《【書籍化】誤解された『代わりの魔』は、國王から最初のと最後のを捧げられる》21 夫とデート 1
結婚して4か月が経過した。
日々思うことは、私は何て素敵な國に嫁いできたのだろうということだ。
フェリクス様はいつだって思いやりに満ちているし、クリスタとハーラルトは可らしい。
侍や料理人、騎士の皆はいつだって私によくしてくれる。
ガーデンテーブルで紅茶を飲みながら、私は私の膝の上で寢そべっているバドに同意を求めた。
「ねえ、バド、私は本當に素晴らしい國に嫁いできたと思わない?」
けれど、私の言葉を聞いたバドは、“それはどうかな~”とばかりに尾を振った。
「判斷するのは早計じゃないかな。ルピアは『代わりの魔』だから、必ず代わりになる時がくるよね。問題は、その時にルピアが同じ言葉を言えるかどうかだよ」
「ごふっ」
できるだけ目をそらそうとしていた本質を突いた答えに、に紅茶を詰まらせる。
私は口から紅茶を吐き出さないよう、慌てて手で口元を押さえたけれど、バドは気にした様子もなく言葉を続けた。
「元々魔は、不幸を背負っている人に魅かれる傾向があるからね。命にかかわるほどの病気や怪我をして、そこから救われた君の夫が何を思うのか。いずれにせよ、これまでの価値観は引っくり返るだろうね」
「ま、まあ、バドったら脅かさないで!」
もうし心穏やかになる言葉を発してくれないかしらと、機嫌を取るようにバドの背中をで回したけれど、私の聖獣は素知らぬ様子でぴんとひげをばした。
「僕は心積もりを説いているだけだよ。そもそもなぜ僕がルピアとともに生まれたと思う? 聖獣である僕の力が必要になるから、神様は君の手の中に僕をお與えくださったのさ。恐らく、今後の君の人生において、君一人の手に余る事態が発生するのだろうね」
「それは……ごもっともな話だわね。聖獣様、どうぞよろしくお願いしますわ」
そう答えながらも、私はこのまま平穏無事な毎日が続いてくれればいいなと思っていた。
本當はバドの言う通り、いつか代わりになる日がくることは分かっていたけれど。
なぜなら『予知』とまではいかないまでも、魔にはお相手の不幸を先読んで、だからこそ相手に選ぶところがあったからだ。
けれど、心配して過ごしても、笑って過ごしても、迎える未來が同じならば、笑って過ごそうと私は決めていた。
だから、できるだけ楽しいことを考えて、フェリクス様の前で笑って過ごしていたのだけれど、一方では、國の國境沿いで不穏なきがあることも承知していた。
―――この國に嫁ぐ際、周辺諸國との関係について學んだ知識が頭をよぎる。
隣國との國境沿いにある鉱山からは、貴重な鉱が採取できる。
そのため、ここ數十年の間、スターリング王國と隣國ゴニア王國は、國境の位置を巡って爭いを繰り返していた。
加えて、ゴニア王國は急激に土地が瘦せてきており、沃なるスターリング王國の國土をしているとの黒い噂が出回っていた。
最近、フェリクス様の執務室を訪問する際、彼が不在にしていることが何度かあった。
宰相は急の謁見がりました、と毎回答えるけれど、あれはゴニア王國に関する報告をけているのではないかしらとかに考えていた。
フェリクス様が國境問題について私に話をすることはなかったため、私もそのことにれることなく、できるだけ笑顔で毎日を過ごしていたけれど、今日の午後は一緒に過ごそうと、珍しくフェリクス様からわれたのだ。
そのことが、何らかの不吉な予兆のようにも思われ、先ほどから、私は落ち著かない気分を味わっていた。
なぜなら母國にいる父と兄が、似たような行を取っていたからだ。
つまり、何事かの問題が発生すると、私にそのことを隠そうとして、普段よりも優しくなったり、私と過ごすための時間を作ったりしていたのだ。
「まさかね、まさかだわ」
私はそうつぶやくと、自分を落ち著かせるために再びバドをで回し、結果としてバドから嫌な顔をされたのだった。
―――そして、午後。
約束通り、フェリクス様は時間を作り、私とともに過ごしてくれた。
彼は私が病弱だと思っているため、できるだけ室で過ごさせようとする傾向がある。
そのため、本日は王宮に楽団を呼ぶと、2人でソファに腰掛け、ゆったりと音楽を鑑賞していた。
私はソファに座ったまま両手を組み合わせると、できるだけ目の前の演奏に集中しようとする。
けれど、どうしても隣に座っているフェリクス様を意識して、不規則に心臓がどきどきと高鳴り出した。
ちらりと橫目で見たフェリクス様が真顔で演奏を聴いている姿を見て、素敵だわと思う。
フェリクス様は笑顔がとっても素敵だけど、やっぱり真顔もいいわね、と。
それから、長い指を顎にかけている姿を見て、ああ、指の形も理想的ねとうっとりしたところで、はっと気を引き締めた。
ダメだわ、フェリクス様の何を見てもうっとりしてしまう。
このままでは演奏に集中できないし、心臓ももたないから、ちょっと冷靜になるべきだわと、無理やり視線を楽団に戻す。
それから、片手をに當てて落ち著こうと深呼吸をしていると、どういうわけかフェリクス様がその手を握ってきた。
「……はいっ?」
思ってもみない行為に驚いて、思わずフェリクス様に顔を向ける。
けれど、フェリクス様は素知らぬ様子で楽団を見つめ続けていた。私の手を握ったまま。
……いえ、もちろんフェリクス様は夫だから、れられても問題ないのだけれど、どうして今、手を握る必要があるのかしら?
自分でも心臓がおかしなくらいに高鳴り出したのをじ、これ以上は耐えられないと考えた私は、えいっとばかりに自分の手を引き抜こうとしたけれど、全く引き抜くことができなかった。
え、どうして、と思って摑まれた手を見下ろしていると、フェリクス様が私の耳元に口を近づけ、小さな聲でささやいた。
「ルピア、お行儀が悪いよ。せっかく演奏してもらっているのだから、大人しく鑑賞しないと」
「お、お行儀が悪いって……、そ、それは、フェリクス様じゃないの!」
思わず言い返すと、フェリクス様は不思議そうに首を傾けられた。
「どこがだい? 私はただ妻の手を握っているだけだよね? 君を膝の上に乗せているわけでも、君に抱き著いているわけでもないのだから」
「そ……、や……」
完全に破廉恥な行為を引き合いに出され、それと比べたらましだから、この行為は行儀が良いという論法はどうなのかしら!?
納得いかない気持ちで、顔を真っ赤にしていると、肩の上にいたバドがぺしぺしと尾を叩きつけてきた。
「えっ?」
それは、私が間違っていると言いたい時のバドの合図だ。
まあ、ということは、手を握ったまま演奏を鑑賞するのは、おかしな行為ではないということなのかしら。
正解が分からなくなった私は、仕方なくフェリクス様に手を握られたまま、演奏の続きを鑑賞した。
けれど、それ以降は握られた手に意識を取られ、演奏容は全て私の耳を通り過ぎていったのだった。
え、社內システム全てワンオペしている私を解雇ですか?【書籍化・コミカライズ】
とあるコスプレSEの物語。 @2020-11-29 ヒューマンドラマ四半期1位 @2020-12-23 ヒューマンドラマ年間1位 @2021-05-07 書籍1巻発売 @2021-05-13 Kin◯leライトノベル1位 @2021-07-24 ピッ○マ、ノベル、ドラマ1位 @2022-03-28 海外デビュー @2022-08-05 書籍2巻発売(予定) @編集者の聲「明日がちょっとだけ笑顔になれるお話です」 ※カクヨムにも投稿しています ※書籍化&コミカライズ。ワンオペ解雇で検索! ※2巻出ます。とても大幅に改稿されます。 ※書籍にする際ほぼ書き直した話數のサブタイトルに【WEB版】と付けました。
8 124【書籍版4巻7月8日発売】創造錬金術師は自由を謳歌する -故郷を追放されたら、魔王のお膝元で超絶効果のマジックアイテム作り放題になりました-
書籍版4巻は、2022年7月8日発売です! イラストはかぼちゃ先生に擔當していただいております。 活動報告でキャラクターデザインを公開していますので、ぜひ、見てみてください! コミック版は「ヤングエースUP」さまで連載中です! 作畫は姫乃タカ先生が擔當してくださっています。 2021.03.01:書籍化に合わせてタイトルを変更しました。 舊タイトル「弱者と呼ばれて帝國を追放されたら、マジックアイテム作り放題の「創造錬金術師(オーバーアルケミスト)」に覚醒しました -魔王のお抱え錬金術師として、領土を文明大國に進化させます-」 帝國に住む少年トール・リーガスは、公爵である父の手によって魔王領へと追放される。 理由は、彼が使えるのが「錬金術」だけで、戦闘用のスキルを一切持っていないからだった。 彼の住む帝國は軍事大國で、戦闘スキルを持たない者は差別されていた。 だから帝國は彼を、魔王領への人質・いけにえにすることにしたのだ。 しかし魔王領に入った瞬間、トールの「錬金術」スキルは超覚醒する。 「光・闇・地・水・火・風」……あらゆる屬性を操ることができる、究極の「創造錬金術(オーバー・アルケミー)」というスキルになったのだ。 「創造錬金術」は寫真や説明を読んだだけで、そのアイテムをコピーすることができるのだ。 そうしてエルフ少女や魔王の信頼を得て、魔王領のおかかえ錬金術師となったトールだったが── 「あれ? なんだこの本……異世界の勇者が持ち込んだ『通販カタログ』?」 ──異世界の本を手に入れてしまったことで、文明的アイテムも作れるようになる。 さらにそれが思いもよらない超絶性能を発揮して……? これは追放された少年が、帝國と勇者を超えて、魔王領を文明大國に変えていく物語。 ・カクヨムにも投稿しています。
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【書籍化&コミカライズが決定しました】 10年前、帝都の魔法學校を首席で卒業した【帝都で最も優れた魔法使い】ヴァイス・フレンベルグは卒業と同時に帝都を飛び出し、消息を絶った。 ヴァイスはある日、悪人しか住んでいないという【悪人の街ゼニス】で絶滅したはずの希少種【ハイエルフ】の少女が奴隷として売られているのを目撃する。 ヴァイスはその少女にリリィと名付け、娘にすることにした。 リリィを育てていくうちに、ヴァイスはリリィ大好き無自覚バカ親になっていた。 こうして自分を悪人だと思い込んでいるヴァイスの溺愛育児生活が始まった。 ■カクヨムで総合日間1位、週間1位になりました!■
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