《斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】》48.悪役令嬢は正解に辿り著く
やり直し前とは違い、今のフェルミナには圧倒的に味方がない。
取り返しがつかなくなる一歩手前、そこでフェルミナの知恵によって楽が見つかったらどうだろう?
クラウディアに限らず、ヴァージルもシルヴェスターも、何も知らなかったというフェルミナの主張を信じてはいない。
それでも表向き、フェルミナも生徒に騙された被害者の一人で、楽の紛失には関わっていないのだ。
生徒會役員や教師がどれだけ探し回っても見つけられなかった楽を、フェルミナだけが見つけられたら。
謝されるだけじゃなく、有能さも証明できる。
(今までの不確かな噂ではなく、確かな実績として名聲を得られるわ)
クラウディアなら、そうする。
だとしたらやり返す方法は一つ。
フェルミナより先に、楽を見つけることだ。
計畫容は推察に過ぎないけれど、隠し場所を考える手立てにはなる。
(わたくしなら、どこに隠すかしら?)
簡単には見つからない場所。
人の意表をつける場所。
一度置いたら、移させずに済む場所。かせばかすほど、人目につく危険が生じてしまう。
――一か所だけ、思い浮かぶ場所があった。
(ありえるかしら? 自分が疑われるかもしれないところよ……でも、そうね……証拠はないわ)
証拠がなければ、いくらでも言い逃れられる。
生徒會の空気が微妙になっても、フェルミナは見つけた実績さえ作れればいい。
(間違っていても、最悪フェルミナに見つけられるだけよ)
最終的に見つかることが前提なら、心に余裕も生まれる。
クラウディアは一つ息をつくと、壁へ手を向けた。
正確には、壁側にうずたかく積まれた、シルヴェスター宛ての贈答品へ。
「お兄様、あちらは確認されました?」
「あれは……まさか、トリスタン!」
「えっ!? 僕はちゃんと目録を確認して積んでいきましたよ!?」
「その目録はどこだ!?」
確認済みの書類の中から、目録を探り當てる。
ヴァージルが怪しい記録がないか確認する一方で、シルヴェスターから許可を貰った役員が、片っ端から木箱を開けていった。
「え、あ、あの……」
狼狽えるフェルミナの様子に、確信する。
楽は生徒會室へ、運び込まれていたのだと。
程なくして、木箱を開けていた役員から歓聲が上がった。
「ありました! フルート、それにトランペットも……!」
みんな木箱の存在は目にしつつも、シルヴェスター宛ての贈答品のため見逃していたのだ。
け取り時だけでなく、移するときにもトリスタンが目録を確認するし、勝手にってはいけないという意識が働いていた。
「間違いはないと思い込んでいたな」
生徒會室が喜びに包まれる中、ヴァージルが呟く。
けれど表は晴れない。それはクラウディアも同じだった。
ヴァージルは、目録の數字が書き換えられているのを発見したけれど、生徒會室にある目録に手を加えられるのは、生徒會室にいるものだけだ。
フェルミナの関與が疑われるが、彼が書き換えた証拠はない。
文化祭の準備中、役員の出りは激しかった。
「ということは、僕がそれと気づかず積んでたんですか!?」
「目録が間違っていたんだ。お前は悪くない」
愕然とするトリスタンを、ヴァージルがめる。
目録は宛先ごとに配達業者が作ったものだ。
シルヴェスター宛ての贈答品なら、誰から何個といった形で記されている。
だから業者にある控えと手元の目録を比べれば、書き換えの有無はわかる。
目録が確認されるのは二回。
贈答品を生徒會室の口でけ取ったときと、壁際へ移させるときだ。
どちらもトリスタンがする場合もあるが、け取りは他の役員がすることもある。
毎回すぐに移させるのは難しいので、け取り後はしばらく口に置いておかれることが多かった。
その間に目録の書き換えと、楽の混はおこなわれたのだろう。
そしていつなら口に贈答品が積まれているかを知れるのは生徒會役員だけだ。
何せ書類整理の合間に、せっせとトリスタンが移させるのだから。
「とりあえず楽が見つかって良かった! ディーはよく気づいたな」
「目にった木箱が気になっただけですわ」
「それでも俺たちは見過ごしてたんだ。ディーのお手柄だ」
クラウディアを褒めながらも、ヴァージルの視線はフェルミナへ移する。
みんなが喜びに沸く中、フェルミナだけは俯いていた。
彼が怪しいとヴァージルも思っているようだが、聲高に責めたりはしない。証拠がないと彼もわかっているからだろう。
他の役員からも口々に稱えられ、クラウディアはの中心になる。
「やはり君が恐れるほどの相手には見えないな」
誰にも聞かれないよう、耳元で囁いたのはシルヴェスターだ。
クラウディアの目にも、今のフェルミナはとても小さくじられた。
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