《【書籍化】キッチンカー『デリ・ジョイ』―車窓から異世界へ味いもの輸販売中!―【コミカライズ】》複雑でいて単純
2話更新
こちらは1話目
もとっぷりと暮れ、中井たちを門前で見送った俺は、その足で駐車場に停めてあるキッチンカーへと乗り込んだ。
空を見上げれば、貓の爪みたいな月が出ていた。月明かりなんて言えるほどの明るさはないけど、その分は地上の明かりがある。レイモンドとフィヴが、一番初めに驚いていたのが、夜になっても外が明るいことだったなぁ。
ジィ様と話せるかな?と思って乗り込んだのだが、聲を掛ける前に何の気なしに窓を開けてみることにした。
三人揃って條件が満たされたんだと理解しているが、俺一人で開けた場合、晝間と同様に繋がるのか。場所も時間も違うから全く繋がらないか。こう言った謎ってのは、何事も実験や確認が必要だと思うんだよね。
というわけで、レイモンドの世界に通じている窓を開けてみたんだが、真っ暗な地下室みたいな部屋に繋がっていて、予想外のことに目を凝らしたまま茫然自失。人様のお家に無斷侵しちまったのかと意識を飛ばしかけてたところに、燈りを手にした赤の男が室してきて、俺とばっちりご対面をしたわけだ。
あちら様も驚愕の景に足を止め、目を剝いて俺を見據えていた。そうだろう。壁から見知らぬ人間が生(・)え(・)て(・)る(・)んだからな。は…ははは…。
さすがに先に茫然としていた俺は、すぐに我に返って反的に窓を勢い良く閉めた。
背中を冷汗が一筋、つつーっと落ちていった。
「…どうなってるんだ?」
―――縁ある者の近くに移したんだろうのぉ。―――
呼びかけてないのに答えが返ってきて、俺は思わず店舗を見回してしまった。ジィ様の本はこのキッチンカーだってのに、なんだか仙人みたいな姿を想像してしまって、聲がするとどこかに姿を現すんじゃないかと期待してしまう。
「近くにって、レイがさっきの場所の近くにいるってことか?」
―――そういうことだのぉ。なぜにあんな地下なのかは知らんが、先ほど出會った者は縁ある者か縁者だのぉ―――
「縁だから俺と會えた?だったら、親しい友人とかは?」
―――無理だのぉ。主が會っておる最中に側におることはできるが、あちらと対面することはできんのぉ―――
やはり駄目かぁ。ただ証明のために會わせたいなんて、邪な考えでしかないからなぁ。
「ところで…場所や時間が違うのに、なんで繋がるんだ?」
―――一度、ここで繋げてしもうたからのぉ。月夜の晩には一方ずつなら繋がっておる―――
「ああ、あれか!?この間みたいに両方の窓を一遍に繋げることはできないけど、一方ならってこと?」
―――うむ。あれは主ら縁ある三人が揃った狀態で、月と儂の力があってこそし遂げられた奇跡だからのぉ―――
つまり、片方なら異世界と繋がるが、両方の窓を開けて繋げることはできないってことか。でも、ここで異世界と繋がるんなら、営業時間を気にせず會えるのはいいかも。
「なぁ、ジィ様。なら晝間の接続はどうなってんの?」
―――今、ここで繋がってしもうた場所は、晝間に繋がることはもうないのぉ。あそこはのぉ、主と異界の者とを出會わせるために、あちらの神が場所と時を與えてくれた。もう事はしえたからのぉ。縁ある者は、この先あの場へ來ることはないだろうしのぉ―――
ということは、フィヴの方もこの場でなら彼の近くに繋がっているってことになるんだが……さっきのアクシデントが頭に蘇って、窓枠に手をかけたが引くことに躊躇した。
だってさ、フィヴの側に居るのは、武闘派の親父さんと兄貴だって知ってるだけに、さっきみたいにばったり出會ってしまったら。
「絶対に得の知れない不埒者扱いされるよな……」
―――どうじゃろうのぉ…ふぇふぇふぇ…―――
その笑い聲にムカッと來て、しだけ窓を開いた。おう!どうせ小心者ですよ!さっきみたいに全開は無理ですよ!
細く開いた隙間にそっと目を近づけ、向こうを覗き込んでみたんだが、なんとそこは森の中だった。
見渡す限りの草原地帯から、今度は見渡す限り大木が林立している森林地帯ですよ。確か豹族は森林に棲んでいるって言ってたもんな。
しばらくそのまま辺りを窺い、人の気配がないことを確かめてからもうしだけ窓を開けてみた。それから、この窓がどんな場所に位置しているのか、を乗り出して確認した。
今度も大木の幹に設置されていて、宙に浮く謎の窓じゃないことにホッとした。
なんか嫌だったんだよね。あの宙に浮かんでる狀況ってのは。なんでかって言うと、窓を閉めてしまうと位置が特定しにくくなるだろう?レイモンドは上手く目印になるを見つけておいて、大この辺りと見當をつけて待っていたらしいんだが、それもなんか申し訳ないって言うか…端から見たら、可哀想な子扱いされそうで…。幸運にも誰の目にもつかずに來たが、この先は分からないしな。だからって、人様の家の中(?)が良いってわけじゃないんだが。
深い森の中をぐるりと見渡し、思い切り深呼吸をしてみた。緑の匂いに土の匂い。それらに混じって腐葉土から立ち上るった匂い。これは森林浴にもってこいな場所だなーなんて呑気に思ってしまった。
で、そこでふと気づいたわけだが。
今度はここに窓が移したって、どうやってフィヴに伝えるんだ?
レイモンドはいいさ。さっきの兄ちゃんが驚いて騒いでくれりゃ、それを聞いたレイモンドはなんとなく気づいてくれるだろう。それが駄目でも、建の部らしいからいずれは顔を合せる機會が來るだろう。
しかーし、フィヴに繋がる窓は森林の中。この森はどれくらいの広さなのか分からないが、近くを通らない限りは窓に気づくことはない。
フィヴがあの草原地帯にまだ窓が設置されていると思い込んで、わざわざ遠出することになってしまったら…申し訳ないどころか、オヤジさんと兄貴にボコられるくらいの覚悟は必要かもなぁ。
―――ふぇふぇふぇ…そう気を落とすな。味い匂いでも流してやれば、すぐに気づくだろうて―――
ああ…そうだった。最初にフィヴが引っかかったのも、料理の匂いが流れ出ていたからだったんだ。
食いしん坊な異世界人二人は、やはり食いの匂いでおびき寄せるに限るのかもな。
マイコプラズマにやられまして、咳が止まらず薬が効かずで息も絶え絶えです。
とりあえず2話分を更新して、落ちついたら再開しますので、よろしく!
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