《【書籍化・コミカライズ】誰にもされなかった醜穢令嬢が幸せになるまで〜嫁ぎ先は暴公爵と聞いていたのですが、実は優しく誠実なお方で気がつくと溺されていました〜【二章完】》第50話 帰りの馬車にて
「今日はありがとうございました」
帰り道。
へルンベルク邸へ帰る馬車の中で、アメリアは改めて頭を下げた。
対面に座るローガンは小さく頷く。
「楽しめたか?」
「はい、とっても! ドレスのお店も、街をぶらぶらするのも、寶石のお店も……全部全部、楽しかったです」
噓偽りなく、心の奧から思ったお出かけの想を言葉にすると、ローガンは「そうか」とだけ呟いた。
しかしその口元には微かに笑みが浮かんでいる。
アメリアの返答に、ローガンも満足しているようだった。
「楽しめたのであれば、いい」
「はい。本當に、謝しかありません」
遠ざかっていく王都の街並みを名殘惜しい気持ちで眺め、“クラウン・ブラッド”のネックレスをおしそうに見下ろしてから、アメリアは言う。
「私、幸せです」
「急にどうした」
「思ったことをそのまま言葉にしただけですよ」
「なかなか小恥ずかしいことをさらりと言うのだな」
「ありのままの君で、と仰ったのはローガン様では?」
「それは……そうだが」
困ったように言葉を詰まらせるローガン。
普段は見せない表を、アメリアはおしいとじる。
この無想で不用な旦那様の表を、もっともっとたくさん見てみたいと思う。
隨分と前からに芽生え、ローガン様と時間を共有する度にどんどんと大きくなって止まらないこの気持ちを、アメリアはこれまでの人生の中で一度も抱いたことがなかった。
他者に対する前向きな。
母親のような家族に対してとはまた違う、心臓が激しく暴れ出して中が熱くなってしまうこの気持ちは、おそらく──。
「……楽しい時間に水を差すようで悪いが」
「あっ、はい、なんでしょう?」
ぽーっとしているアメリアに、ローガンが一転真面目な表で口を開いた。
「実家への支度金」
「…………………………あっ」
さーっと、アメリアの背筋に冷たいものが走った。
アメリアの反応を見ても、ローガンは冷靜だった。
「先程の寶石店で店主の愚癡を聞いてな。今日、俺たちが來る前に訪れた客が田舎者の無禮者だったらしく、聞いているうちに君の実家の人間のことを思い出して……そういえば支度金の件を話していないなと」
だらだらと背中に冷や汗を流すアメリアに、ローガンは頭を下げた。
「すまない。忘れていたわけではないが、優先順位を下げていて完全に意識の外だった」
「いえいえいえいえいえ! 頭をあげてください! 支度金の件は、へルンベルク家に著いたらすぐに話をしろと親に言いつけられていたにもかかわらず、完全に忘れていた私の落ち度です……!!」
忘れていた……というよりも、思い出したくなかった、の方が正しいかもしれないがどちらにせよ同じことである。
ローガンか、アメリアか、どちらかが話を切り出す時に話せばいい。
雙方、そんなけの姿勢が完全にすっぽ抜けるという結果になった次第であった。
「どちらが悪いという話はナシにしよう。そのような話は不だしな。だから、君が気にする必要は……」
そこで、ローガンは気づく。
俯き、両膝の上でぎゅっと拳を握りしめるアメリアの表に浮かぶに。
「……私、お父様に、へルンベルク家につき次第、すぐに支度金の話をしろと言われてて……それなのに……」
(どうしよう……もうこちらにきて一週間以上経ってしまっている……お父様は絶対にお怒りだわ……)
怯え、恐怖。
頭の回転が早いローガンは、全てを察する。
「大丈夫だ」
ローガンが手をばし、安心させるようにアメリアの頭をでる。
「確かにし遅くなってはしまったが、そもそもハグル家との最初の取り決めでは、支度金の支払い期日など厳な取り決めはしなかった。準備が出來次第送るというこちらの要を先方は呑んだ形だから、本來であれば文句を言われる筋合いはないはずだ」
常識という観點で照らし合わせても、別に一ヶ月、半年遅れたというわけではない。
一週間という期間は許容の範疇だろうというのがローガンの見解であった。
「ありがとうございます……そう仰っていただけると、助かります」
「うむ。それに、今君はへルンベルク家の人間なのだ。直接的に危害を加えられることは、まず無いだろう」
安心させるようにローガンが言ってくれるから、アメリアのをらせていた張が徐々に解れていく。
「さて……とりあえずは取り決めのこともあるし、早急に手続きを進めようと考えているが……」
じっとアメリアの目を見て、底冷えするような聲でローガンは言った。
「本心を言うと、支度金なぞ払いたくないと俺は思っている」
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