《【書籍化・コミカライズ】三食晝寢付き生活を約束してください、公爵様》8.盛大な勘違い、でもまあいいか
何かの聞き間違いかと助けを求めてみんなを見れば、全員なんとも言えない顔をしていた。
お友達三人組は、こんな話を自分達も聞いていいのかという困、ミシェルは、どうします? って顔でわたしを見てるし、ロザリモンド嬢もわたしの判斷に任せる様に沈黙している。
まあ、この話にいたっては完全にわたしが當事者であるし、助けを求めたところで誰も助けてはくれない。
でも何かいい案ほしいなぁ。主に、この會話を上手く切り抜けててさっさと帰宅できるような提案を。できれば、わたしが実家の人間に會いたいと思っていないのだから、察してほしい。
「伯爵夫人、言っておくことがございます。あなたのおやりになられている事は、わたくしにとっては有難迷というものです。そして、の恥をさらすようで恥ずかしいのですが、夫人はわたくしの実家に利用されております」
「まあ、そのような事はございません。これはわたくしの意志ですもの」
それが本當ならどんなによかった事か。箱りのお嬢様を騙すなんてきっと楽な事だったに違いない。
わたしは婉曲に言っても理解してもらえないと判斷して、はっきりと意思表示をする。
「はっきりと申し上げますと、わたくしはベルディゴ伯爵家の者に會いたくはございません。その理由につきましては伯爵夫人に申し上げる事ではございませんので遠慮させていただきますが」
こっちの事を説明しても、それを信じるとは思えない。
社界での噂がすべてだと思っているような人には、當事者全員の意見を聞いて判斷するなんて高等技などできないはず。つまはじきにならない様に立ち回るのは悪い事ではないけど、変な正義を振り回さないでほしい。
わたしの拒否に伯爵夫人が眉を顰めた。
まるで自分の提案を斷られるとは思っていなかったようだ。分に関係なく年上の存在には気を使うのは暗黙の了解でもある。できれば相手の気分を害さないように上手く切り抜けられれば良かったけど、どうせ上手く斷って逃げ出しても再び同じ狀況になりそうだと思えば、ここで斷った方がいい。
まあ、年上の提案をここまであからさまに斷るのは普通しないけど、やはりここは分を盾にすれば萬事解決。
年上に気を使うのが暗黙の了解なら、分の高い者に遠慮するのもまた社界のマナーだ。
「伯爵夫人、わたくしはリンドベルド公爵夫人です。わたくしが會いたくないと言っているのですから察していただきたいですね」
こういう時、権力あるって楽だわー。これでほとんどが解決する。
社界では影響力がないわたしだけど、リンドベルド公爵家の威には彼も敵わない。
わたしが嫌な思いをしたからと言ってこの家門とどうこうなる事は無いけど、彼の旦那様はなんというだろうか。さすがに公爵家を敵に回すようなことはしたくないと夫人を嗜めてくれるかもしれない。
この一件はそのうち伯爵の耳にもるだろうしね。
「公爵夫人はお若いからそのような事をおっしゃるのですわ。意固地にならずお會いになればきっと親しみのがわくはずです」
どうしよう、ミシェル……。この人話を聞かないんですけど? ちょっとミシェルも何か言ってよ! 皇殿下を罠に嵌めた? 時の様に華麗になんとかしてほしいんだけど!? この人、エリーゼや皇殿下とは違った意味で面倒だよ。
ミシェルを睨みつける様に念ずると、肩をすくめながらも請け負ってくれた。
「伯爵夫人、リンドベルド公爵夫人はお會いにはなりたくないとおっしゃっています。強要するのはあまりよろしくないと存じますが」
一応わたしの眼力をけて一言客観的意見という意味合いでやんわりとミシェルは申す。
ミシェルは未だに侯爵令嬢として知られているので、実家から出ていてもそれなりに影響力はある。
上位者二人から言われて、さすがに今日は引いてくれるかと思いきや、全くそんな様子はなかった。
「アンドレット侯爵令嬢、大人同士の話に口を挾むのはあまりお作法が良いとはいえませんよ」
大人って言われても、わたしよりミシェルの方が年上なんだけど。結婚してなければ大人として認められないという獨自ルールがあるんですかね?
ミシェルもまさかそんな風に言われるとは思っていなかったのか、僕の方が年上なんだけどという視線をわたしに送ってきた。
それに社界デビューしているのはみんな人してからだ。つまり、大人。年齢上はね。
「わたくしの友人はみな、人した大人です」
「あら、大人とは結婚して家庭を持って責任ある立場になった者の事をいうのです。子供には分からない苦労を味わってこそ、本當に長するのです」
微妙に言い返せない。
人したての子供を大人としてひとくくりにすることはできない。大人になったとは言ってもまだまだ親の保護下にあるのが普通だ。そんな人になりたての子供をはたして大人と言っていいのかどうか。
難しい問題だわ。
「そして、大人として子供を本當の大人にするために、時に厳しく助言するのも大人としての義務だと考えております」
時に厳しく助言されてこないとこうなるのねと思ってしまう。そう思うのはおそらくわたしだけではないはず。
「厳しいご意見もけれてこそ、が広がると言うものです。特にあなたはリンドベルド公爵の正妻。幅広く多くの意見をお聞きになって判斷していかなければならないはずです。ご実家の方々のお話もきちんとお聞きして判斷しなければいけませんわ」
一部正論。
というか、厳しいご意見をあなたはけれてこうなったという事でしょうかね? が広がった結果、自の神にあふれてしまったということでしょうか……。
人のために自分が率先していているというのは気持ちがいいのかもしれないけど、お願いだから今はちょっと押さえてくれないかなぁと心の中で願う。
もう、無難に旦那様を盾にして逃げておこう。
後日また聲をかけられるかも知れないけど、旦那様経由で伯爵にも一言くぎを刺しておいてもらおうと決めた。
「伯爵夫人、大変申し訳ないのですがベルディゴ伯爵家の者と関わる事を旦那様がいやがるのです。それがわたくしがベルディゴ伯爵家の家族に會いたくない理由です。夫を不機嫌にしてまで會いたいとは思えません。わたくしはすでにリンドベルド公爵家の者ですもの」
夫が不機嫌になるから會いたくないよといえば、まあ、とくちに手を當ててなぜか可哀そうな子を見るかのような目になった。
「リンドベルド公爵様がご実家に関わるのを嫌がっていらっしゃるの? それはお辛いでしょう……」
え……? どうしてそうなる?
「こうしてはいられませんわ、わたくし公爵様に一言申し上げてあげます。夫からも先達として夫婦関係の事について公爵様に助言していただかなければ。公爵夫人、わたくしはし勘違いしていたようです。ご実家の方とお話するのはまた後日にいたしましょう。公爵様の許可がないのに會っていたことが知れたら夫人がお辛い立場に立たされるでしょうからね。申し訳ないわ、まるであなたが非な方のように思ってしまって」
盛大に勘違いされているけど、どうしよう。
なんか旦那様が非な人間でわたしを実家から無理やり引き離していると思っていそうな口ぶりなんだけど……。
いや、わたしはそれ大歓迎で結婚したんですよ?
でもなんか口を挾むとまたやり取りが大変そうだから勘違いさせておくことにした。
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