《【書籍化】馴染彼のモラハラがひどいんで絶縁宣言してやった》命令されるままばしていた前髪を切ったらイケメン認定された
『先輩! 今すぐ私に許しを乞うべきじゃないですかっ!?』
病室から追い出された花火は、閉ざされた扉をドンドンと叩きながら喚いたけれど、すぐ駆けつけてきた看護師さんたちに取り押さえられた。
『あなた、何をしているの。ここは病院ですよ!』
『……っ、ご、ごめんなさい。ちょっとケンカをしてしまって……。でも、私が悪かったんです。先輩が急に病気になったせいで、取りしてしまって……』
廊下からそんなやりとりが聞こえてきた。
花火の聲は俺を罵っていた時とはコロッと変わり、想のいい優等生のものになっている。
その聲音には、心底、申し訳なさそうなが滲んでいるし、どことなくも含まれていた。
俺に対してはひどいモラハラな花火だけど、他の人間の前では、いつもこんなふうに態度が変わるのだ。
あとから知った報によると、モラハラをする人間は男ももそういうタイプが多いらしい。
外面が良く、社的な、サイコパス。
『今日はこれで帰ります。ご迷おかけしてすみませんでした』
これ以上粘ると心象が悪いと思ったのか、そんな言葉を殘して花火は去っていった。
そのあと、スマホに怒濤の著信とラインがあったけれど、當然全部無視した。
俺が返事をしないほど、メッセージの中の花火の機嫌が目に見えて悪くなっていく。
***************************************
花火:気分悪いんでさっさと謝ってくれません? 18:20既読
花火:既読つけといて、返事にどれだけ時間をかければ気が済むんですか。ほんっとうに愚図ですよねえ 18:55既読
花火:ていうかそんな態度を取られる筋合い、微塵もないんですけど。私がこれまでどれだけ先輩の面倒をみてきてあげたと思ってるんですか。そういう恩を忘れて、こんな態度を取るとかゴミ屑以下ですよね。先輩みたいなダメ人間が、自殺したくならず、生きてこれたのって完璧に私のおかげですから。私を振ったりしたら、先輩死ぬしかなくなっちゃうんですけど、わかってます? 18:57既読
花火:そっちがその態度なら、こっちも考えがあるんで。これからどんな地獄が待ってるか、楽しみにしていてくださいね 19:00
花火:ていうか、縁を切るとか言っといて、結局私のメッセージを見てるところに未練全開でうけるんですけど! 19:15
***************************************
「未練って……」
むきになってメッセージを送ってくるので、なんとなく眺めていたが、飽きてきたし切り上げようと思う。
毎日あれだけ花火が怒ると怖くて仕方なかったのに、今はもう何のも覚えない。
「……はい、おつかれ」
そう呟いてから、【如月花火】を著信拒否にした。
繋がっていたすべてのSNSもブロックする。
「うわ。なんだろこの解放。胃もすっきりした……」
こんなことなら、早く花火の存在を切り捨てておけばよかった。
「……まあでも、今振り返るとほとんど洗脳されてたようなもんだもんね」
――先輩は役立たずだから、私がいないと生きていけない。
――自分がどれだけ価値のない人間かわかっています?
花火はそうやって俺のすべてを否定し、俺の行の全てにダメ出しをしてきた。
「とりえあず、花火に止されてたことをしてみようかな」
そうやって、もう自分は自由のだということを実したい。
◇◇◇
翌日。
病院を退院できた俺は、その足で髪を切りに行った。
ずっと眼の下までばしていた前髪をバッサリ切るために――。
どうしてそんな髪型をしていたか。
それは花火に言われたからだ。
「颯馬くん、自分の顔を鏡で見たことある?」
「えっ。う、うん」
「ふうん。あるのに平気でいられるんだ」
「ど、どういう意味?」
「私がもし颯馬くんみたいな顔だったら、絶対に隠したくなるなあって。そんな顔じゃ、そのうち苛められるようになっちゃうかもしれないよ?」
「……っ」
「可哀想な颯馬くん。しでも顔が見えないように、前髪ばしたほうがいいよ。絶対。ね? ばすよね?」
「……で、でも前が見えないんじゃ」
「は?」
「あ、ご、ごめん」
「あのねえ、自分から見えないなら、相手からも見えないんだよ。そのぐらいもわからないの? 本當に颯馬くんってバカ」
これはまだ花火が俺を『先輩』と呼びはじめるより昔の話。
小學校三年の時のことで、俺はそれ以來、花火に言われるがまま、ずっと暖簾のような前髪で生きてきたのだった。
でも本當はずっと切りたかった。
髪が皮にれるたび、チクチクして痛いし、視野がすごく狹くなる。
それに髪型のせいで「暖簾くん」「髪型お化け」と口を叩かれているのも知っていた。
……結局、前髪をばしてもばさなくても、俺は嫌われ者になる運命だったのだ。
それならもう諦めて、自分のしたい髪型にすればよかったんだ。
髪を切ると、びっくりするぐらい見える世界が変わった。
気持ちもなんとなく明るくなる。
暖簾と馬鹿にされるのも納得だ。
俺は確かに、黒い暖簾越しにしか外の世界を見れていなかった。
驚きはそれだけじゃなかった。
翌日、數日ぶりに登校すると、教室の扉を潛った瞬間、クラスメイト達が一斉にざわつきはじめた。
子に至っては、ほとんど悲鳴に近い聲を上げている。
「きゃっ……誰、あのイケメン……!?」
「えっ!? えっ!? 転校生!?」
「やあああっ、めちゃめちゃタイプなんだけどぉお!」
え?
イケメンだと騒いでいる子たちは、明らかに俺の方を見ている。
きょろきょろと後ろを振り返るが、俺の周りには誰もいない。
……え。
まさか俺のことを言ってる……?
『暖簾とあだ名されていた男が、実は隠れイケメンだった』(俺が自分で言ってるわけじゃない。本當にそうやって騒がれてしまったのだ)という噂は、あっという間に學校中を駆け巡り、晝前には一學年下の花火の耳にまで屆いたようだ。
その話を聞いた花火は――。
私が読みたい馴染ざまぁを書いてみました
需要あったら毎日更新にしますね
「需要あるよ」「読んでやってもいいよ」と思って下さったら、
スクロールバーを下げていった先にある広告下の☆で、
『★5』をつけて応援してくれるとうれしいです
じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
【2022年6月1日 本作が角川スニーカー文庫様より冬頃発売決定です!!】 「オーリン・ジョナゴールド君。悪いんだけど、今日づけでギルドを辭めてほしいの」 「わ――わのどごばまねんだすか!?」 巨大冒険者ギルド『イーストウィンド』の新米お茶汲み冒険者レジーナ・マイルズは、先輩であった中堅魔導士オーリン・ジョナゴールドがクビを言い渡される現場に遭遇する。 原因はオーリンの酷い訛り――何年経っても取れない訛り言葉では他の冒険者と意思疎通が取れず、パーティを危険に曬しかねないとのギルドマスター判斷だった。追放されることとなったオーリンは絶望し、意気消沈してイーストウィンドを出ていく。だがこの突然の追放劇の裏には、美貌のギルドマスター・マティルダの、なにか深い目論見があるようだった。 その後、ギルマス直々にオーリンへの隨行を命じられたレジーナは、クズスキルと言われていた【通訳】のスキルで、王都で唯一オーリンと意思疎通のできる人間となる。追放されたことを恨みに思い、腐って捨て鉢になるオーリンを必死になだめて勵ましているうちに、レジーナたちは同じイーストウィンドに所屬する評判の悪いS級冒険者・ヴァロンに絡まれてしまう。 小競り合いから激昂したヴァロンがレジーナを毆りつけようとした、その瞬間。 「【拒絶(マネ)】――」 オーリンの魔法が発動し、S級冒険者であるヴァロンを圧倒し始める。それは凄まじい研鑽を積んだ大魔導士でなければ扱うことの出來ない絶技・無詠唱魔法だった。何が起こっているの? この人は一體――!? 驚いているレジーナの前で、オーリンの非常識的かつ超人的な魔法が次々と炸裂し始めて――。 「アオモリの星コさなる」と心に決めて仮想世界アオモリから都會に出てきた、ズーズー弁丸出しで何言ってるかわからない田舎者青年魔導士と、クズスキル【通訳】で彼のパートナー兼通訳を務める都會系新米回復術士の、ギルドを追い出されてから始まるノレソレ痛快なみちのく冒険ファンタジー。
8 77【書籍化進行中】斷罪された悪役令嬢は、元兇の二人の娘として生まれ変わったので、両親の罪を暴く
【2022/9/9に雙葉社Mノベルスf様より発売予定】 (書籍版タイトル:『悪役令嬢は、婚約破棄してきた王子の娘に転生する~氷の貴公子と契約婚約して「ざまぁ」する筈なのに、なぜか溺愛されています!?』) セシリアは、あるとき自分の前世を思い出す。 それは、婚約破棄された公爵令嬢だった。 前世の自分は、真実の愛とやらで結ばれた二人の間を引き裂く悪役として、冤罪をかけられ殺されていた。 しかも、元兇の二人の娘として生まれ変わったのだ。 かつての記憶を取り戻したセシリアは、前世の自分の冤罪を晴らし、現在の両親の罪を暴くと誓う。 そのために前世の義弟と手を組むが、彼はかつての記憶とは違っていて……
8 147【電子書籍化】婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣國へ行きますね
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。 幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。 失意のメリッサは王立寄宿學校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決斷。エミーと名前を変え、隣國アスタニア帝國に渡って書籍商になる。 するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出會う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。 ※エンジェライト文庫での電子書籍化が決定しました。詳細は活動報告で告知します。 ※この作品は他サイトにも掲載しています。 ※「小説家になろうnavi」で2022/10の朗読作品に選ばれました。
8 147僕はまた、あの鈴の音を聞く
皆さまの評価がモチベーションへとつながりますので、この作品が、少しでも気になった方は是非、高評価をお願いします。 また、作者が実力不足な為おかしな點がいくつもあるかと思われます。ご気づきの際は、是非コメントでのご指摘よろしくお願い致します。 《以下、あらすじです↓》 目を覚ますと、真っ白な天井があった。 橫には點滴がつけられていたことから、病院であることを理解したが、自分の記憶がない。 自分に関する記憶のみがないのだ。 自分が歩んできた人生そのものが抜け落ちたような感じ。 不安や、虛無感を感じながら、僕は狀況を把握するためにベットから降りた。 ーチリン、チリン その時、どこからか鈴が鳴る音が聞こえた。
8 101音楽初心者の僕がゲームの世界で歌姫とバンドを組んだら
その旋律はとても美しかった 『マセレナードオンライン』という、軽音楽を主軸としたオンラインゲームに出會った僕は、そこで初めて音楽と觸れ合う。そんな、何にも分からない僕が歌聲に引き寄せられある女の子に出會った。その少女はゲーム內では歌姫と呼ばれていて、そんなことも知らずにバンドを組まないかと尋ねてしまう。斷られる覚悟でいたが、まさかのバンドを組むことになる。果たして僕はこの先どうなるの? VRMMOと軽音楽をかけあわせた少し変わった物語が、今ここに始まる
8 85外れスキルのお陰で最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜
異世界に転移した主人公に與えられたスキルは、ただ永遠と生きる事が出來る『不老不死』。ステータスは村人レベルであり、他にマトモなスキルといえば、算術やら禮節やらの、現代日本で培ってきたものばかり。 しかし、主人公を異世界に召喚した先が特殊で…。 ___________________________________________ 夜中に思いつきで投稿しました!後悔も反省もしてません! 現在好評(?)連載中の『転生王子は何をする?』もお願いします。
8 106