《【書籍化】『ライフでけてライフで毆る』これぞ私の必勝法》ギルド長フィーネとの出會い。そして
この話で日刊1位を獲りたい。
それだけの想いで狂気の一日二話投稿です!
本日午前7時に一話目が投稿されております。お気をつけ下さい。
大神殿。グレゴールさんを探してさ迷い歩いた私は、裏手で忙しそうにしている彼を発見した。
どこか急いでいるような様子。引き止めて良いのかしだけ迷ったが、私も後が控えているので聲をかけることにする。
「グレゴール、さん」
「……ユキ様。私のことはグレゴール、と」
「あ、ごめんなさい。 えっと、グレゴール」
「はい。 なんでございましょう」
「その、ゴブリンの砦?のことなんですけど」
その瞬間、空気が変わったのがわかった。
和な表が一変し、締まった戦士の顔になる。
……多分だけど、こっちが素じゃないかな。
「……その話を、どこで?」
「えーと。探検してたら、遭遇」
「…………別室でお伺いしても? そう時間は取らせません」
いま、一瞬『こいつは何言ってるんだ』って顔された気がするよ。
なんとなく察しては居たけど、これは思った以上に大事の予だね。
◇◇◇◇◇◇◇◇
神殿の、奧の一室。
先日……というか、今朝か。 通された部屋とはまた違う、來賓用の部屋。
示されたソファに座り、グレゴールさんと向き合った。
「申し訳ありませんが、同席させたい者がおります。構わないでしょうか」
「あ、もちろん」
「謝します。では、もうしだけお待ちを」
こくりと頷く。
出されたお茶を飲んで待つこと、2.3分。
扉が開かれ、誰かがってきた。
金の髪を肩まで降ろした、翠眼の。
尋常ならざる佇まい。なかでも一番の特徴は、その尖った耳だろう。
というかあれだね。私、やばい人としか出會っていないような気がするんだけど。
表示されるレベルは當然のように150。あはは。私の常識がぶっ壊れていくよ。
……あれ? そう言えば、あのおばあちゃんだけはレベルすら表示されなかった。一何者なんだろう。
「…………フィーネ。 ノックをしてくださいと何度言えば」
「もー。いつもいんだから。おいのは名前だけにしない?」
「フィーネッ!」
「あは。冗談…………あら、今日は見慣れない子がいるのね?」
フィーネと呼ばれたの意識が、こちらに向けられる。
その眼が一瞬鋭いものに変わり、私は思わずが締め付けられるような思いを覚えた。
「……ユキ、です」
立ち上がる。
正面から見返し、堂々と目を見返して、応答。
ふっとが楽になる。彼を見ると、悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
「……フィーネ。初対面の相手を試すのは辭めなさいと」
「あはは。癖みたいなものだから。ごめんね?ユキちゃん。
私はフィーネ。一応、ここの冒険者ギルド長をしているわ」
首を橫に振る。大丈夫。全くもって問題は無い。
正直なところ、レベルを見た時點で覚悟はしているしね。
「それにしても、ユキってことは……貴が?」
「え、えーっと。多分?」
「ユキ様、自信を持ってください。紛れもなく、貴様が聖です」
うえっ。怒られちゃった。
そ、そうは言ってもさ、こんなやばやばそうな人たちに囲まれて、『お前があの……?』みたいな扱いされても萎しちゃうって。
「なるほど。話をしてみたいとは思っていたけれど、想定していたより早かったわね。
それで?急報告って何かしら。その娘に関わること? 」
「ゴブリンの砦が、発見された。詳しくはまだ聞いていないが……」
「……なるほど。ユキちゃんが、見つけたのね?」
こくりと頷く。
うーん。空気がとても重い。
「砦までが出來ていたとなると、警戒レベルを上げた方が良さそうだ」
「そうね。砦が完してからの奴らのきは早いわ」
不意に、グレゴールさんの視線がこちらに向いた。
「正直にお答えください。責めるつもりはありません。砦とは戦しましたか?」
「え?あ、えーと…………はい」
うげ。眼が鋭くなった。
「不味いわね。やつらの砦が完していたとして、一度大きな刺激をけると一気にそこを拠點にして攻め寄せてくるわよ」
「……今すぐ砦に攻撃を仕掛けても……間に合いませんか」
「厳しいでしょうね。今更砦を壊したところで、もう既に後ろに伝令が行っているだろうし」
深刻な表で話しあうお二人。
こ、これはかなりマズったかもしれない。
……あれ?でも。
「あ、あの」
「なにかしら」「どうされました?」
一斉に問い返されて、思わず言葉に詰まった。
「……砦なら、もう使えないと思います」
「「……は?」」
二人の聲が、重なる。
絶世の二人が揃って口を開ける姿は、なかなかに印象的だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「あっはっはっはっ!!」
甲高い笑い聲が、部屋中に響き渡る。
目に涙まで浮かべて大笑いしているフィーネさんの姿に、私は思わず面食らった。
「…………つまり、ユキ様はお一人で西門の先、魔の地帯を探索。ゴブリンの砦を発見し、戦。そのまま破壊してしまった……ということですか?」
確認をとるグレゴールさんも、どことなく呆れ顔。
でも、どことなく楽しそうに見える。
「えっと…………すみません」
「いえ、とんでもありません」
「あーーお腹痛い…………ユキちゃん、大丈夫。最高よ」
ぐっと親指を立てるのは、フィーネさん。
なんというか、短時間でいろんな表を見せてくれる方だね。
……最高?
「そもそも私が説明をしなかったのが問題なのですが…………ドゥーバの西門から出てしばらく進んだ先は、魔……とくにゴブリンどもの勢力が一段と強く、『魔の領域』と呼ばれています」
「普段はそこまで脅威でも無いのだけど、十數年に一回。ゴブリンたちの勢力が一段と強くなることがあるのよ。
この街周辺でゴブリンのきが活発になるのが前兆。そして決まって、街からし離れたところに奴らの前線砦が建てられるの」
こくこくと頷いて、説明を聞く。
「前線基地の建設が、我々にとっての危険信號。それから暫くすると、そこを基點としてゴブリンの大侵攻が行われます。
完した砦を刺激してしまうと、危機を覚えた彼らのきが一気に早まる……と分析されています」
「そんなところにユキちゃんが砦をぶっ壊したなんて言うものだから、つい笑っちゃって。
完された拠點が突然の襲撃により破壊された以上、もうしばらくは私たちに猶予が與えられたことになるわ。本當にありがとう」
「えーと……勢いのままいちゃっただけですので、むしろ申し訳ないというかなんというか」
「うふふ。それが異邦人の強みね。今回はそれがプラスに働いた。素直に喜びましょう」
『EXクエスト[ゴブリンの前線基地]を完了しました』
『レベルが26に上がりました』
『エクストラクリアを達』
『レベルが28に上がりました』
『[ドゥーバの希]を獲得しました』
『ワールドアナウンス』
『これは、ログイン中の全プレイヤーに配信されています』
『ワールドクエスト[ゴブリンの大侵攻]が開始されました』
『詳細は、メール並びに公式サイトをご覧下さい』
あー……えっと。
結局そうなるんかーーーーい!!!!
お休みと稱したカナユキ回を挾んで、一つまた山場…………の予定だけど、ユキちゃんすぐ暴走するから未定としておきます。
妹と兄、ぷらすあるふぁ
目の前には白と黒のしましま。空の方に頭をあげると赤い背景に“立ち止まっている”人が描かれた機械があります。 あたしは今お兄ちゃんと信號待ちです。 「ねぇ、あーにぃ」 ふと気になることがあってお兄ちゃんに尋ねます。お兄ちゃんは少し面倒臭そうに眠たそうな顔を此方に向け 「ん? どうした妹よ」 と、あたしに話しかけます。 「どうして車がきてないのに、赤信號だと止まらないといけないの?」 先ほどから車が通らないしましまを見ながらあたしは頭を捻ります。 「世間體の為だな」 お兄ちゃんは迷わずそう答えました。 「じゃああーにぃ、誰もみていなかったらわたっていいの?」 あたしはもう一度お兄ちゃんに問いかけます。お兄ちゃんは右手を顎の下にもって行って考えます。 「何故赤信號で止まらないといけないのか、ただ誰かのつくったルールに縛られているだけじゃないか、しっかり考えた上で渡っていいと思えばわたればいい」 ……お兄ちゃんは偶に難しい事を言います。そうしている間に信號が青に変わりました。歩き出そうとするお兄ちゃんを引き止めて尋ねます。 「青信號で止まったりはしないの?」 「しないな」 お兄ちゃんは直ぐに答えてくれました。 「どうして?」 「偉い人が青信號の時は渡っていいって言ってたからな」 「そっかー」 いつの間にか信號は赤に戻っていました。 こんな感じのショートストーリー集。 冬童話2013に出していたものをそのまま流用してます。 2016年3月14日 完結 自身Facebookにも投稿します。が、恐らく向こうは二年遅れとかになります。 ストリエさんでも投稿してみます。
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