《【書籍化・コミカライズ】三食晝寢付き生活を約束してください、公爵様》24.顛末後の要求
「私の今の主は、違いますが、それでも私にとって、今も昔も大事だと思うお嬢様はリーシャ様だけです」
當主でありながら、総括執事に認められていなかった父。それをきっと父はじていた。
いつも母のそばにいた相手が、自分をけれるはずないと考えた。
もちろん、父のやってきたことは母には殘酷な裏切りで、それを近くで見てきたラグナートはもちろん、邸宅の使用人だって父のことを敵だと思うようになるのは當然のことだ。
自分の行いを棚に上げて、裏切り行為を指摘する父の姿は昔の傲慢さのままなのに、今はなぜかむなしくじた。
しばらくすると、部屋の中に従僕や邸宅を守る警備兵がってきた。
その姿を見て、ようやく現実を思い知ったのか、姉が縋り付くように両手を祈るようにの前で組んだ。
「噓でしょう? ねぇ、家族じゃない。きっと誤解してるのよ、リーシャ。みんな、あなたのために厳しく言ってきただけなのよ? 子供のあなたを教育するためにはしくらいきつい事言うのも仕方ないじゃない?」
「そうですね、お姉様のいうことも一理あります」
確かに、子供のしつけに厳しく言い聞かせることはある。
しかし、それが本當にしつけなら、の話だ。
「じゃ、じゃあ!」
「でも、わたしが必要だと思うことはすべてラグナートから學びました。ただ、怒鳴り叩くだけの家族じゃなくて、本當に親になってわたしを教え導いてくれたのは、父でも継母でもなければ、當然お姉様でもありません」
わたしの家族はラグナートだけだった。
結婚して、いろいろな事が変わったけど、ラグナートはわたしにとって家族のままだ。
「最後くらいはお見送りいたしますよ」
客を見送るのも総括執事の仕事の一つだけど、邸宅の外に追い出す間大丈夫かと心配になる。
この調子では、きっと暴言を吐かれるだろうなと。
「義理の父親を見送るのだから、私も一緒に行こう」
それを察してか、牽制のつもりで旦那様も立ちあがり、同時にわたしの肩に手を置く。
顔を上げると、旦那様が従僕に命じて三人を追い立てるように促していた。
來なくてもいいという合図なのはわかった。
「お父様、お継母様、お姉様、お元気でお過ごしください。きっと旦那様がお住まいの方は気を使ってくださっていると思いますので、快適に過ごせると思います」
旦那様曰く、西の方の領地にある有名な(・・・)靜養所らしい。
いろいろな貴族が、様々な理由でれられているんだとか。
無理矢理連れだされる家族にわたしは最後に頭を下げた。
ぼんやりと、窓の外を眺める。
家族が邸宅の外に連れ出されてから、門まで続く道を眺めていた。
彼らは最後まで何かを訴えていたけど、旦那様は容赦なく馬車にのせ見送っていた。
「薄なのかな……」
ぽつりと零す。
のつながった家族からすべてを奪い取り、見放すように追い出した。
人によっては、冷だというかもしれない。
「人の評価は今更か」
結婚前も結婚後もいろいろ言われているのは知っている。
それを放置しているのは、いちいち言い返すのも面倒だったから。
結婚前は領地のことで手一杯でそんな噂気にかけていられなかったし、結婚後はだらだらした生活をしたかった、ただそれだけだ。
「なんか、人生計畫がずれてる気がする……」
正確には結婚生活計畫かもしれないけど。
どうしてこんな風になったのか、改めて考えだしたとき、部屋の扉が開かれた。
ってきたのは旦那様だ。
「あの、この邸宅の主は旦那様ですけど、一応この部屋の主はわたしなんでせめてノックぐらいして下さい」
「ノックしたが、返事がなかったから心配したんだ」
あー、すみません。考え事してました。
「特別心配されることはないですけど」
旦那様に窓際の席を勧めて自分も対面に座る。
そして改めてお禮を口にした。
「今回の件、ありがとうございました。いろいろと骨を折ってくれたようで、謝しています」
「こういう時に権力は使わないとな、奧様?」
確かに、まさか皇帝陛下さえもかすとは思わなかった。旦那様だからできる手段であって、普通はできない。
「でも、よかったんですか? ミシェルが嘆いてましたけど」
「もともと、無期限の謹慎処分だったところを期限付きになっただけだ。謹慎処分にまでなったのに、君に突っかかってくることはもうないだろう。もし次また何かしたら、今度は堂々と処分できるからな」
「しょ、処分……」
さすがです、旦那様……。
「贅沢して暮らしたいのなら、一生結婚しなくていいのではないか? 社界の笑いものになるがな」
皇殿下が旦那様と結婚したかったのは、旦那様の財力があってこそ。
我慢することなくほしいものは何でも買える皇族という分から、我慢しなければならなくなる可能が高い臣下との結婚。
生活環境を変えたくないのなら、結婚しない方が結婚相手のためでもある気がする。
「人は暮らしている生活環境に慣れていくものですよね……」
「普通はな。ただし、贅沢になれた人間が我慢を覚えるのは相當苦労すると思う」
「ですよね」
これはわたしの家族にも言える。
なにもはじめから彼らが贅沢を満喫していたわけじゃない。
はじめは、食事だったり、し綺麗なドレスだったり。それが次第に要求が増え、贅沢に慣れていった。
「我慢できずにほしいものは大金を払ってでも手にれる、それは一種の病気だ。そんな病気持ちの人間に治められている領民が哀れだな」
「領主として、旦那様は父をどう思っていましたか?」
「無能なクズ、同じ貴族として吐き気がするほど嫌悪する。まだロザリモンドの両親の方がマシだ」
殺伐としていても、領主としてやるべきことはやっているから、まだマシということらしい。
でも、本當に好き勝手いいますね。
一応わたしの親だけど。
だけど、旦那様の言葉にしだけほっとした。
うん、あれはもうどうしようもなかったんだと、気持ちを切り替えよう。
「前から思っていたが、父君に君は似ていないな」
「わたしは完全に母親似です」
まじまじと見られて、し面映ゆい。
「君の母上が人だったと聞いたことがあるが、きっとそれは真実だったんだろうな」
本當に、最近の旦那様は何があったのか聞きたい。
冗談ではなく、こういうことを言われると、どう返していいのかわからなくなる。
「わたしの記憶の中の母は、儚いって言葉が似合います。ベッドの上で寢たきりで……でも、人だったと思います……ところで旦那様。わたしに何か言いたいことがあるんじゃないんですか?」
何もなくただ旦那様が訪ねてくるとは考えにくい。
強引な話の転換は、別に話を変えたかったわけじゃないから!
「大した用事じゃないが、頼みがあると言っただろう?」
そういえばそうだったと思い出す。
一何を要求されるのか、あえて考えないようにしていた。
「言っておきますが、できることとできないことがありますからね?」
「できるかできないかは、リーシャの心一つで変わるな」
一なんだろうかといぶかし気に見ると、旦那様はし言いづらそうだった。
いつもならスパッと言ってくるのに、なかなか言い出さない。
そんなに言い出しにくい事なのかと、し構えると、ようやく旦那様が口を開いた。
「え?」
靜かな要求だった。
二人きりの部屋の中で、旦那様の聲を遮るものは何もない。
それなのに、一瞬聞き逃しそうになるほど、小さな聲。
しかし、それは確かにわたしに屆いていて、思いがけない要求に目を見開いた。
なぜか旦那様が気まずそうにしていて、それが逆に新鮮だった。
旦那様がわたしへ言ったその要求。
それは、名前で呼んでくれという意外なものだった。
お時間ありましたら、ブックマークと広告下の☆☆☆☆☆で評価お願いします。
失戀したのでVtuberはじめたら年上のお姉さんにモテました【コミカライズ連載中!】
ずっと想いを寄せていた部活の先輩に彼氏が出來た事を知った姫村優希(ひめむらゆき)は、ショックの余り先輩も自分も元々好きだったVtuberに自分がなってしまおうと貯金を叩いて機材を揃えてしまう。 そして自分のバーチャル肉體をデザインしてもらったらなんとまさかの美少女3Dモデルで意図せず女の子になりきる事に!? 更にデザインとモデリングをしてくれた人や自分の推しのVtuberがやけに好意を寄せてきて...? ※Vtuberを知らなくても楽しめるようになっています。 ★マークの入っている回は掲示板ネタが入っています。 好きでは無い方の為に出來る限り最後の部分に書いているので好きでは無い方は飛ばして頂けると幸いです。 ※現在週3-4本投稿しています。 それと最初の頃の書き方が酷かったため修正中です。 主人公などへの質問などがあったら感想などで教えて貰えると主人公から作品內で返答があったりします。 ※5/25より、どこでもヤングチャンピオンにてコミカライズの連載が始まりました! ※1/20にコミカライズ第1巻が発売中です! 可愛い優希くん達を是非ご覧ください!
8 87不死の子供たち【書籍販売中】
記憶を失った青年『レイラ』が目を覚ました世界は、 命を創造し、恒星間航行を可能とした舊人類が滅んだ世界だった。 荒廃し廃墟に埋もれた橫浜で、失われた記憶の手掛かりを探すレイラは、 人工知能の相棒『カグヤ』と共に、殘虐な略奪者がのさばり、 異形の生物が徘徊する廃墟の街に身を投じることになる。 【いずみノベルズ】様より 【不死の子供たち③ ─混沌─ 】が販売中です。 公式サイト https://izuminovels.jp/isbn-9784295600602/ 【注意】感想欄では、物語や登場人物に関する重要な要素について語られています。 感想欄を確認する際には注意してください。 サイドストーリー中心の『ポストアポカリプスな日常』も投稿しています。 ※カクヨム様でも連載しています。
8 93【電子書籍化】退屈王女は婚約破棄を企てる
☆2022.7.21 ミーティアノベルス様より電子書籍化して頂きました。 「婚約を破棄致します」 庭園の東屋で、フローラは婚約者に婚約破棄を告げる。 ほんの二週間前、「婚約破棄してみようかしら」などと口にしたのは、退屈しのぎのほんの戯れだったはずなのに――。 末っ子の第四王女フローラは、お菓子と戀愛小説が大好きな十五歳。幼い頃からの婚約者である公爵家の嫡男ユリウスを、兄のように慕っている。婚約は穏やかに続いていくはずだった。けれど、ユリウスが留學先から美しい令嬢を伴って帰國したその日から、フローラを取り巻く世界は変わってしまったのだった――。 これは、戀を知らない王女と不器用な婚約者の、初めての戀のお話。 *本編完結済み(全20話)。 *番外編「婚約者は異國の地にて王女を想う」(全3話)はユリウス視點の前日譚。 *番外編「『綺麗』と言われたい王女と『可愛い』と言いたい婚約者」(全3話)は本編から約2ヶ月後のフローラとユリウスを描いた後日譚です。
8 132【書籍化・コミカライズ】実家、捨てさせていただきます!〜ド田舎の虐げられ令嬢は王都のエリート騎士に溺愛される〜
【DREノベルス様から12/10頃発売予定!】 辺境伯令嬢のクロエは、背中に痣がある事と生まれてから家族や親戚が相次いで不幸に見舞われた事から『災いをもたらす忌み子』として虐げられていた。 日常的に暴力を振るってくる母に、何かと鬱憤を晴らしてくる意地悪な姉。 (私が悪いんだ……忌み子だから仕方がない)とクロエは耐え忍んでいたが、ある日ついに我慢の限界を迎える。 「もうこんな狂った家にいたくない……!!」 クロエは逃げ出した。 野を越え山を越え、ついには王都に辿り著く。 しかしそこでクロエの體力が盡き、弱っていたところを柄の悪い男たちに襲われてしまう。 覚悟を決めたクロエだったが、たまたま通りかかった青年によって助けられた。 「行くところがないなら、しばらく家に來るか? ちょうど家政婦を探していたんだ」 青年──ロイドは王都の平和を守る第一騎士団の若きエリート騎士。 「恩人の役に立ちたい」とクロエは、ロイドの家の家政婦として住み込み始める。 今まで実家の家事を全て引き受けこき使われていたクロエが、ロイドの家でもその能力を発揮するのに時間はかからなかった。 「部屋がこんなに綺麗に……」「こんな美味いもの、今まで食べたことがない」「本當に凄いな、君は」 「こんなに褒められたの……はじめて……」 ロイドは騎士団內で「漆黒の死神」なんて呼ばれる冷酷無慈悲な剣士らしいが、クロエの前では違う一面も見せてくれ、いつのまにか溺愛されるようになる。 一方、クロエが居なくなった実家では、これまでクロエに様々な部分で依存していたため少しずつ崩壊の兆しを見せていて……。 これは、忌み子として虐げらてきた令嬢が、剣一筋で生きてきた真面目で優しい騎士と一緒に、ささやかな幸せを手に入れていく物語。 ※ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。 ※書籍化・コミカライズ進行中です!
8 1731分の時があれば
主人公の永合亮は超美人な同級生に好かれている自覚なし!?そして、ふとした事で同級生を悲しませてしまう。亮は謝ろうと決心する。だが、転校してしまう同級生。亮はどうするのか。
8 123天才高校生は実は暗殺者~地球で一番の暗殺者は異世界で通じるのか~
主人公、黒野影秀は世間一般で言う天才高校生である。學校で知らない人はいないと噂されるほど有名人だ。 曰く、告白された回數は二桁以上だとか 曰く、大物政治家と知り合いだとか 曰く、頭脳明晰、スポーツ萬能、家事もできるだとか そんな彼には秘密があった。それは、暗殺者であることだ。しかもただの暗殺者ではない。世界で一番と言われているほどである。 そんな彼がある日、異世界にいってしまう。 ~~~~~これは天才で暗殺者である人物が異世界にいって、自由に無雙するのがメインである話~~~~~~ 天才=才能がたくさん チート主人公ですが、バランスをとることを目標に書いていきます 作者は怠け者のため超不定期です。ご了承くださいm(*_ _)m 作者は廚二病です。廚二臭くても文句は受け付けません。 ネーミングセンスありません。 変なところがあったら気軽に報告下さい。
8 60