「はわあああああああああ…………」

ローガンに手を引かれて店した寶石店。

目の前に広がる景に、アメリアは嘆の聲をらした。

「さっきも見たようなリアクションだな」

「だってだって……どこもかしこもキラキラですよ……！？」

高級を意識して白を基調とした店は、寶石を加工した指やペンダント、ブレスレットが余裕ある間隔で並べられている。

アメリア以外のお客さんは皆、見たことのないようなドレスや裝飾をにつけていた。

落ち著きのあるセレブ用達の一店、といった雰囲気であった。

「このブランドは……確かに有名なものではあるな」

「ご存知で？」

「ああ。以前、懐中時計を見繕って貰った際、ここのブランドを紹介された記憶がある」

「へええ、そうなのですね」

アメリアは知る由もなかったが、店したこの店は王都の中でも歴史のある、トップクラスの高級店であった。

ジュエリーショップなど足を踏みれたことのないアメリアには、この店がどのくらいのランクに位置するかわからない。

どの商品もすごく高そう、というふわりとした覚のみである。

一方ローガンに至っては元々ブランドにさほど興味がないし、ジュエリーの一つや二つの値段を気にするような分でもないため、この店に対してこれといった想は持っていない。

キラキラとした店を前にしてジュエリーのように目を輝かせるアメリアの方が興味の対象であった。

「俺のことは気にせず、好きなように見て回ってきていいぞ」

うずうずとを揺らすアメリアに、ローガンが言う。

「あ、ありがとうございます！　では、お言葉に甘えて……」

どこか恐る恐るといったじで店を歩き始めるアメリアだったが、すぐに足取りが軽くなった。

輝かしいゴールドのダイヤの指に「はわああ……」となったり、翡翠のネックレスにうっとりしたり、握り拳大のダイヤに「！？」となったり。

どれもモノを見た後に値札を目にしてビックリ仰天するまでがセットであった。

親指と人差し指で挾めるくらいの小さなダイヤひとつで、庶民が一年暮らせるような値段なぞザラだ。

元々自然の産に目がないアメリアは、今まで見たことのないジュエリー類とお値段の數々に種々様々の反応を見せた。

その様子を、ローガンは時たま頷きながら眺めている。

「とても可らしいお嬢様ですね」

勘定場にいた店主が、いつの間にかローガンの隣に來て言う。

そのコメントには反応せず、ローガンは尋ねる。

「彼に似合う品は、何がある？　あまり派手じゃないものが良い」

「そう、ですね……。派手じゃないものですと、指やイヤリングなどでしょうか？　ちょうど、なかなか市場に出回らないアメジライトの一點ものがございます。あと、お嬢様はとてもおしい赤髪をしてらっしゃるので……」

一通り説明を聞いた後、ローガンは「わかった、ありがとう」と禮を口にする。

店主は微笑み「ごゆっくり」と恭しく禮をして勘定場に戻って行った。

ちょうどそのタイミングで、アメリアがとことこと戻ってくる。

「楽しんでいるか？」

「はい、とっても！　どれも綺麗で、可くて、素敵としか言いようがありません」

「良いことだ。何か、気になるものは見つかったか？」

「うーーーん……正直どれもいいなー、いいなーって思って、甲乙つけ難いのですが……」

今思い出してもうっとり、といった様子でアメリアは言う。

「すごくいいな、と思ったものはありました」

「ほう、どれだ？」

「こちらです！」

アメリアの後ろを、ローガンはゆっくりと付いていった。

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