《【書籍化&コミカライズ】偽聖とげられた公爵令嬢は二度目の人生は復讐に生きる【本編完結】》51話 聖の儀式
「それではリシェル様。
聖の儀式を」
月日は流れ。リシェルは14歳の誕生日を迎えていた。
領地の危機は事前にガルデバァム奇襲を知っていたグエンとエクシスの活躍で、被害もでず解決できた。
ロゼルトもエクシスとマルクの支援で著実に地盤を固めている。
全てが順調に進んでいて、もしかしたらこのまま何もせずとも平和な世界が訪れるのではないかと錯覚してしまう程事は順調に進んでいた。
そしてリシェルも14歳となり正式に儀式をける事になった。
本來なら20歳でける聖の儀式だが、前世の失敗を元に、急ぎ儀式をすませ聖杯に力を注ぐ事にしたのだ。
一行は聖の儀をけるために聖の神殿へと來ている。
ここで啓示をけ、正式に聖の力を解放するのだ。
リシェルは祭壇の中央に一人歩みはじめた。
それをエルフの神達が見守っている。
ここはもともと神聖な場所のため、人間がることはできない。
その為普段はついていてくれるシークやジャミルの姿がないことに不安は覚えるが、我侭は言っていられない。
ロゼルトを救うためには聖の力を手にれ、世界の真理が書いてあるといわれる神書を読む必要がある。
この4年間に寢る時間も惜しんで書を読みあさったが魔族の契約を覆す記述はない。
なんとか突破口を見つけないと。
あと3年。3年のうちに見つけなければ、ロゼルトを救えない。
そのためには聖となり、聖しか読めない書に手を付けないと。
エルフの里の奧深くある神殿で。
何段も階段を登った所にある聖の祭壇に立つ。
祭壇には聖になるための神書ファラリスが空中に浮かんだ狀態で鎮座していた。
逆行前はれる事すらできなかった聖の神書。
初代聖ソニアが殘したといわれる力の欠片。
そっと手をばし――リシェルは神書に手をれた。
途端。
凄いが神殿を包み込んだ。
その場に居合わせた者すべてが目を開けているのも難しいほどの眩い。
「これはっ!?」
「まさか歴代の聖でここまで強いは見たことが……」
リシェルの耳に神達のざわめきの聲が聞こえ――急に景が変わる。
えっ!?
リシェルが慌てて周りを見回せば――そこに居たのは絵本などでよく見る初代聖ソニアの格好をしただった。
■□■
もしかして――これは邪神と聖との戦い?
巨大な神に。
初代聖ソニアは短剣一つで立ち向かっていた。
黒髪のとてもしい。
どことなく雰囲気がマリアに似てる?
そんなことを思いながらリシェルはその景を見つめていた。
リシェルはまるで空気と一化したようなのない狀態で意識だけがそこにあった。
山々の連なる景のなか、神とソニアは空中で対峙していたのだ。
二人は何か會話をしているが……會話までは聞こえない。
けれどが神を短剣で刺したその瞬間。が神から溢れ出し――ー。
邪神のは落下していく。
けれどソニアはまだ空中にいたままで
「せいばぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!」
ソニアが、大聲でびながら未知の武を空中で振りかざしていた。
何もない空間に。
「え、えっと……」
リシェルが意味がわからずその景を見ていれば。
ドシィィィィン!!!!
邪神のがリシェルより後方におちる。
慌ててリシェルがそちらを向けば、邪神のは霧散し消えた。
そしてそこに殘っていたのは――聖なる短剣だった。
そこで意識が戻る。
「大丈夫ですか聖様!!!」
エルフの神がリシェルに駆け寄り……そして息を飲んだ。
リシェルの手には神話に語られる聖の短剣クリフォロスが握られているのだった。
■□■
「流石リシェル様。
今まで歴代聖がし遂げた事のない聖の短剣クリフォロスを召喚されるとは!!」
儀式が終わり、外で待っていたエクシスが極まった表でリシェルに祈りをささげる。
シークとジャミルは神ではないのでこの場にはれないためさらに外で待機して待っている。
「有難うございます。エクシス様」
言ってリシェルが微笑めば、エクシスは頭をたれる。
いつもと違う雰囲気にリシェルが
「エクシス様……?」
と、尋ねれば
「いえ、この日を……何度夢見た事でしょう」
と震えた聲で答えた。
彼は前世でも。
ずっとリシェルが聖だと信じて行してきた。
聖本人のリシェルですら信じなかったのに。
そしてその信じた事が真実だったのだ、極まるものがあるのだろう。
「……ありがとうございます」
エクシスの想いを察してリシェルは笑みを浮かべた。
そして同時に申し訳なく思う。
リシェルは彼の言葉を信じず、心の中ではずっと恨んでいたのだから。
「……今まで申し訳ありませんでした。
私は貴方の言葉を信じてあげる事ができませんでした」
「いえ、前世で無理にでも貴方をエルフの里にお連れしていれば……あのような悲劇は防げたはずなのです。
たとえ役職を解かれた後でも。
貴方をここにお連れするべきだった。
全ては私の責任です」
「マリアが聖の力を使えたのですから仕方がなかったかと」
リシェルがエクシスの手をとれば、エクシスは意を決したような表で顔をあげた。
「今世では必ずや貴方のむ世界を。
あなた様に忠誠を」
言ってリシェルの手の甲に忠誠のキスを落とすのだった。
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