ウラカルの陣営、

スラム帝國。

「アアッ！なんだ？なんだ？ロクなのがいねーぞ！」

ウラカルは、自分の陣営に集めさせた達の前で苛立ちのあまり、金屬の盾を蹴っ飛ばす！

ガランガランと大きな音が響き、集められた達がびくっとした。

「ボス。・・・申し訳ない」

周りを囲んでいた目付きの悪い配下達が、申し訳なさそうに項垂れた。しかしながら、彼らは荒事専門だから男ばかりなのは仕方ないだろう。

「お前ら。こいつらに、エクスってガキを落とせるとか本気で思ってんのか！？」

メンバーを順に紹介しよう。

子供 ……。

老婆 心は乙。

妊婦 養ってしい。

野人 ウホッ。

犬♀ 統書付き。

ハニトラ要員として集められたのは、そうそうたるメンバーだったのだ。これで落とせたら奇跡に近い。

ウラカルは使えない部下達に嘆く。

「わんっ！」

犬が吠えた。

ハッハッハッと発期なのか興して、やる気を見せて4本足で立候補してくる。くりくりとした瞳が綺麗な純粋な犬だ。

「おいおい、ふざけんなっ！てめぇは落選だ！せめて獣人にしろやっ！」

「くぅーん」

敏腕ウラカルは、犬をオーディションから落した。

ライバルが一人落ちた事を知り、老婆がいそいそと髪を整えだした。

まるで、乙のような仕草。

それに気付いたウラカル審査員のこめかみがゴリッといた。

「ババア、お前はもう枯れてんだよっ！今更、年にときめいてんじゃねぇ！はい、落選」

ウラカルにオーディションを落とされてしまった老婆（心は乙）が泣き崩れると、おそらく息子と思われるいい年をした部下が出てきて老婆をめだした。

ウラカルはミッションの困難さに嘆く。

どんな要人さえ殺す自信がある。

しかし子爵さまのオーダーは、ハニトラだった。

このメンバーで？

ウラカルには、困ってる時いつも助けてくれるがいた。

「ちっ、しゃーない。ここはアタイが出るしかないねぇ」

橫から助けてくれた自分の人を見つめる。

嬉しいウラカル。

しかし・・・

「「さすがっ姐さん。頼りになりますっ！！」」

「まぁ仕方ないね。おっとしてるのはアンタだけだから」

嬉しい申し出だが冷靜に見て、姐さんはそんなに可くはないと思う。うん、全然可くない。

もちろん、格は好きだが、部下みたいに、ましてオタサーの姫として調子こいてる人みたいに、勝利を信じきれない自分がいる。

「「ヒューヒュー、焼けちゃうすね、ボス」」

「アンタが嫌なら、やらないけど？」

こんな事を自分のために言ってくれるなんて、やはり目を閉じるとサイコーのだ。

だがよ？エクスは果たして目を閉じてくれるのか？

ウラカルに迷いが生じる。

あああ？こんなのどうすりゃいいんだよ！

ウラカルには癖があった。

どうしようもないピンチの時、コインを投げるのだ。表ならオタサーの彼を信じる。裏なら冷靜になって他のボスに仕事を橫流しする。と決めた。

いくぜっ

ピーンッと弾かれたコインはを反してくるくると回る。裏だっ、裏が出てくれ。

ぱしっ。

テンテンテーン。

摑み損ねた。

揺しすぎて落としてしまった。

こんなの初めてだ。

呆然とコロコロと転がりながら砂に筋を描くコインの表裏の行く末を見つめる。

綺麗な手が止まりきっていないコインを摑んだ。

「落としましたよ、ボス」

そっと拾い上げて、差し出してきた年と目が合った。見つめ合う２人。

細い。整った顔立ち、緑の瞳に灰の髪。何かが引っ掛かる。コインのけ渡しで指先がれ合った瞬間、なぜか年の手を握りしめていた。

困を浮かべる顔をじっと見る。

ちょっと待て、コイツは。

ピーンときた。

自分の口元が緩んだのが分かる。

「採用！お前を採用しよう」

「え？？」

敏腕ウラカルは、スラム街にるダイヤの原石を見つけた。俺が間違ってた。別なんかに拘っていては、もはや勝ち目など無い。

「よぉっし、お前はちょっと裝してこれからエクスを落としてこような」

「え？？そんなの嫌ですよ！？」

「そうだよ何言ってんのさアンタ！その子は男だよ？」

ウラカルは勝利を確信して嗤う。

「うるせぇぞ！！！良いから、この俺がやれって言ってんだよッ」

見込みどおり、數分後。もじもじした？が完した。ワンピースにショートヘア、なかなか眼福である。

部下達がうへへーと鼻の下をばし、満場一致で王になった。

オタサーの王の座を秒で奪われた姐さんが怒りだすが、この仕事をしくじる訳にはいかねえと心を鬼にする。

「よぉしっ！行けや。スラム帝國最強のハニトラ要員。エクスを落としてこいッ」