どうやら上手くいった。

舞踏會會場に飾られた神の中から魔族はほくそ笑んだ。

魔族の目論見通り――リシェル達はロゼルトを救う道を選んだ。

ガルシャ王子にまとわりついていた偵の神の一人を思導し、魔族の知識に関して間違った記述のある本をリシェル達に見せるように導した。

ロゼルトと魔族の契約が確定し、立するまでの僅かな間に魔族を倒せば、契約は無効になるなどという噓の記述があったはずだ。

ご丁寧にその期間は魔族の力が弱まるなどと噓の記述とともに。

リシェル達はその間違った記述を信じ、こうやって魔族との直接対決を選んだのだ。

そのための舞臺も魔族が用意してやったのだから。

マリアとガルシャ王子の思考をってこのような場で婚約破棄をさせた。

もちろんリシェル達は抗うだろう。

そしてガルシャ王子を斷罪し、失腳させ第二王子を即位させる。

リシェル達は契約が立したその僅かな瞬間に魔族を倒す道を選んだのである。

マリアとガルシャ王子は自分で婚約破棄などという結論にたどりついたと思っているようだが。

それとなくリシェル達と通している貴族がそそのかしていたことは、魔族には手に取るようにわかっていた。

だから魔族がマリアとガルシャの思考導をして後押ししてやったのだ。

この場に神殿の鋭部隊やエルフ・竜人を集結させたのも、何も第一王子を裁くためだけではない。魔族である自分を復活させ、契約立までの間に倒すため。

その証拠にリシェルは聖のみが使える短剣を所持し、戦闘態勢にっている。

リシェル達は選んだのだ。

魔族を倒す道を。ロゼルトを救う道を。

馬鹿な奴らめ。

大人しく終焉の業火にを任せていれば魔族を滅ぼせたものを。

魔族の真意など知らずに目の前では喜劇が繰り広げられている。

「そこまでだ――ガルシャ。

聖様に逆らった罪。

そので償うがいい！！

王位継承権を剝奪する！！」

まるで先程のガルシャを揶揄するかのように現國王が告げ、

「さぁ、聖様。

この愚かなる者に制裁を」

言って、エクシスはボコボコに毆りつけたガルシャを差し出す。

「や、やめろっ！！やめてくれっ！！！」

魔法でけないガルシャにリシェルは軽蔑の眼差しを浮かべ

「例え、現時點で貴方がしたことでないとしても。

それでも――過去の貴方の所業は許せません。

皆の恨み！！！そのに刻みなさい！！！」

言って、リシェルが聖なる短剣でそのガルシャのを貫いた。

脇腹を貫かれ凄い絶が辺に響く。

「さぁ、聖様に逆らいし逆賊は裁かれた！！！

ここで新たな王位継承者を宣言する！！！

第二王子グルシャ・バル・ランディリウムを次期國王に任命する！！！！」

國王のびとともに雄びがあがった。

途端、神殿の「神の従者」の神やエルフや竜人が神を前に戦闘態勢にはいる。

そう。

時はきた。

神より魔族のがしずつ現化する。

この世に絶を。そして閉じ込めた人間たちに復讐を。

神々の弱った今の時代ならば、世界を滅ぼすことは容易い。

王位が変わった時點で。契約は立する。

あの第１４代國王の５番目の子。ロゼルトの魂は我のものだーー。

ここにはロゼルト自は來させなかったようだがそのような事は関係ない。

がどこにあろうとも契約は実行される。

契約立と同時に。ロゼルトのから魂が抜け出し――魔族がそれをけとろうとして直した。

竜人やエルフ達がまったく攻撃を仕掛けてこない。

しかも。

ロゼルトの魂はり輝きしかった。

それなのにどうだろう。

契約と同時にきた魂はどす黒いのだ。

これはあのガルシャ王子とかいう馬鹿王子の方の魂だ。

え？

何これ？

こんな魂では復活できない。

魔族は固まり、ついリシェルの方を見る。

が、リシェルはにっこり笑って、「対策されても嫌なので教えません」と答えた。

そこで魔族は理解した。

どうやらはめられたのはリシェル達ではなく－－自分のほうだったと。