《【書籍化・コミカライズ】三食晝寢付き生活を約束してください、公爵様》20.剝奪された稱號
リンドベルド公爵家にはいくつかの応接間があるけど、その中でも一際重厚あふれる部屋にベルディゴ伯爵家一行――つまり、わたしの家族が通されていた。
部屋にるとすぐに両親と姉の苛立った様子が目にる。
そんなベルディゴ伯爵家の者の側に控えるのは、邸宅の侍。
エリーゼやミリアム夫人にびを売ってた侍を一掃して、新しく雇いれた。彼たちは、以前勤めていた侍たちとは違い、口が堅く鋭ともいえる人たちだ。
さすがラグナートによって選別されただけの事はある。
もちろん、だからといって堅苦しいわけではないし、話しかけると朗らかで友好的。それに、邸宅の主人であるわたしに無禮を働く事はない。というか、それが普通なんだけど、普通じゃない扱いばかりけてきたので、ちょっと新鮮だったりする。
話がそれたけど、つまり彼たちはわたしの味方という事。
こちらが詳しく説明しなくても、わたしと実家があまり仲がよろしくない事はうっすらと理解しているようで、部屋にると刺々しい監視をするかのような目で、わたしの家族を見ていた。
その寒々とした空気は、わたしにとって敵だからというだけではなく、苛立った様子の人たちから理不盡な事を言われた可能もある。
むしろ、そうだろうなと思う。
他人の邸宅であっても、使用人は自分達よりも格下だと見下し、命令をするような人たちだ。
もちろん、大多數の特権階級者が同じような考えを持っているけど、それでも他人の家では多遠慮する。
旦那様もこの空気に気付いているだろうに、何事もなくわたしを伴ってソファに座った。
そして、侍たちに新しいお茶を持って來るように指示を出す。
この場に殘ったのは、ベルディゴ伯爵家の父と義母、姉。そして、わたしと旦那様に加え、ラグナート、ミシェルとロザリモンド嬢だ。
なんか、場違いな二人がいるけど、気にしない。気にしたら負けだ。
父が、この場にいるラグナートを苦々しく睨みつける。
裏切者が! と言いたげだ。
しかし、もともとラグナートと父の仲は良くないので、裏切者どころか、最初から味方でさえない。
旦那様は父の様子を理解しながら、素知らぬ素振りでソファに座り、堂々と噓の事を口にした。
「遅くなって申し訳ありません、急な仕事がりまして」
父は組んだ腕を指で叩きながら、旦那様を睨むように鋭い目つきで見た。
「お忙しい事は理解しています。それならば、先に娘を寄越してくれても良かったのですが。娘としくらいは言葉をわしたかったと思います。なんでも娘と私たちの仲を良く思っていないとか? これでは、そう思わざるを得ませんな」
「どこからそのような事を聞かれたのでしょうか? 私がリーシャとあなた方の仲を引き裂いているという事ですか? それとも余計な事を言わせないようにリーシャを監視していると?」
席に座るなり、いきなり喧嘩腰だ。
丁寧な口調ではあるものの、隨分と苛立った様子の父が旦那様に噛みつくように言った。
旦那様の方は心外とでも言うような態度だ。
そして、ちらりとわたしを見下ろす。その視線に、わたしは大いに焦った。
忘れてた! そういえば旦那様には言っていなかったけど、この間のお茶會で伯爵夫人をそんな風に勘違いさせていたんだった!
その勘違いを姉に伝えたんだとすぐに気づいた。
ちなみに、その伯爵夫人との會話はわたし以外にもミシェルやロザリモンド嬢も聞いている。
旦那様の様子から、誰もその事を伝えていないようだった。
それはそうだ。
あの二人、伯爵夫人との一件よりも、その後の姉との邂逅と旦那様の會話の方が興味津々だったんだから。
まずーい! 後で旦那様になんと言われるか!
誤魔化すように優雅に微笑んで見せたけど、旦那様の厳しい追及から逃れられないらしい。
この場で追及しない代わりに、あとで覚えておけと鋭く目を細めた旦那様が態度で示す。
「とにかく、私がリーシャを監視するような事はしておりませんし、この先もする事はしないでしょう。自由を保障していますし。どうやら、勝手に勘違いしたおせっかいな者が心配して伯爵に進言したのでしょうね」
馬鹿馬鹿しい話だと切って捨てる。
「では、よろしければし娘と家族水らずで話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ええ、いいですよ。私は口を挾みませんからどうぞ、心行くまで挨拶してください。今後、なかなか會う事ができないでしょうから」
そう言葉にした瞬間の父の顔が引きつった。
継母や姉は目を吊り上げる。
「ははは、そうでしょうとも。リーシャは公爵夫人ですからね、きっと忙しく――」
「ベルディゴ伯爵――、いえ、元(・)伯爵とお呼びしたほうがよろしいですか?」
口角を上げ、人を恐怖に叩き落すような壯絶な笑みを浮かべ、まるで何も分かっていない子に語り掛けるように優しく言う。
「すでに、皇宮からの書狀は屆いているはずですよね? こうして私とリーシャが會う時間を作ったのは、あなた方が彼のご両親で、そちらのご息がの繋がった姉妹だからです。しかし、きちんと理解していただきたい。リーシャは公爵夫人で、あなたがたはただの一國民になったのだという事を。家族と言えど、お互い遠慮するべきところがあるでしょう」
シンと靜まり返る応接間に、旦那様の聲だけが響く。
わなわなと震える父と継母。理解しがたい事を言われ、全ての元兇がわたしだとでもいうように姉が睨みつけている。
「な、なぜそのような事をおっしゃるのか理解できませんわ……。もしかして、リーシャが公爵様をわしたのですか? まるでわたくしたちが悪であるかのようにお聞きになったのでしょう? だからリーシャの言うままに、この様なことをされたのですか?」
「そうですとも! 私どもとリーシャは確かに上手くいっていませんでしたが――、それでもこれはやりすぎだ! リーシャ!!」
怒聲が私に向かって放たれた。
「ベルディゴ伯爵の稱號を奪い取り、それだけでは飽き足らず、全ての財産がお前に相続されるなど!!」
父がそのままの勢いで続けた。
「しかも、私が神疾患を患い、すでに當主としての役割を果たせないというのはどういうことだ!? その跡取りであるアグネストも同様であると? その結果、継承順位がリーシャの夫であるリンドベルド公爵家に移るとは! 強引にもほどがあるぞ、リンドベルド公爵!!」
旦那様は心外そうに、肩をすくめた。
「そもそも、直系のリーシャこそが跡継ぎだったはず。私はその間違った道筋を正しただけですよ。ああでも……神疾患を患っているというのは、あながち間違いではないと思いますけど」
そう――、実家の家族が乗り込んできたのは、ベルディゴ伯爵の稱號が當主の神疾患異常の結果、全ての財産と共にリンドベルド公爵家に引き継がれたと皇宮からの書狀で知ったからだった。
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