「おしろ、みえてきたぁ〜！」

視界に、懐かしの我が家（城）が見えてきて、ようやく、気持ちがほっとしてきた。

そして、その姿が大きくなればなるほど、帰ってきたんだなあ、という安堵がを占める。

國選勇者の斷罪に、獨立宣言。

家族や、アスタロトと一緒とはいえ、かなり大変なことをこなしてきたと思う。

そして、共して、ついてきてくれた人が無事であるかを気にかけて。

私は、も心も、すっかり疲れて疲れてしまっていた。

「カインにーしゃま。りりしゅは、ちゅかれまちた」

私を抱きしめてくれているカインお兄様に、疲れたことを告げる。

「そうだね、リリスは小さいのに、一緒に頑張ってくれたよね」

そう言って、カイン兄様は、私を労るように、解けた私の髪を指で梳きつつ、でてくれる。

「うん、おうちについたら、やしゅみたい、でしゅ」

子供っぽくてもいいや、と割り切って、私は、こてんと、カイン兄様のに頭を預けた。

そうして、ニーズヘッグが、城の屋上に著陸して、ようやく我が家へ到著した。

アスタロトが、報告のために來訪しているらしく、客間で待ってもらっているそうなので、家族全員で、そちらに向かうことになった。

私は、カイン兄様に抱っこされたままで、お任せである。

時々、アベル兄様がずるいとでも言いたげに、視線をチラチラとカイン兄様に向けているけれど、鎧をきたアベル兄様では、抱かれ心地が悪いので、そこは我慢してしい。

「アスタロト殿！」

お父様が先頭を切って扉を開けると、ソファに座って待っていた様子のアスタロトが立ち上がって會釈をする。

「貴殿に同調した貴族の皆さんの帰郷も、完了しました。こちらはひとまず、一安心というじですわ」

アスタロトが、協力してくれた貴族の家族の避難狀況について報告をしてくれる。

「おお！　それは本當に恩に著ます。あなた方魔族のお力添えなしに、あれだけの迅速な避難はあり得なかった。本當にありがとうございます！」

そう言って、お父様がアスタロトに頭を下げた。

「國王になられる方が、そんなに簡単に頭を下げてはいけませんわ」

そう言って、アスタロトが、お父様の両肩に軽くれて、下げた顔を上げさせる。

「はっはっは！　なかなかそうは言っても切り替えが難しいですな」

お父様が笑顔で後頭部を掻く。

そんな中、アベル兄様が提案する。

「父上、アスタロト様もいらっしゃいますし、謝と労を兼ねて、我が家の自慢の『溫泉』にご案してはどうでしょう？」

「おんせん、ですか？」

アベルお兄様の言葉に、『溫泉』を知らないのか、アスタロトが首を傾げる。

「地下から湧く湯のことです！　我が家の溫泉は、疲労やがしくなるという効能のある湯をたっぷり使った贅沢なものなのです！　是非、おりにください！」

「じゃぁ、リリスも、アシュタロトといっしょに、はいりゅ〜！」

私は、アスタロトと一緒に湯にろうと思って、手を挙げる。

すると。

「「「えっ」」」

お父様、お兄様達から、異論の聲が上がる。

「リリスはまだ小さいんだから、父様と一緒でいいだろう？」

「そうだ！　小さい頃は一緒にったじゃないか！」

「そうだよ、僕達と一緒にろう」

ーーあの。私は心は十五歳なんですけど。

私は、無言で、ぷーっと頬を膨らます。

そんな親子のやりとりを、微笑ましげに眺めていたアスタロトが、その騒ぎに割ってる。

「リリス姫は、見た目は子供でも、既に一度十五歳を迎えた年頃のですから。流石にお父様、お兄様と一緒にるのは、恥ずかしいのでは？　ね？」

そう言って、しゃがんで私に手を差し出してくれる。

「うん！」

私は、その助け舟に乗って、彼の手をとると、軽々と抱き上げられる。

「場所を教えてくれるかしら？」

アスタロトが私に尋ねると、そばにいた侍が、案を申し出てくれた。

そして、私達は、がっくりと肩を落とす男陣を後にして、湯に二人でることになったのだ。

ーー助かったわ！

かぽーん。

うちのお風呂は広い。そして、お湯が地下から汲んだ溫泉だから、指先までじんわりと溫まるのだ。

そして、広々とした浴槽にたっぷりったお湯から、湯気が浴室に立ち込める。

「はぅ〜。ちゅかれが、ぬけましゅ〜」

「本當ねえ。湯浴みとはだいぶ違うわ」

アスタロトも気にってくれたようで、お湯に浸かった後のらかになったに、心したように何度もでている。

「ん〜。およいじゃおう、かしら！」

どうせ子供に戻ったんだもの、そんな悪戯もいいわよね！　と思って泳ごうとすると、アスタロトに易々と抱きしめられて、捕まってしまった。

「こら！　最近心まで子供っぽくなっちゃって！」

「むむ。やわらかい、でしゅ」

抱きしめられたアスタロトのは満ですべすべで、らかく、そのが気にったので、しばらく捕まったままで、彼を枕にして、お風呂を堪能したのだった。