていたので検討すらしていないが。
私が出來る事の中では「翻訳」って、お金を稼ぐには良い手段じゃないかと思ってたの。とは言え當然一流の翻訳家みたいな仕事は出來ないけど。でも翻訳の仕事は大どこも常に人手不足だから未でもいいって所も多い。
アルフォンスお兄様が席を置く語學研究室も、機扱いでないものは最初學生にざっくり訳させているくらいだったから。
しかし學べば誰でも出來るようになるレベルの事でも、學ぶ機會が限られてるものはそれだけで市井では目立ってしまうのだと。そうすれば家族にも見つかりやすくなってしまう。
別に隠さなければならないような技なんて持ってないからいらないのではと言う私にフレドさんがそう説いてくれたのだ。隠した方がいいと言ってたのに、一どういう事なのだろう。
「……! もしや、別に隠すほどの事ではないとフレドさんもご理解いただけて……?」
「いや、まったく違う」
ピンときた私はそう聞いたがどうやら違ったようだ。きっぱり言い切られた私は心首をかしげる。
考えても分からず、降參した私はその理由を問うようにフレドさんの顔を見上げた。彼は顔にかかった前髪の奧で、言いづらそうにしながら言葉を続けていく。
「リアナちゃんの『普通のフリ』……壊滅的に出來てないんだ」
「……壊滅的……!」
私はなからずショックをけた。
今まで生きていた常識と違う生活なので多は変な事をしているだろうが、そこまでダメだったなんて気付いてなかったから。いや、もしかして。
「言っておくけど平凡な事すら出來てないって意味でダメって事はあり得ないからね」
「わ、分かってます」
一瞬そう思いかけていた私は噓を吐く疚しさから目を逸らしてそう答える。
ギルドから指名をいただくほど評価してもらっているが、未だに「何かの間違いでは」「私が出來るのに本當に指名するほど出來る人がないのか」と思っている。実際、私が出來るのはそれを教えてもらえる教育の機會に幸運にも恵まれていた環境だっただけで、他の人も知ってさえいれば出來る事だと思うのだが。
でも、その「恵まれた環境」にいた自分が言うのは傲慢だと理解しているので口にはしない。
「もちろん、時間をかければ『一般的なライン』を學んで、その中でうまくやっていけるとは思う。リアナちゃんって一回教えると同じミス二度としないし」
「……それは、當然なのでは? むしろ言葉で教えてもらわないと分からない、察しの悪さにいつも申し訳なく思ってるんですが……」
「ふふっ……技面だけじゃなくてその辺の考え方もリアナちゃん普通じゃないんだよなぁ……まぁどんな教育けてきたかがそこから大想像出來るけど……」
苦笑いのフレドさんの言葉は最後の方はよく聞こえなかったけど、きっとまた呆れさせてしまったのだろう。うう、居たたまれない。
「例えば。さっきの似顔絵もとんでもなく上手かったけど……船の上で演奏してた曲。リアナちゃんが音楽家として點數を付けるなら何點になると思う? プロとして通用するレベルの最低を100點満點中70點として」
「何點……」
「大で良いよ、リアナちゃんがあの時観客として聞いたとして、考えてみて」
人によって好みがあるから蕓に関して點數を一律でつけられるものではないけど、フレドさんの話はそう言う事ではないだろう。
うぅん、プロの最低レベルを70點……ならお母様の歌は現在生きてる人間の中ではトップと呼ばれることが多いし、客観的に評価して95點以上はつくと思う。ちなみに、音楽の神と呼ばれる歴史上の人モルテンソ・ユーニが99點と仮定している。
船の上で披した演奏は全力ではなかった。これは言い訳とは別に、自分の演奏のクセを隠す目的もあった。私を知ってる人はあの場にいなかっただろうが念のため。
そして足元は揺れる船の甲板で、風の影響だって無視できるものではなかった。思ったよりたくさんのリクエストを次から次にもらって、心揺してちょっとした演奏ミスも連発してしまったし。
船室で子供を寢かしつける時に弾いたのは別として、あのヴィーラをまともに奏でたのは甲板の上が初めてだったためあの時初めて気付いたが。弾いてるうちにペグが緩んできて、音調も狂ってしまっていた。
甘く見積もって、35點くらいだろうか。
……いや、家族が褒めてくれなかった真意を知った今でも、フレドさんにもアンナにもまだ自己評価が低すぎると指摘されている。不當な評価の中で育った時間が長すぎたから仕方がないと二人とも言ってくれるが、意識してこれを変えていかないと。
そうね……自己評価の低い自分のを計算にれよう。そうすると……
「45點くらいでしょうか」
「低い!! 低すぎるよ!! だからリアナちゃん、自分の価値を低く見積もりすぎだってば……! 俺の個人的な意見だけどあの演奏は余裕で90點越えてたよ!」
大慌てで否定するフレドさんの反応に、私は口ごもる。もっと低くつけてましたなんて言えない。
「ま、まぁリアナちゃんの意識がやっぱり一般人から乖離してるって改めて分かってもらったと思うんだけど。……もうすでにリアナちゃんが活躍しすぎて大分目立っちゃってるから、今から修正は難しいんだよね」
「……それ程目立ってますか?」
「うん。もう諦めて『保護してもらえるくらい貴重な人材だと知らしめる』って方向にシフトしないとダメだと思う」
まだ私の自己評価がおかしいって事は何となく理解している。
それで、「普通の冒険者」になるのを失敗して中途半端に目立ってしまっているという事なのだろう。それが意味していることは分かる。それでは家族に気付かれやすくなっただけだと。
今後も注目されないように當然注意するつもりではある。けどそれでも見つかったら。権力を持っている人……この國の貴族を味方に付けて、連れ戻されそうになった時に守ってくれる後ろ盾を作らなければならない。理屈は分かる。
「私が普通のフリが出來てないのは納得しましたが……その、後援者が付くほどの功績を立てるとか、そこまでは無理だと思うんですけど……」
「いやぁ俺は全然そうは思えないけど。まぁアンナさんもえて今後の方針について話し合おうよ」
アパートの階段を上りながら斷言するフレドさんに、「私は悪い方に考えすぎかもしれないけど、フレドさんも良い方に考えすぎなのでは」などと思ってしまう。
すっかり一緒に食卓を囲むのが習慣になってきた我が家に、フレドさんはごく自然に「ただいま~」と言いつつ私とアンナの住む一室の扉をノックしていた。
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