《「もう・・・・働きたくないんです」冒険者なんか辭めてやる。今更、待遇を変えるからとお願いされてもお斷りです。僕はぜーったい働きません。【漫畫1巻+書籍2巻】》35 リィナのお店3

エクスは限界をじていた。

僕は割と無能だ。

人に出來る事が出來ない。

調子に乗ってた僕は尖りすぎてて

自ら才能を捨てた。

その選択に今も後悔はない。

でも、だからといって。

「んんん。屆かない。もうちょっと。あぁ〜」

「「あ〜ぁ」」

さっき買った雲菓子がゆっくりふわふわと空に舞い上がっていく。まだ一口も食べていないのに。ちょっとうけ取りそこねただけなのに。

お菓子屋の軒先に引っ掛った雲菓子を店から借りた引っかき棒で回収しようとしたら鈍臭い僕は失敗してしまった。

ふわり。ふわり。

こんな事なら格好つけずに店員さんに、やってもらえば良かった。

周りの子供達に、あ〜ぁ。お前やっちまったなという顔で見られる。

ここで買い直したら負けな気がする。

久しぶりに食べたかったのに。

未練がましく見ていたら、レッドイーグルに食べられた。

「一口食べる?」

が食べかけの雲菓子を心配そうに差し出してきたので、力なく首をふる。

「お兄さんはあの鳥を飼ってるんだ」

子供の施しなどけぬ。

「噓だ〜」

後ろの年に突っ込まれた。

はいはい噓ですよ。それが何か?

それもあって、目は釘付けになっていた。

リィナの店に鎮座していた日替り商品の雲菓子製造機(ふわふわメーカー)に。

これさえあれば。

食べ放題。

うっ・・・凄い良い値段するなぁ。

「あら、エクス君?いらっしゃいエクス君!今日は何を見ているの?」

「うっ、これは」

慌てて背中で隠した。

「雲菓子製造機?」

「いや、リィナが好きかなと思って」

くそっ迂闊にも特定されてしまった。店番サボってる癖にいっつも不意討ちなんだよ。

悔しいのでリィナをダシにした。

「うーん。機械を売るよりサービスにした方が儲けが出るかしら?」

「それは分かりませんけ・・」

僕のセリフなんて最後まで聞かずに材料を探しにおばちゃんは鼻歌を歌いながら店の奧に消えていった。自由すぎる。

「リィナ〜。エクス君來てるわよ〜」

「エクス兄!リィナがんばって、おとすの」

うっ・・・不穏な會話が聞こえてきて帰りたい。

でも雲菓子は食べたい。

なんかそんな口になってるし。ここで帰ったらイジりが増えそうだし。

「あれ〜どこだっけ??ちょっとリィナ、雲の結晶どこにあるか知らない?」

「しらない。しろっぷはあるよ?」

がたがたとを探す音がする。

「ならアレにしようかな。手伝ってよ〜リィナ」

「めっ、リィナはオシャレにいそがしいの」

帰ろうかなと思ったら、リィナが氷菓子を持ってとてとてと歩いて出てきた。

小さなお手手で渡される。

「エクス兄、はい。どーぞ」

「あぁ。ありがとう」

口にれると、しゃりっとした冷たい食に甘さが溶けて広がる。

冷たっ。

森の木々は落葉し始め、いつのまにか季節は変わろうとしていた。

じっ・・とリィナが見つめてくる。

何かを期待してるような不安な瞳で。

「っ」

何も考えず口を開こうとして思い留まる。エルフ師匠に怒られた日々を思い出した。

よく見るんだ。

これかっ!

「リィナちゃん。綺麗な髪留めだね。似合ってるよ」

「えへへー」

にぱっと笑ってくれた。セーフ。

時折、の人がやってくるあのクイズは何なんだろうな?段々と難易度は増してくるし。

「そういえば、空魔石ありますか?」

「あるわよ。待っててね」

そう言っておばちゃんは重そうに箱を持ってきた。中にはぎっしりの空魔石。

氷菓子のせいで寒くなってきたから、去年無くしたものを作っておこうかなと思いつく。

期待した眼差しで見てきた。どうやら、この前の貴族生活で味をしめたらしい。ふふっ。

「エクス君、何するの?」

「ファイヤーエンチャント」

火力+1の武強化魔法を全でかけた。

+0.01ぐらいに加減して。

ほんのりと赤くれば、なんちゃって魔道。保懐爐の完

「これは?」

「寒くなってきたら役立つものです」

恐る恐るるおばちゃん。

「うわっ溫かい。これは冬に凄いんじゃない?大発見だエクス君!!ありがと〜お禮はいかほど?」

「エクス兄すごい?」

「これだけで、いいですよ」

ざらっと一摑みした。

もうし寒くなったら、知り合いにプレゼントしようかな。

そのまま、ポケットにイン!

「でも、こんなの貰ったら足りないよ〜。か、で払おうかしら?エクス君だけだよ?特別サービスは」

「めっ!エクス兄はリィナのーー」

その気もないくせに、かなみしながらアピールされた。頼んだらオーケーしてくれそうな軽さが嫌だ。ぐいぐいとおばちゃんを引っ張るリィナ。

ビシッとおばちゃんにチョップをれると、テヘッとされた。イラァ。

「すいませーーん!!」

「まぁ、いらっしゃい。久しぶり〜」

どうやら他のお客様が來たようだ。

味しかった。

氷菓子もそろそろ終わりかな。

カランとスプーンがに當たって音を立てた。

「ご馳走さまでした」

「またいらっしゃい。エクス君!」

「エクス兄、またねーー」

満たされた気持ちになり帰途につく。

空の上で遊ぶ雲を見上げる。

僕の雲菓子は空に消えてしまった。

「熱っ」

お金は無いけど、ポケットがホカホカだ。

どうやらこれは、季節を先取りしすぎたかもしれない。

書籍版 おばちゃん

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