《斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】》16.悪役令嬢は妹に訴えられる
フェルミナが大聲で泣き出した。
一瞬で空気が凍る。
「フ、フェル? クラウディアさんは、お手本に踴ってくださっただけよ?」
「うっ、うっ……あたしのことなんて、心バカにしてるんです!」
事実無だ。
そもそも教師に頼まれて踴ったというのに。
何がどうフェルミナの中で改変されたのかわからず、クラウディアは混する。
「何事だ?」
突然、背後からかけられた低い聲に、肩がビクついた。
振り返れば、ダンスホールの口にヴァージルが立っている。
「お兄様! お姉様が酷くて、あたし……っ」
フェルミナは大粒の涙をこぼしながら訴える。
か弱く泣き崩れる彼の姿に、ヴァージルは厳しい表をクラウディアへ向けた。
その表に見覚えがあり、張でが強張る。
(これって、途中から來たお兄様からすれば、わたくしがイジメたようにしか見えない狀況だわ)
警戒していたはずなのに。
いとも簡単にフェルミナにとって都合が良い狀況を作られて戦慄する。
「ディー」
「は、はい」
底冷えするほど冷たいヴァージルの呼びかけに、口の中が乾く。
(どうしよう、まだ弁解のチャンスはあるわよね?)
しかしクラウディアが何か言う前に、ヴァージルは踵を返してしまう。
兄の広くなった背中に、拒絶が見えた。
視界が真っ暗になり、斷罪されたときの景が頭を過る。
こんな呆気なく。
築いたものは覆されるのか。
前と同じように、軽蔑されるのかと指先が冷たくなる。
「どうした? 行くぞ」
けれどヴァージルのきには続きがあった。
クラウディアを振り返って、一緒に來るよう促される。
向けられた青い瞳に、先ほどまでの冷たさはない。
それどころか。
「何があった?」
クラウディアが隣に並べば、気遣わしげに尋ねられる。
どう説明したものかと考えていると、後ろに控えていたヘレンが口を開いた。
「わたしから説明させていただいてもよろしいでしょうか?」
「頼む」
「お願いするわ」
當事者より第三者のほうが客観的に伝えられると思い、ヴァージルに続いて同意する。
このとき、クラウディアは忘れていた。
やり直しの人生でも、ヘレンは妹のようにクラウディアを可がっていることを。
「あの娘はっ、こともあろうに!」
「ヘレン!? 落ち著いて!」
「クラウディア様を侮辱されて落ち著いていられますか!?」
「そ、それほどのことではないと思うわっ」
侮辱というよりは、言いがかりに近かった。
けれどヘレンにとっては、その時點で憤懣やるかたないようで。
結局、當人以上に的になるヘレンをなだめながら、クラウディアが説明することになった。
話を聞き終えたヴァージルは頭痛を覚えたようで、近くにいた侍に薬草茶を用意させる。
「あれは、妄想癖でもあるのか?」
「被害妄想のきらいはありそうですわね……」
フェルミナについて語るヴァージルの聲音は冷え冷えしている。
ダンスホールでじたヴァージルの冷たさや拒絶は、クラウディアではなく、フェルミナに向けられたものだった。
「先が思いやられるな。このことは父上にも報告するぞ」
「そうですわね……心労によるものかもしれませんし」
作為的ではあった。
ヴァージルの反応に肝が冷えたけれど、考えてみればダンスホールにいた誰から見ても、フェルミナのほうがおかしい。
リリスもクラウディアを庇っていたし、作られた狀況もお末なものだった。
クラウディアを狙って攻撃してきたのか、単に環境が変わったせいで心労がたたったのかまでは判斷がつかない。
「ディーはあれと距離を置いたほうがいいな。手本にはいいが、ディーを基準にしたら何もできなくなるだろう」
「クラウディア様ほど完璧な淑はいらっしゃいませんから」
あの侍長が認めるほどです、とヘレンが続ければ、重々しくヴァージルが頷く。
クラウディアがマーサの好みの淑を演じているだけだが、それも基礎ができているからこそだ。
相応の努力はしているので褒められるのは嬉しい。
嬉しいけれど。
「お兄様もヘレンも言い過ぎよ……!」
真剣な表で評する二人に、顔が火照る。
意図した以外での賞賛に、慣れないクラウディアだった。
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