《剣聖の馴染がパワハラで俺につらく當たるので、絶縁して辺境で魔剣士として出直すことにした。(WEB版)【書籍化&コミカライズ化】【本編・外伝完結済】》sideアルフィーネ:無自覚な暴君
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今回はアルフィーネ視點です。
※アルフィーネ視點
むかつく、むかつく、むかつくっ!
フィーンの分際であたしの傍から離れて、獨り立ちできるなんて思い上がりも甚だしいわ!
しかも、あの出來損ないのフィーンなのに、用意周到に逃走資金まで確保して姿を消すなんて。
あたしはフィーンと暮らすため、冒険者として依頼をけ貯めたお金で新しく購した王都の屋敷の部屋で爪を噛んでいた。
目の前の機には、あたしがフィーンのために買ってあげた高品質の裝備やお金などが詳細を書いた紙と一緒に置かれている。
あたしがいないと稼げないフィーンのためにけっこう無理して買った裝備や、贅沢させてあげようと思ってあげたお金まで綺麗に全部置いてある。
それにあの時……あたしとフィーンで初めてこの王都に來てお互いのために買ったこの剣まで返してくるなんて信じられない。
置かれたフィーンの剣を見て、爪を噛む力が強くなる。
昔からイライラするとやめられない癖で、フィーンからはいつもやめろと注意されてたけど、ずっとやめられなかった。
ずっと一緒にやってきたのに、フィーンのやつ何が不満だったのよ。
ほんと、マジでありえないんですけど……。
あー、イライラする。
爪を噛むだけではイライラは解消できず、目の前の機を思いっきり蹴飛ばしていた。
すると、ドアがノックされた。
「アルフィーネ様、どうかされましたか?」
ドアを開けたのは、屋敷の管理人兼執事として雇った初老の男だった。
貴族となったことで々な作法を覚えなきゃいけなくなったので、屋敷を買ったついでに元貴族の執事長をしていた彼を雇っていた。
フィーン以外に、完全無欠の剣の神であるあたしが爪を噛む悪癖があるなんて知られるわけにはいかない。
あたしはとっさに噛んでいた爪から口を離した。
ノックした執事がドアを開けてってきた。
仕事熱心なのは心するけど、フィーンならこういう時は空気を読んでってこない。
あたしの扱いに慣れていない執事に若干の苛立ちをじつつ、よそ行きの顔を作った。
「な、なんでもないわ。それよりも、冒険者たちに依頼してフィーンが立ち寄りそうな場所は當たってくれたかしら?」
「ご依頼通り、冒険者ギルドを通じてアルフィーネ様から指定された場所へ冒険者たちを派遣してもらっておりますが、あいにくとフィーン様自もおられず見かけられたという方もいらっしゃいませんでした」
執事が淡々とフィーンの捜索狀況を報告しているが、果がないようだ。
本當ならあたし自らが探せば一発で見つけられるはずだけど、王國から爵位をけ、騎士となったことで々と雑務が生じ、結果他人に依頼するしかなかった。
ほんと、あいつどこいったのよ!
親しくしてた冒険者にも街の人にもなんにも告げてないみたいだし、みんなあたしがフィーンをクビにしたように思ってるとかマジで勘弁。
あたしには完全無欠の剣の神ってイメージがあるのよ。イメージが!
あー、思い出してきたらまたイライラしてきた……早く執事を下がらせて爪を噛まないとやってられないわ。
「報告ありがとう。フィーンの件は冒険者ギルドを通じて捜索範囲を近隣の街にまで広げておいて。お金はいくらかかってもいいわ。必ず見つけ出しなさい」
「承知しました。近隣の街にまで捜索範囲を広げます」
指示をけ執事が部屋から退出すると、あたしは再び爪を噛んでいた。
ぜーーったい、見つけ出してあたしの前で『ごめん、なんか勘違いした俺が間違ってた。なんでもするから君のそばに居させてくれ』って土下座させてやるんだから!
総合二桁りありがとうございます。
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