《【二章開始】騎士好き聖は今日も幸せ【書籍化・コミカライズ決定】》37.リックさんは?

目を覚ましたら、自分の部屋のベッドの上だった。

私は確か、リックさんと森に行って、そこでウルフに襲われていたはずだ。

「……」

でもどこも痛くない。怪我はしていないみたい。

リックさんが守ってくれたのかな?

……そういえば意識を手放す寸前、レオさんとミルコさんを見た気がするけど……あれは夢?

レオさんは、とても焦ったような、真剣な表でナイフを投げて、私に襲いかかろうとしていたウルフを倒してくれた。

そのときのレオさんは、とても格好よかった。

「……やっぱり夢かしら」

でも私は、どうやって戻ってきたのだろう。

眠っているとき、レオさんの匂いがしたような気がする。

レオさんのの中で、抱きしめられながら眠っていたような……。

たぶん、私のが生み出した夢だったのだろうけど。

「――シベル、合はどう?」

「エルガさん」

ぼんやりとそんなことを考えていたら、エルガさんが部屋にってきた。

「やっぱり熱が出たみたいだから、安靜にしててね」

「はい……、ご迷おかけしました」

そう言って、エルガさんは私の額に乗っていたタオルを換してくれた。

新しいものは、ひんやりと冷たくて気持ちがいい。

「あの、リックさんは大丈夫でしょうか?」

「え?」

に襲われていたのだ。

もしかしたらリックさんは怪我をしているかもしれない。

「……何があったのか、覚えているの?」

し……でも、ウルフに襲われたのは覚えています」

「そう……」

「リックさんは怪我をしていませんか?」

額のタオルを押さえて上を起こして問えば、エルガさんはし悲しげに目を細めた。

「リック……彼が貴を危険な目に遭わせたのでしょう?」

そうなのかもしれない。

でも、私を守ってくれたのも彼だった。

「まぁ、いいわ。彼も無事よ。しばらくは謹慎処分……というか、狀態だけどね」

「そうですか……ありがとうございます」

「とにかく、今はゆっくり休みなさい?」

「はい……」

無事なら、よかった。

エルガさんにそう言われて、私は再びを倒す。

風邪が治ったら、レオさんにお願いしてリックさんに會わせてもらおう。

それから三日が経って、私の風邪はすっかりよくなった。

仕事を三日も休んでしまって、皆には迷をかけた。

今日からまたしっかり働かないと!

「あ、シベルちゃん! 風邪よくなったんだね!」

「またシベルちゃんのご飯が食べられると思うと嬉しいよ!」

「皆さんすみません、もうすっかり元気です! ご心配おかけしました」

朝食を食べに食堂にやってきた騎士の方たちは、私を見て代わる代わる聲をかけてくれた。

「シベルちゃん」

「レオさん、ミルコさん」

それから、このお二人も。

「元気そうで安心したよ」

「はい、ご心配をおかけしました」

「あまり無理しないようにね」

「はい、あの――」

「あ! シベルちゃん! よかったー、風邪治ったんだね!」

「ヨティさん」

レオさんに、リックさんのことを聞こうと思った。

けれど、私が彼の名前を口にする前に、ヨティさんが大きな聲で私を呼んで駆け寄ってきた。

「シベルちゃんの作る料理がしくてしくて」

「すみませんでした、今日からまた私の料理ですよ」

「いやー、本當によかった!」

「あ……」

ヨティさんとお話している間に、レオさんとミルコさんは行ってしまった。

朝食の後、聞いてみよう。

それから朝食の後片付けを終えたら、すぐに洗濯が上がってきた。

これを干したら、聞こう。

「シベル、今日のお晝はいつもより多いようだから、早めに準備に取りかかれる?」

「はい! わかりました!」

晝食が終わったら、聞こう……!

「――あの、レオさん……!」

「シベルちゃん」

結局、なんだかんだ忙しくて、私の手が空いたのは夜になってしまった。

「……あの、リックさんって」

レオさんの執務室を訪ねようと思ったら、その途中でちょうどレオさんを見つけたので、呼び止めて駆け寄った。

リックさんの姿は、あれから一度も見ていない。

謹慎処分って言ってたけど、ちゃんと食事はできているのだろうか。

「リックは謹慎処分中だよ。君を危険な目に遭わせたのだから」

「ですが、私を守ってくれたのも彼です」

「……それは考慮している。だが、処分が決まるまでは部屋から出せない」

「処分って……」

リックさんはどうなってしまうの?

そんなに厳しい処分はけないわよね?

「私はこの通り平気です。それに、リックさんは私を危険な目に遭わせようとして森に連れていったわけではないのです」

「それも知ってるよ」

「……そうですか」

レオさんは、私を落ち著かせるように優しい聲で言った。

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