無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第78話 、赤竜を助ける

白蛇とその婚約者を魔王城に保護して、白蛇にはフェンリル狼同様に特別療養室にってもらった。

テユを連れてきたので、私は、彼のための客間の用意を侍に指示する。

そして、療養にあたるテイマーと、テユを顔合わせさせた。

「このこは、このハクジャのこんやくしゃのテユよ」

私が紹介すると、テユが丁寧にテイマーに向かって深くお辭儀をする。

「ご紹介に預かりました、私、リザードマンの村長の娘のテユと申します。何卒、我らの守護神様をお助けください」

その丁重な挨拶にテイマーは驚いたように、急にシャッキリ姿勢を正すと、自分も挨拶をする。

「……テユ殿は、普段から白蛇様のお世話をなさってこられたのですかな? でしたら、今後の療養計畫についても々ご相談したいのですが」

テイマーは、生態をよく知る近な者が來てくれたことが、嬉しいらしい。

「はい! ぜひ! それから、私にも、お手伝いさせて下さい!」

結局、すぐにテユは世話役とも打ち解けたようなので、彼に彼を任せることにした。

ちゃんと陛下にも報告したわよ?

「さて、ちゅぎはドラゴンでしゅね!」

「ドラゴンを持ち上げるなんて、腕がなりますなあ! なあ、兄者!」

私が次の仕事を口にすると、力自慢のガレスの弟達が、腕の筋をワキワキさせていた。

ーーちょっと、気持ち悪い。

あ、なんか筋もピクピクさせている!

うわぁ……。

「ほら、そこの筋自慢達。マスターが、待ってらっしゃいますよ!」

しばらく三人兄弟の筋自慢大會を鑑賞させられたマーリンが、呆れ顔で出発を促した。

「おお、これはマスター。失禮しました!」

「早速參りましょうぞ!」

「おう!」

「はぁ……」

最後のため息はフェルマーである。

「じゃあ、マスター。今度は私が抱っこさせていただきますね」

フェルマーがとても嬉しそうな笑顔で私を抱き上げるためにしゃがみ、そして抱き上げた。

ーーそんなに私の抱っこって、役得なのかしら?

そんな疑問を他所に、今度は活火山の麓に住んでいるドラゴニュート達の村に向かった。

珍しくお天気は曇り空。

私はその鈍の曇天を眺めながら呟く。

「……りゅうさん、つれてかえるまで、ふらないでほしいでしゅ……」

「そうですね。雨で溫を奪われると、に障るかも知れませんし……」

私の心配に、フェルマーも優しく同意してくれた。

こんな嫌な空を眺めると、嫌な將來を想像してしまう。

勇者は、フェンリル狼、白蛇、そして竜を討伐した。まあ、正確には殺していないが。

だけど。

「……りゅうのつぎって……」

私が呟くと、皆が沈黙する。

そう。

この世界の獣の頂點に立つものは竜だ。

だったら次は?

「へーか、ねらうの、かな……」

なんだかんだ言っても、デコピンでお仕置きをけようと、私は臣民のために真剣な陛下が好きだ。

恥ずかしいから口にはしないけれど、尊敬している。

そんな陛下が、勇者の手に……。

そんな暗い思いに囚われていると、私をめようと、マーリンが優しく聲をかけてきた。

「大丈夫ですよ、マスター。こういうときのために、例の魔導兵を作ったんじゃないですか」

「あ、そうか。……え? あ!」

ーーだめだ、だめだ、だめだ!

「あれは、ダメー!!」

私がぶけれど、私以外のみんなは、私のおかしなび聲に首を捻る。

「なぜ、だめなんですか」

「いえにゃい」

マーリンに尋ねられたけれど、私はぶんぶんと首を橫に振った。

ーーやばいよ。あれ、私、いたずら仕込んじゃったもん。勇者來る前に解除しなきゃ、また怒られちゃう!!

「はぁ〜」

私は、フェルマーの腕の中でやる気なく、ぐったりもたれかかる。

「どうしました?」

「ううん、なんでもないわ」

ーーただ、この雲行きがどんな未來を示しているのか、わかった気がしただけ。

そうして、立派な山の麓にある村に著くと、やはりアドラメレクからのれが出ていたらしく、ドラゴニュートの村長に案されて赤竜が休んでいる窟にすぐに案してもらえた。

そして、村長の持つ松明の明かりで奧まで案されると、今までと同じく腹を深く切り裂かれて倒れている、立派な赤竜がいた。

「おつらそうで……、でも、我々では、どうにも手出しが出來ず……」

村長が悔しそうに顔を歪める。

「大丈夫。私達は今までも同じ癥狀の者達を癒してきました。……どうか、信じて?」

そんな村長に、フェルマーが慈の笑みを浮かべて、そんな彼の悔しさに寄り添った。

「……はい、よろしくお願いします」

そう言って、村長は私達のそばからし場所を下がった。

「まずは、ライトボール。……これで十分かしらね」

治療をするにあたって十分な明かりをフェルマーが魔法で確保する。

「では、良いかな? フェルマー殿」

「ええ、良くてよ、マーリン様」

「解呪(ディスペル)!」

「解毒(アンチドーテ)。……クリーン、そして、ハイヒール!」

マーリンの解呪とフェルマーの解毒で、はだいぶ良くなった。

そして、フェルマーのハイヒールで、臓の損傷から傷口まで綺麗に治っていった。

ガレスが前に出てきて、ドラゴンの牙などものともせず、むんずと口を強引に開けさせる。

そして、中に顔を突っ込んだ!

「ああまたか。……これではやはり、が足りない。保護が必要だな」

その恐れも知らぬ様子を見て、村長は口をあんぐりと開けていた。

「「では兄者」」

「うむ、運ぶぞ!」

ガレス三兄弟が顔を見合わせて頷き合う。

「全員、位置につけ!」

「「おうともよ!」」

「「「せーえのぉっ!」」」

まずは自分達の肩に赤竜のを掛けた後、掛け聲と共に、両足を広げ折り曲げて踏ん張り、その勢いで赤竜のを肩に乗せ切る。

とうとう、赤竜を持ち上げるという異様な景に、村長は腰を抜かしてしまった。

「じゃ、しばらく、りょうようのため、あずかりましゅ」

私の言葉には、無言でカクカクと頷くばかり。

こうして、私達は、赤竜の保護に功した。

王都の外れの錬金師2巻発売日、7/9(土)になりました。

イラストレーター様は、継続して純粋先生です。

Twitterでキャラデザをチラ見せし始めておりますので、見にきてくださいね!

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