《【書籍6/1発売&コミカライズ配信中】辺境の貧乏伯爵に嫁ぐことになったので領地改革に勵みます》第43話 孵化
アンジェリクをブールに連れ帰るために派遣されたドラゴンは、ブランカだった。し見ない間にがずいぶん大きくなっている。
「卵が孵りそうで、ラッセが來たがらないんです」
ブランカに乗ってきたエリクが頬を紅させて言った。
ブランカでも十分に人を乗せることはできるし、往路も復路も人を乗せていれば迷子になる心配もないと思ってと、フクロウ便の指示とは違うドラゴンで來た理由を説明した。
「ブランカ、偉いわ。こんな遠くまで、よく來たわね」
アンジェリクが褒めると、エリクとセルジュが、子どものブランカにとってさえ、王都はそれほど遠くないはずだと言った。ドラゴンの飛行能力は桁違いらしい。
白いドラゴンを囲んで和気あいあいと話しこんでいるアンジェリクたちを、城のみんなが遠巻きに見ていた。
「本當に、ドラゴンだ……」
「前のやつとが違うぞ」
「し小さい? いや、十分でかいけど……」
ついに本のドラゴンを目にしたコルラード卿とフレデリクは、口をぽかーんと開けたきり固まっていた。
使いの馬車から降りたフェリクス卿も目を丸くしてブランカを見上げる。
「義父上(ちちうえ)、ブールの街道は傷に障りますから、僕たちと一緒にブランカに乗っていきませんか?」
セルジュに言われてはっと我に返ったコルラード卿は、慌てて首を振った。
「ドラゴンがいることはわかった。ブールには、傷が治ってから行くことにしよう。フェリクス、それでいいな」
「あ、ああ……」
二人は、赤ちゃんが生まれる頃にブールを訪れる、今回の予定は取りやめたいと言った。
ほかのドラゴンも見せたかったが、これから卵が孵化するなら、しばらくはそっとしておいてやりたい。
アンジェリクたちにとってもそのほうがよかった。
「ラッセとサリの卵が孵りそうなの。私たち、このままおいとましてもいい?」
アンジェリクがすまなそうに言うと、全然問題ないと二人の公爵は揃って大きく頷く。
素早く支度を整えて、セルジュの手を借りてブランカに乗った。
「じゃあ、またね」
エリクを前方に、後方にセルジュとアンジェリクを乗せたブランカは軽々と飛翔した。ラッセにも全く劣らない力強さに、本當にドラゴンの飛行能力はすごいのだとアンジェリクは興していた。
「セルジュ、これ、活かさなきゃダメだわ」
「え、何?」
「帰ったら、お父様たちからいただく領地について検討しましょう」
そして、あの人はやはりブールの領地で雇おうと考える。
「ドラゴン使いも増やさなきゃ」
ブールに到著すると、最初にラッセとサリと卵の様子を見に行った。
もう生まれるかもしれないと言うので、そのままそこで見守ることにした。
生まれる瞬間に間に合ってよかったと思う。
セルジュはラッセたちが生まれる時に立ち會っているから、初めてではないけれど、自分が育てたドラゴンたちの最初の卵だ。孵化するところは、やはり見たいだろう。
アンジェリクも見たい。
廄舎の隅に集まって、みんなで見ていた。
サリが卵を抱いていて、ラッセはじっとサリに寄り添い、時々グルルと小さくを鳴らしている。
「カサカサって音が、さっきから聞こえてます」
ジャンとほかのドラゴン使いたちが、サリの腹の下に注目しながら囁いた。
耳を澄ますと、確かにかすかな音が聞こえる。
「あ……」
サリがゆっくり立ち上がり卵の上からどいた。
一つ目の卵のてっぺんにひびがるのが見えた。
「生まれる……」
ひびはしずつ大きくなり、やがてペリッと小さく殻が剝がれる。しずつ、しずつ、剝がれた部分が大きくなって、中からトカゲに似た生きものが顔を出した。
の割に大きな頭に、カエルのように出っぱった目がついているが、その目はまだ閉じている。
グルルとラッセがを鳴らした。
灰の赤ちゃんドラゴンがもぞもぞと殻の外にでてきて、ラッセの鼻先に近づいていった。
ラッセは自分の鱗を剝がして赤ちゃんドラゴンに與えた。ぱりぱりとそれを噛んでのみ込むと、赤ちゃんドラゴンはその場ですやすやと眠ってしまった。
二つ目の卵にもひびがり、二匹目の赤ちゃんドラゴンも無事に誕生した。
サリとラッセが互いの鼻をくっつけ合って、小さな二匹をしそうに見ている。灰の赤ちゃんドラゴンたちはまだ大きなトカゲにしか見えないが、背中にはちゃんと翼らしきものがついていた。
ブランカが二匹に近づくと、サリとラッセはブランカを真ん中に挾んで鼻で突いて何か伝えていた。
おねえちゃんになったね、と言っているように見えた。
「最初のうちは、親の鱗を何枚か食べて、三日くらいするとやほかのエサも食べるようになる。サリとラッセにはし多めに水晶を與えてくれ」
ほうっとため息を吐いて、小さなドラゴンを眺めているみんなにセルジュが靜かに指示を與えた。
灰だった赤ちゃんドラゴンは一週間くらいすると、それぞれ小さな鱗に覆われ始め、一匹は緑、もう一匹は紫のドラゴンに変わっていった。
緑のドラゴンは男の子で、ボアと名付けられた。
紫の子はの子でビビという名前になった。
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