《【書籍化&コミカライズ】偽聖とげられた公爵令嬢は二度目の人生は復讐に生きる【本編完結】》補完 過去と現在(エクシス視點)
「聖様……」
慘めにつるされ野ざらしにされたリシェルの首が魔道で映し出され、エクシスは膝から崩れ落ちた。
まるで反軍に見せつけるかのように城門の門の前に並べられたしゃべれぬ亡骸達。
その中に無殘にもリシェルの首があったのである。
……違う。
あのお方はあんな場所にいていい方ではない。
神殿で手厚く保護し、守らなければいけない尊い存在。
この世の希。
聖なる存在。
生きる者たちを導く尊き聖なる。
それがなぜあのようなむごいことに?
「リシェル……さ……ま」
「待て!!あれは罠だ!!行けば死ぬぞ!!」
よろよろとふらつきながら城門を目指して歩きだしたエクシスをロゼルトが止めた。
そう、わかりやすく首を曬したのはロゼルト達を呼び出すための罠。
城門に近づけば罠があるはず。反軍を呼び込む罠にみすみすかかりにいくようなものだ。
必死に止めるロゼルトにエクシスは振り返った。
「……それがなんだというのでしょう?
リシェル様が死んだ時點でもう世界は破滅に向かったようなものです。
遅かれ早かれみな死にます。ならば私は聖様の元へ」
「……追ってどうする?土下座して謝るか?
泣いて許しでも請うつもりか?
あんたがどの面さげてお前が追う資格があるんだ!
そんなことをして彼が喜ぶとで思っているのか!?」
「……っ」
ロゼルトの言葉にエクシスの表が苦悶にゆがむ。
そう、エクシスは結局何一つできなかった。
いや、できなかっただけではない。
リシェルを不幸にした元兇はエクシスなのだ。
エクシスが聖だと神託を下さなければ、リシェルはあのような境遇になることはなかった。エクシスに力があるうちに彼が不幸な境遇にあると気づいて神殿に保護していれば、げられる日々を過ごすこともなかった。
そして専屬の治療師になって――たとえ追われるとなっても無理にでも城から連れ出していれば、このように殺されることもなかった。
救うチャンスは何度もあったはずなのに、エクシスは何もしてこなかったのだ。
ただ流されるまま、彼の不幸を憂いていただけで何もしてこなかった。
「……私は……私はどうすればよかったのでしょう……」
そう言ってそのままうずくまる。
涙と嗚咽がとめどなく溢れ、自分の無能さと無力さに打ちひしがれる。
人々にみな平等に優しく。
それが神殿での教えだった。
厳格で正しい行を行っていれば必ず報われると習ってきた。
でも現実は違う。
優しさなどなんの役にもたたない。
むしろ、エクシスは人の善意を……善行さえ行っていれば必ず神が手をさしのべてくれ報われるという教えを信じすぎていたせいで、何一つ狀況を変えられなかった。
法を犯してでも、エクシスは行を起こしリシェルを救うべきだったのに、神殿の中で悪意にれる事なく育ったエクシスには法を犯すという発想がなかったのだ。
聖のはずのリシェルが偽聖と罵られ殺されて、本當の聖であるはずでないマリアが聖だと祀られている。
どんな善行を行おうと神は見てないどいない。
正しい行など悪意の前では平気で踏みにじられる。
神殿で守られ次期大神候補として大切に育てられ世間など知らなかったエクシスにはそれがわからなかった。
けなくリシェルのつるされた首を遠くから眺め泣くことしかできなかった。
逆行前の自分はあまりにも愚かすぎたのだ。
神は皆平等だ。
人々の善にたいしても悪に対しても。
ただ平等に 放置している だけ。
神々に人間の善や悪の裁きを求めるのは間違っている。
所詮善や悪など基準を勝手にきめたのは人間だ。
神々の定めた天秤ではないものに、神々に救いを求めること自が愚かなのだ。
神が悪を裁かないというのなら、自分の力で悪を裁くしかない。
どんな汚い手を使っても。
善意など悪意の前には簡単に踏みにじられる。
無能な善人はただ利用されて終わるだけ。
善行を行いたければ悪人よりも悪に手を染める覚悟が必要だ。
聖リシェルを守るためならば、どんな悪事にも手を染めよう。
誰よりも狡く、誰よりも機敏に、そして誰よりも殘酷に。
(リシェル様の害になるもの私がすべて排除してみせよう)
「エクシス様。聖リシェル様に害をなした者たちの処置が終わりました。
斷頭臺に待機しております」
大神殿で神の使徒の報告に、エクシスは窓辺で外を見ながら頷いた。
錫杖を持ち、笑みを浮かべる。
「さぁ、それでは裁きを始めましょう」
◆◆宣伝です◆◆
お世話になっております。てんてんどんどんです。
ありがたくもコミカライズに続き書籍化決定いたしました。
これも皆々様のおかげです、本當にありがとうございます!
★ベリーズファンタジー様にて7月5日発売です、何卒よろしくお願いいたします★
イラストはTCB先生!!超麗表紙です!!
リシェルやロゼルト達がとっても素敵な麗な絵柄で描いていただけました!!!
挿絵にマルクさん(イケメン)やシーク(人)やジャミルさん(イケメン)
大人ロゼルト(イケメン)リシェル(超人)などステキ挿絵が盛りだくさんです!!
大人ロゼルト君のイケメン合は半端ないのでぜひぜひお手にとって見ていただけると嬉しいです!何卒、何卒よろしくお願いいたします(選挙風)
Web版は不完全なため加筆&修正させていただきました!
なぜ逆行前不幸になったかやリンゼとの決著など加筆しております。
書下ろし番外編もついております!!何卒よろしくお願いいたします!!
一部の取り扱い店様にて特典SS付になっております。
★アニメイト様★(特典SS「誕生日プレゼント」)
★書泉様★( 特典SS「憧れていたもの」)
の特典が付きます!在庫がなくなり次第取り扱い終了になりますのでご了承ください><
そしてコミカライズもよろしくお願いいたしますー!!!
★どこでもヤングチャンピオン様 6月號 ★
ロゼルトとリシェルのデート回となっております!!
まぶた単先生の描かれる天然リシェルがめちゃくちゃかわいいですー!!!!
コミカライズオリジナルのやり取りがめちゃステキなのでぜひご覧いただけると嬉しいです!
どこでもヤングチャンピオン7月號は6月28日(火曜日)発売です、よろしくお願いします。
次の更新は リシェルとロゼルト&グエンパパとマルクのギャグ小話(セリフのみ)
その次がガルシャ視點の番外編となっております!
作者別作品 悪役令嬢ですが死亡フラグ回避のために聖になって権力を行使しようと思います
のコミカライズ4巻も同日の7月5日発売となっております!
こちらも併せて何卒よろしくお願いいたします><
【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】
※書籍&コミカライズ決定しました!書籍第1巻は8/10発売、コミカライズ第1巻は10/15発売です! ※ニコニコ靜畫でお気に入り登録數が16000を突破しました(10/10時點)! ※キミラノ注目新文蕓ランキングで週間5位(8/17時點)、月間15位(8/19時點)に入りました! ある日、月坂秋人が帰宅すると、そこには三人の死體が転がっていた。秋人には全く身に覚えがなかったが、検察官の悪質な取り調べにより三人を殺した犯人にされてしまい、死刑となった。 その後、秋人は“支配人”を名乗る女の子の力によって“仮転生”という形で蘇り、転生杯と呼ばれる100人によるバトルロイヤルの參加者の1人に選ばれる。その転生杯で最後まで勝ち殘った者は、完全な形で転生できる“転生権”を獲得できるという。 そして參加者にはそれぞれスキルが與えられる。秋人に與えられたスキルは【略奪】。それは“相手のスキルを奪う”という強力なスキルであった。 秋人は転生権を獲得するため、そして検察官と真犯人に復讐するため、転生杯への參加を決意した。
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