《「もう・・・・働きたくないんです」冒険者なんか辭めてやる。今更、待遇を変えるからとお願いされてもお斷りです。僕はぜーったい働きません。【漫畫1巻+書籍2巻】》42 俺たち森林警備隊2
エバソンより腑抜けた奴らといえば親會社の森林警備隊だろう。彼らは元請けに全てを任せており、エクスの名前すら知らないときた。
そんな彼らの日常をクローズアップしよう。
豪華絢爛な武をに纏った猛者達がテーブルを囲んでいる。そして各人の後ろの壁には、磨き抜かれた武や盾が掛けられて萬全な狀態だ。
中央に陣取ったギラつく鎧を著たカイゼル髭の老人が口を開いた。
「お前ら、儂の記念式典の準備は進んでおるのか?」
「はい、滯りなく。広場にあるイゼル様の銅像の前で盛大に執り行う予定です」
満足げに肯いたカイゼル髭の老害。
彼の名は、勇者イゼル。
森林警備隊の隊長でもあり、この街のヒーローだ。冒険者クランのゾンビーズの手柄だと主張するものもいるが、彼が著任し5年もの間、大森林から魔の侵攻を許していないのは紛れもない事実だから。
「うむ。では金が必要になるな」
「現狀の計畫ですとし足りません。規模を小しますか?」
そう。彼らの主な業務は會議である。
次に防の手れ。
たまに訓練も。
「これ、馬鹿な事を言うでない。さらに元請けからコストカットせよ」
「分かりました。圧力を掛けてみます」
満足げに肯く。彼は、(エクスの犠牲の下)度重なる難しいコストカットを功させ続けていた。
「他に何か式典について意見はあるか?」
「はいっ!」
新人が手を上げた。
やる気を認めて、促す。
「式典で、隊長がご自慢のドラゴンソードにて試し切りを披すれば盛り上がるかと愚考します」
自信たっぷりに新人がアイデアをひけらかすが。
「馬鹿が!本當に愚かな考えだの。なぜ事を最後まで考えて発言しないのだ」
「え??」
秒殺された。
「見よ。このドラゴンソードの刀の煌きを、試し切りなどしてみろ。どうなるのだ?」
「綺麗ですね。え??どうなる?」
隊長が抜いたドラゴンソードの傷一つない刀に、新人の馬鹿面が映る。
「はぁぁ。近頃の若者はまるで使えぬ。良いか、教えてやるからよく聞けよ」
「は、はいっ」
こんな事も分からないとは。やれやれ。
イゼルはため息をつく。
「そんな事をしたら、刀に傷がつく(・・・・・・・)かもしれんだろう」
「へ?」
・・隊長はいったい何を言われてるんだ?と新人は混する。
「聞こえなんだか?剣にり傷がついたら困るだろ。こんな簡単な事も分からんとは」
どうやら聞き間違いでは無いようだ。
「そんなっ!?『剣は斬るものだ!』と演説されてたでは無いですか?あれは、噓だったんですか?」
至極、真っ當な疑問。
だがこの職場ではそうでは無い。
早とちりな新人に、イゼルは、子供でも分かるように指導する。
「良いか?勘違いするでない。剣とは斬るものでは無く、著る(・・)ものなのだ!いわば著飾るための裝備」
それに、うんうんと頷いたのは先輩達。
困した新人が、まぁまぁと先輩の1人に宥められて連れて行かれる。
「ええ?」
「イゼル隊長。この何も分かってない新人には俺から教えときますね」
「あー、君。頼んだぞ」
倉庫で、真面目な新人は先輩に噛みつく。
「何ですか?あの隊長の腑抜けた臺詞!せっかく憧れて森林警備隊にったのに、あれにはガッカリですよ」
「うんうん。若いなァ。分かるよ。俺もそうだった。分からないならこれを著て酒場にいけ」
銀ピカの重厚な鎧を先輩が軽そうに持ってきた。ひょいと投げられる。
「うわわ。落としません?軽っっ!?はあ?何ですか?このハリボテは」
側を見ると紙とか木枠で出來ていた。
特殊効果もなさそうだし。
何だこれ?
紙鎧。
「著れば分かる。さぁ今日から森林警備隊のデビュー戦だ。業務命令だ、それを著て酒場で楽しんでこい」
「はぁぁ、マジっすか」
「マジです」
しぶしぶ紙鎧を來た新人だったが、酒場に著くとおもわぬ大歓迎をけた。不思議な事に、あちこちから勧の聲がかかるのだ。
「強そうだな、お前。うちのパーティーにってくれないか?」
「うちならばっかりのパーティーだよ?どうだい?」
バンバン聲をかけられる。
こんなの初めてだ。
渋い表で斷りつつも心満更では無い。
「いや、すまない。俺は森林警備隊だから」
「「やっぱり、あの森林警備隊か!いつも街を守ってくれてありがとう」」
これこそが、森林警備隊の真骨頂。
面白くなさそうに狩人の負け犬どもが見てくるのがさらに新人を増長させる。
おお、お前らはなんて汚い鎧なんだ。こいつらは何も分かっていないと。
酒場を出た時には懺悔の言葉が出た。
見た目って大事。
「隊長、俺がっ間違ってましたーー!これは神鎧です」
こうして期待の新人は、仲良くゴミの一員になった。
ただし、今月からエクスさんはお仕事してくれないそうですが、どうします?
事務職の森林警備隊の皆さん。
森林警備隊の輝かしい歴史を紹介しよう。
遙か昔。彼ら自警団は、最北端の大森林から來る魔族より國を守っていた。
ところが、平和な時代になると組織化され委託なんて言葉がちらつき始める。
7年前。業務効率化の名の下に、森林警備隊は現場業務を完全委託して事務屋にり下がってしまった。
そして、5年前。エクスが下部組織にった事により足元がさらに崩れ始める。ついにはエクスが1人だけで、この組織全員を支えだした。いや、支えてしまった。
孫負けエクスによりもたらされた栄の5年間。しかし、彼は先月辭めてしまったため、これからが危ぶまれる。
現場職員の推移
↓開始時《まだ真面目だった頃》
発注者 50名
元請け 50名
↓7年前《完全委託》
発注者 50→0名 →事務員40名
元請け 50名
下請け 0→50名
↓5年前《コストカット開始》
元請け 50→30名
下請け 30→20名
孫請け 0→50名(エクス含む)
⚠孫請けに偶然った
エクスの靜かな無雙により、
元請けは事務屋になり
下請けも事務屋になり
孫請けの人數すら削減されて
ついには1人だけで働かされてしまう
↓4年前《超コストカット達!》
元請け 30→0名 →事務員20名
下請け 20→0名 →事務員10名
孫請け 50→1名(エクス)
↓30日前《もう働きたくない》
孫請け 1→0名(エクス引退)
ーーーーーーーーーーーーーー
そして、現在。
《事務員數》
発注者 40名 勇者イゼル隊長
元請け 20→10名 ゲルグ
下請け 10→3名 エバソン
《現場職員數》
孫請け 1→0名
殘されたメンバーは、4年前に全員が事務仕事になっているため、さぁ大変だ。
彼らの現場復帰が始まる。
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