《【書籍化】盡くしたがりなうちの嫁についてデレてもいいか?》お弁當とお約束
木々や野花を眺めながら林道を二十分ほど進むと、湖が見えてきた。
りこは歩いている間、しきりに楽しいねと言っては俺に微笑みかけてくれた。
とにかくりこが可すぎて、デレデレした顔をしないよう気をつけるのに必死だ。
並んで歩いているだけで、どうしてそんなにうれしそうにしてくれるのかはわからなかったが……。
湖畔には人工芝が植えられていて、シートを広げた人々が日浴をしながら晝食を摂っている。
「りこ、俺たちもここでお晝にしようか」
「うん! 向こうにホットスナックのワゴンが出てるから、私買ってくるね!」
「あ、りこ待って! じ、実は……お弁當作ってきたんだ……」
「えっ!?」
「初めて作ったから味しいか自信ないんだけど……」
「湊人くんが作ってくれたの……?」
「う、うん」
「湊人くんの手作り……。……っ」
息を呑んだりこの目にじんわりと涙が浮かぶ。
「わあ!? りこ!? ごめんっ、そんなに嫌だった!?」
「ち、違っ……! 私、しちゃって……! えへ、びっくりさせちゃってごめんね。すごくうれしい。ありがとう……!」
目にたまった涙を拭いながら、りこがにっこりと微笑む。
俺は言葉を失ったまま、無言で頷き返すことしかできなかった。
まさかここまで喜んでくれるとは思っていなかったから、今口を開いたら、聲が震えてしまいそうだ。
りこのために何かがしたい。
その一心で慣れないことに手を出してみたのだが、チャレンジしてみてよかった。
今朝は三時起きで、まともなお弁當ができるまで三時間以上かかってしまったものの、諦めなくてよかった。
ほわほわとした夢見心地でリュックを開け、中から弁當箱を取り出す。
わくわくした瞳で弁當箱を見ているりこの目の前で蓋を開けると――。
「うわっ!? そんなぁ……」
箱の右側にが全部寄り、押しつぶされてめちゃくちゃな狀態になっている。
ショックすぎて、頭が真っ白になった。
こんな狀態では、りこに食べさせられない。
「湊人くん……」
「ご、ごめん。俺、さっきのワゴンで何か代わりのもの買ってくるよ……!」
「待って。大丈夫、食べれるよ」
財布を持って駆けだそうとした俺の腕を、りこが優しく摑んで引き止める。
「でも……」
「ほら、見ててね」
りこは、俺を安心させるようにニコッとしてから箸を摑んだ。
茫然としたままの俺の目の前で、りこが丁寧にお弁當の中を直していく。
「ね? おいしそうなお弁當にすぐ元どおり!」
まるでりこが魔法をかけてくれたかのように、お弁當はまともな狀態に戻った。
よく見れば玉子焼きが煮のでし変してしまっているし、トマトは潰れて割れているけれど、それはけれることにした。
だって、俺がこのお弁當を拒絶したら、わざわざ直してくれたりこの思いやりを否定することにもなってしまう。
「お弁當を持ち運ぶのって大変だよね。私もよくこの失敗しちゃうんだ」
りこはえへっと言って可くおどけて見せた。
彼の行のすべてが、俺の心を慮ってのものだとわかっているから、が切なくてしょうがない。
「湊人くん、お弁當食べてもいいですか?」
「あ、う、うん……」
「わーい! それじゃあいただきます」
りこは手を合わせて軽く頭を下げると、一番不格好な卵焼きに箸をばした。
張しながら見守る俺の視線をけ止めながら、りこが卵焼きを口に運ぶ。
「ん~~っ……! 甘くておいひい……!」
りこは幸せそうに目を細めると、自分の頬を掌で押さえた。
「ほらほら、湊人くんも食べてみて?」
「わかった……って、りこ? あのぉ、なんで箸で摑んだ卵を差し出してくるの?」
「湊人くんは私が湊人くんにあーんするのが大好きだってことを、そろそろ覚えるといいのです」
「ええええっ」
「というわけで、はい、あーん」
「そんなっ、人前なのに……!?」
「だめ?」
可い顔で問いかけられると、斷れるわけがない。
それにデート中に好きな子から『あーん』してもらえることは、全男子の夢だと言っても過言ではない。
おかしい。
りこを喜ばせてあげるはずが、また今回も俺ばかり幸せにしてもらっている。
何日も徹夜して立てた計畫がまったく役に立っていないことに、俺は薄々思いはじめていた。
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