《【書籍化】わしジジイ、齢六十を超えてから自らの天賦の才に気付く【8/26から電撃マオウでコミカライズスタート!】》難しい
「まずこれがスライムとゴブリンですね、新人冒険者さんは基本的にこの魔を倒して日銭を稼ぐのが普通です」
ディルが顔を近づけたり遠ざけたりしながらミースの手元の紙を見ると、そこには彼でも名前を聞いたことがある二種類の魔の絵が描かれていた。
「わしでも倒せるかの?」
「それはもう、倒し放題だと思いますよ」
「一か二ずつ相手は出來る?」
「ゴブリンは巣近くまで行かなければ問題ないですし、スライムは基本的に群れないので問題ないと思います」
日銭と言うだけあって、一を倒して得られる額は微々たるだった。
スライムは一匹銅貨二枚、ゴブリンは一匹銅貨三枚。
一日二食の食事と宿代を考えると、數匹倒した程度では、どうにもならなそうな値段設定である。
「討伐証明部位と呼ばれる倒したことを示す証を持ってきてくれれば、ギルド側でそれを買い取ります。その際にはギルドカードが必要で……あ、仮証書を渡すの忘れてました」
トール達に仕送りをするためには一どれくらい魔を倒せばいいだろうと考えていたディルは、差し出された薄紫の紙をけ取り眺めてみた。
デカデカと仮と書かれているために、ディルにも容易に読み取れる親切設計が非常にありがたい。
しわしわにならないように二つに折ってから、服についているポケットにそれを突っ込んだ。
「とりあえずこの二種類の魔を相手取ってしっかり戦えるようになれば冒険者ランクの昇格が見えてくるんですけど……ディルさんには問題なさそうですね」
「そういえばそんなものもあるって言ってたの」
自分が倒した男が確かCランクだったのを思い出すも、口に出すことはしなかった。
最初はE次がD、そこからCBASと順繰りに上がっていくという説明をけはしたものの、彼は昇格に関してはあまり興味がなかった。
今さらり上がろうなどと考えても、階段を上る最中にポックリ逝ってしまうのがオチだとしか思えなかったからだ。
できれば一日三食のご飯が食べられれば、それに越したことはないという程度の考えはあったが、野心などというものは微塵もなかった。
適當に日銭を稼ぎ、ちょっと貯金して、たまにマリルの食事代でも送れれば最高である。
爺は頭を回転させどれくらい魔を倒せばいいかということを若い頃より隨分と遅くなった計算速度で弾き出そうとしたが、その途中でそもそもこの街の価を何一つ見ていなかったことを思い出した。
宿代と食事代がどれくらいのものなのか、食住の確保くらいはなんとかなるのか。
まずはそれを確認する必要があるな、とこれからすべきことに頭を巡らせる。
「で、こっちが薬草の分布図ですね。種類によって値段が変わるので……」
「ああ、薬草摘みはあんまりするつもりないから説明しなくても大丈夫じゃ」
「え、でも採取系の依頼をこなさないと冒険者ランクが上がりませんが……」
「わし、上昇志向とかないしの。それに採取は無理じゃ、腰が死んでしまう」
スキル見切りは自分ののきを最適化させる力だ。
だが幾ら最適化させたところで、半腰狀態で何度も立ったり座ったりの採取などしようものなら、マッハで腰が逝ってしまう。
適當に力して一撃で敵をしてしまえる魔の討伐が、老骨には丁度いいのである。
「……採取ができないとしても、街の人達への奉仕でも代替は可能なので、是非一度考えてみてください」
「そうかい、ならそうしておこうかの」
絶対にやらないなどと言って、事を荒立てる気はないと、ディルは取り敢えず肯定しておいた。
ミースが自分を神格視しているようにじし気にはなったが、下手なことはせんでおこうととりあえず話を聞いておくことにする。
やられた方が悪い。だけどあんまりひどいことをしていると引っ立てられる。荒くれ者であっても流儀は必要。
要約するとこんなじのギルドの規則を聞いていると、なんだか眠くなってきてディルは首をカクカクとかし始めた。
老人にはつまらない話を長時間聞く力など、殘っていないのである。
「…………というわけです、聞いてましたか?」
「……聞いとった聞いとった、完璧じゃ」
「噓つかないでください、対面してるんですから寢てるの丸わかりですよ」
「ごめんなさい、ぐっすり眠ってました。でも半分くらい聞いてたから許して」
「はぁ……こんなんじゃ先が思いやられますよ?」
「老い先短いジジイじゃし、先なんてあってないようなもんじゃ」
適當にあしらってから、爺はミースの様子を確認した。
まだしぎこちなさのようなものはあるが、さっきまでと比べると隨分マシになったように思える。
本當ならもうし長居して気を落ち著かせてあげてもいいところではあるのだが、ディルもこれからのことを考えるとやらねばいけないことも多い。
「それじゃあお暇させてもらうことにしようかの」
「え、もう行っちゃうんですか?」
「日が暮れる前に宿を取らんといかんでな」
シュンとわかりやすく気落ちするミース。
思わずうっときそうになり、もし娘がいたらこんなじなんじゃろうかと躊躇いが顔を出す。
「ま、また明日も來るから安心せい、うん」
「本當ですか‼ ちゃんと來てくださいね、約束ですよ‼」
一瞬で元気になるミースを見て、嵌められて言質を取られてしまったとわかるお爺ちゃん。
なるほど、こりゃ一本取られたわい。
表の変化の目まぐるしさに目を回しそうになりながら、この分なら大丈夫そうじゃのとし安心するディル。
彼はミースの先導をけながら、階段を下っていった。
「また來てくださいねー、約束ですよー‼」
冒険者ギルドを後にしながら、ディルは顎に蓄えられた髭をで付けて空を見上げた。
「六十を過ぎても……の子の気持ちというやつは、まるでわからんのぉ」
もしかしたら自分がなんとかせにゃいかんと考えてしまったあの儚げな顔は、演技だったのだろうか。
そんな風に勘繰ってみるが、それはそれで構わんなとすぐに考えるのをやめる。
笑顔が一番じゃよね、うん。
ディルは狐に化かされたような気分になりながらも、にこにこ笑顔で歩を進めていく。
「冒険者登録が終わったら、次は宿とご飯をなんとかせにゃならんの」
ディルは馬車の乗車料金でかなり寂しくなった懐をポンと叩いてから、今の自分でも泊まれそうな宿屋をし始めた。
じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
【2022年6月1日 本作が角川スニーカー文庫様より冬頃発売決定です!!】 「オーリン・ジョナゴールド君。悪いんだけど、今日づけでギルドを辭めてほしいの」 「わ――わのどごばまねんだすか!?」 巨大冒険者ギルド『イーストウィンド』の新米お茶汲み冒険者レジーナ・マイルズは、先輩であった中堅魔導士オーリン・ジョナゴールドがクビを言い渡される現場に遭遇する。 原因はオーリンの酷い訛り――何年経っても取れない訛り言葉では他の冒険者と意思疎通が取れず、パーティを危険に曬しかねないとのギルドマスター判斷だった。追放されることとなったオーリンは絶望し、意気消沈してイーストウィンドを出ていく。だがこの突然の追放劇の裏には、美貌のギルドマスター・マティルダの、なにか深い目論見があるようだった。 その後、ギルマス直々にオーリンへの隨行を命じられたレジーナは、クズスキルと言われていた【通訳】のスキルで、王都で唯一オーリンと意思疎通のできる人間となる。追放されたことを恨みに思い、腐って捨て鉢になるオーリンを必死になだめて勵ましているうちに、レジーナたちは同じイーストウィンドに所屬する評判の悪いS級冒険者・ヴァロンに絡まれてしまう。 小競り合いから激昂したヴァロンがレジーナを毆りつけようとした、その瞬間。 「【拒絶(マネ)】――」 オーリンの魔法が発動し、S級冒険者であるヴァロンを圧倒し始める。それは凄まじい研鑽を積んだ大魔導士でなければ扱うことの出來ない絶技・無詠唱魔法だった。何が起こっているの? この人は一體――!? 驚いているレジーナの前で、オーリンの非常識的かつ超人的な魔法が次々と炸裂し始めて――。 「アオモリの星コさなる」と心に決めて仮想世界アオモリから都會に出てきた、ズーズー弁丸出しで何言ってるかわからない田舎者青年魔導士と、クズスキル【通訳】で彼のパートナー兼通訳を務める都會系新米回復術士の、ギルドを追い出されてから始まるノレソレ痛快なみちのく冒険ファンタジー。
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