《《書籍化&コミカライズ》神を【神様ガチャ】で生み出し放題 ~実家を追放されたので、領主として気ままに辺境スローライフします~》118話。帝國の飛空艇団を倒す
僕は魔竜と飛竜、合計10匹のドラゴン軍団を率いて、王都に向かった。
MP節約のためにバハームトは召喚せず、僕たちは魔竜に乗って飛んでいた。同行しているのは、ルディアとメリル、それにイリーナだ。
『今、報がりました! 國王陛下と王妃様、エリオット王太子殿下は南門より出て、シレジアに向かう手筈です! 我が近衛騎士団と宮廷魔導師団の鋭が護衛につきます』
メリルが首から下げた水晶玉より、近衛騎士団長のダミ聲が響く。
近衛騎士団長は敵軍に占拠された王宮に隠れ潛んで、報を送ってくれていた。
相當な重傷を負っているようで、息も絶え絶えな様子だ。
「アンナ王の行方はわかりませんか!?」
『……申し訳ございません。アンナ王は、魔王リヴァイアサンを名乗るダオス皇子に捕らわれ、行方知れずです』
近衛騎士団長は、屈辱に聲を震わせた。
魔王リヴァイアサンは本のようで、近衛騎士団が手も足も出なかったようだ。
『王都上空には、帝國の飛空艇団が飛來し、兵の詰め所や冒険者ギルドに砲撃を浴びせています。さらには、降下したゴーレム兵団が國王陛下を討とうと、殺到しつつあるようです! なにとぞ、アルト様のお力をお貸しください!』
「わかりました。まずは、國王陛下をお救いします!」
狀況は最悪だった。
まずは優先度の高いことから手を付けていくしかない。
やがて王都が見えてきた。
その上空には、いくつもの砲門を備えた空飛ぶ船──帝國の飛空艇団が布陣し、火を吹いている。その數、10機とかなり多かった。
「帝國はあんな兵を開発していたのか……大量のゴーレムや兵士を運べる上に、砲撃までできるとは恐ろしいな」
地上から散発的に反撃の魔法が放たれるが、飛空艇までは屆かない。王都の守備隊は、一方的に毆られる狀態になっていた。
「マスター、敵戦艦より攻撃魔法の反応を検知しました。【魔法無効化フィールド】を展開します」
メリルが結界でドラゴン軍団を覆う。
同時に、飛空艇団から長距離魔法攻撃が放たれた。いくつもの雷撃が、僕たちの周囲で跳ねる。
被害はないが、一瞬、肝が冷えた。
「危ないっ!? あんな遠くから攻撃ができるのね。アルト、バハームトを使って、あんな船なんて一気に落としちゃいましょう!」
僕にしがみついたルディアがぶ。
「いや、おそらくゴーレムにMPを供給するために、飛空艇団には多くの奴隷が乗せられていると思う。それに撃墜したら、王都に被害が出るだろう?」
飛空艇は大砲を撃つために火薬を積んでいる。撃墜したら大規模な火災が起きるだろう。
「ええっ!? それじゃ攻撃できないじゃない!?」
「大丈夫だ。飛空艇の部に侵して乗っ取ってやろうと思う。そのために、ヘルズウサギとダークエルフたちを連れてきたんだ」
5匹の魔竜たちは、溫泉客の送迎用の客室を牽引していた。中には、ヘルズウサギとダークエルフが待機している。
飛空艇団を無力化すれば、ゴーレム兵団もきを止める。國王陛下を救うためにも、速攻で片付けてやろうと思う。
「はい、お任せ下さいアルト様。今の攻撃で敵の底が知れましたわ。この程度の相手なら、魔王ベルフェゴール様のスキルを継承した私の敵ではありません」
イリーナが自信ありげに微笑した。怠惰の魔王のスキル【完全自迎撃(オートマチックファイヤ)】をけ継ぐ彼は、神々と比べても遜ないほどの戦闘能力を持っている。
「きゅきゅーん!(ボクたちにお任せを! どんない敵でも、この爪で引き裂くのだ!)」
ヘルズウサギのモカが客室から大聲を上げた。多くのヘルズウサギたちが賛同の大合唱をする。
「アルト様、イリーナ様、白兵戦の準備はできております! しかし、このウサギども、もふもふですね!」
ヘルズウサギと同じ客室にすし詰めにされたダークエルフも、準備完了を伝えてきた。
『ハハハハハッ! これが噂のシレジアのドラゴン軍団か!? 殘念だが、我が飛空艇団はミスリル裝甲板に覆われている。たとえドラゴンブレスでも、弾き返すぞ!』
敵の飛空艇より、勝ち誇ったような聲が響いてきた。音聲拡大魔法で、敵指揮が挑発を飛ばしてきたのだ。
『ドラゴンが空の支配者であったのは、過去の話よ! 我が帝國の錬金は、ドラゴンを空中戦で撃ち倒すほどの兵を生み出したのだ! 対空魔導砲、全砲門開け! 偉大なる叡智の神メーティスよ、我らに勝利と栄を!』
「マスター、【分析(アナライズ)】によると、敵はSランクの砲撃魔法を発しようとしています。私の【魔法無効化フィールド】では防げません。全力での回避を推奨します」
「なにっ!? わかった! みな散れ!」
僕はドラゴンたちに散開を命じる。
『ご主人様、安心するのじゃ! 飛空艇団とやら、殘念じゃが、おぬしらに勝利と栄なんぞは與えてやれぬの。メリル、イリーナ! 特訓の果を見せてやるのじゃ!』
メリルの持つ水晶玉より、メーティスの聲が響いた。
「メーティス様、了解です。時間遅延魔法【スロウ】連続起」
「はい、【スロウ】!」
メリルとイリーナが、【スロウ】の魔法を同時にいくつも放つ。
飛空艇団から、流星群のように魔法の矢が発されたが……それらは非常にゆっくりたスピードだった。
僕のドラゴン軍団は、らくらくと敵の撃をかわしてのける。
『な、なんだ!? 対空魔導砲の調子がおかしいぞ! 整備不良か!? 砲撃魔導師なにやってんの!?』
『提督! 未知のデバフ魔法をかけられたようです! 航行速度低下! 解析不能、
解析不能!?』
『バカな!? 我が帝國を上回る魔法技だと!? あり得ん!』
敵が慌てふためいていた。
どうやら、スロウの効果は飛空艇の兵裝全般に及んでいるようだ。
この魔法、とんでもないな。
『ぬははははっ! わらわの開発した魔法を短時間で解析して解除することなんぞ、不可能なのじゃ!』
メーティスの笑い聲が飛んだ。
「よし、今だ! 魔竜たち全速力だ。飛空艇の上に回れ!」
「グォオオオン!(かしこまりました、ご主人様!)」
わざわざ敵指揮が挑発してきてくれたおかげで、聲の方向から旗艦がわかった。
僕たちを乗せた魔竜は、一直線に敵旗艦に向かっていく。
他の魔竜たちは、それぞれ別の飛空艇に向かった。
『弾幕を張れ!』
距離が近づくと敵は、がむしゃらに大砲や魔法を撃ってきた。
魔法は魔導師個人が撃っているようで、スロウの効果は及んでいないが問題ない。メリルの【魔法無効化フィールド】が、Aランク以下の魔法はすべて無効化してくれる。
「うきゃああああっ、ちょっとヤバいんですけどぉおおお!」
ルディアがあまりの速度に絶する。そう言えば、高所恐怖癥だったよな。
「ここだ! ウサギ空団、降下!」
「もきゅきゅーん!(突撃!)」
モカをはじめとした、ヘルズウサギたちが眼下の飛空艇めがけて飛び降りる。
ヘルズウサギは、どんな巖盤をも穿く爪を持っている。それで飛空艇の天井にを開けて、部に潛した。
『提督! ウサギがウサギが侵してきています。うぎゃあああ! こいつら強い!?』
『バカなぁあああっ! ミスリル裝甲板にを開けただと!?』
『侵者迎撃用のゴーレムが、次々に撃破されています!』
ヘルズウサギはさっそく暴れ回っていた。頼もしい限りだ。
「ダークエルフ部隊も降下! 敵旗艦を制圧してくれ!」
「了解しました!」
ダークエルフたちも降下して、敵旗艦へと侵していく。
「イリーナ、この場は任せた。すべての飛空艇を白兵戦で無力化するんだ。僕たちは、國王陛下の元に向かう!」
「わかりました。アルト様、格の違いを思い知らせてやりますわ」
イリーナがうやうやしく頭を下げる。
「バハムートよ、來い! メリル、ルディア、行くぞ!」
「わかったわ! てぇ、怖いぃいいい!?」
「はい、マスター」
僕はバハムートを召喚し、ルディアを抱きかかえて、その背に飛び移った。
目指すは國王陛下の元だ。
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