《【書籍化】絶滅したはずの希種エルフが奴隷として売られていたので、娘にすることにした。【コミカライズ】》第15話 取らぬクリスタル・ドラゴンの皮算用
帝都ぶらり旅から帰ってきた俺達は、商業通りで買ったお菓子等を食べながらまったりと過ごしていた。
「リリィ、ちょっといいか?」
「んー?」
名前を呼ぶと、リリィがとてとてと寄ってくる。ほっぺたにはさっきまで食べていたケーキのクリームがついていた。
「パパな、明日ちょっと出かけないといけないんだ」
クリスタル・ドラゴンは帝國領の端、グエナ火山にのみ生息している。普通の方法で移しようとすれば2日、改造魔法車でも3時間は掛かる。討伐する時間も考えれば、丸1日掛かると思っていたほうが良いだろう。
クリームを拭き取りながら告げると、リリィは涙目になった。
「りりーおるすばん…………?」
「…………そうだ。でもひとりじゃないぞ。ジークリンデおねーちゃんが遊びに來てくれることになってるんだ」
「うー…………」
…………あれ、思ったよりテンション上がってないな。昨日は最終的に結構おしゃべりしてたような気がするんだが。
「りりーもいっちゃだめ…………?」
リリィが瞳に涙を溜めて、上目遣いに見つめてくる。反的に「いいよ」と言ってしまいそうになるが、今回ばかりは連れて行く訳にはいかない。
「…………ごめんな。今度またお出かけしような」
頭をでても、リリィの機嫌は復活しなかった。
その日の夜、折角自分の部屋が出來たというのに、リリィは枕を持って俺の部屋を訪ねてきた。
「…………ぱぱといっしょにねる」
ベッドにれてやると、リリィは俺の腕を抱き締めながら眠りについたのだった。
◆
「さて、行くか。ジークリンデ、リリィを頼んだぞ」
「任せておけ。夜には私のことをママと呼んでるさ」
「…………あんまり変なことさせるなよ」
自信満々の表を浮かべているジークリンデとは裏腹に、俺は早くも不安な気持ちになった。
「…………ぱぱいってらっしゃい」
「いってきます。おねーちゃんとなかよくな」
腳に抱きついてきたリリィの頭をそっとでてやる。
…………リリィは俺から離れることに不安をじている。しかし學校が始まればそうも言っていられない。今のうちからこういうことに慣れさせておく必要があった。『俺離れ』というか。
そんな訳で、朝うちを訪ねてきたジークリンデとバトンタッチする形で俺はクリスタル・ドラゴン討伐に出発した。
移方法はエスメラルダ先生に用意してもらった改造2魔法車。普通の魔法車と違うのは、『スピードに制限がない』という所。魔力を込めれば込めるだけスピードが出る。
俺が乗れば、この世で最も速く飛ぶと言われているソニック・ドラゴンよりも速く走るだろう。
俺は先生の店で2車を借りると、帝都の門をくぐりアクセルをフルスロットルで回した。
────景が一瞬で流れていく。魔力を車の回転に変換することのみに特化させた鋼鉄の馬が、唸りを上げて草原を疾駆する。
「この覚、久しぶりだな」
學生時代はジークリンデへの借金を返済する為によく乗り回していた。今はリリィのローブを作るために乗っている。10年あれば人間変わるものだ。當時の俺は、まさか10年後自分に娘が出來ているなんて考えもしなかった。
事故を起こさないように周囲に魔力を張り巡らせながら、俺はクリスタル・ドラゴンの生息地であるグエナ火山へと進した。
「…………どうすっかなあ」
道中で考えるのは、クリスタル・ドラゴンの倒し方だ。
まずは昨日調べた報を整理しよう。分かりやすく魔法省の図鑑形式で思い浮かべてみる。
・名前…………クリスタル・ドラゴン
・種族…………ドラゴン
・大きさ…………10メートルほど
・特徴…………グエナ火山に生息するクリスタルをに纏うドラゴン。主に鉱を主食とし、結晶で出來た長角にエネルギーを凝させている。に散りばめられているクリスタルは魔力を吸収する質を持ち、魔法による攻撃一切を無効化する。クリスタルの度は9。グエナ村では神の使いとして崇められている。帝國の定める討伐難易度は最高ランクのSSS。討伐記録は過去に1度しかなく、それも80年ほど前。アダマンタイトで出來た槍を使用したらしい。
…………魔法省の図書室で得られた報はこんなところだった。
一応討伐記録があるから倒せなくはないらしいことは分かった。アダマンタイトはこの世に3種類しか無いとされる度10の金屬だが、その原料、製方法、全てが謎に包まれている。金を積んで手にる類のものではなく、よって俺には用意出來ない。理攻撃で倒すってプランはナシだ。
となると殘りは魔法攻撃で倒すってことになるんだが、存知の通りクリスタル・ドラゴンに魔法攻撃は通用しない。クリスタル・ドラゴンが生する鉱には魔力を吸収する質があるからだ。一攫千金を狙う數多の魔法使いを屠ってきた『魔法使い殺し』の二つ名は伊達ではないだろう。
「…………とはいってもなあ」
その話を聞いても…………俺にはどうしても自分の攻撃が無力化されるビジョンが湧かないのだった。
魔法攻撃を無力化すると言っても、それ俺以外の話だろ? と思ってしまう。
魔力を吸収するとは言え無限に吸収出來る訳がなく、単純な話、クリスタル・ドラゴンの許容量以上の魔力を流し込んでしまえばいいんじゃないか。これまでただの一人も魔法使いがクリスタル・ドラゴンに勝てなかったのは、それが出來る魔法使いがいなかったというだけの話。なら俺がその一人目になってやればいい。
魔法省の図鑑には魔法による討伐記録が追加され、俺は素材が手にってハッピー。リリィは最高のローブをに纏う。まさに良いことづくめ。
さらに、だ。
エスメラルダ先生に聞いた所、クリスタル・ドラゴンの角はなんと杖の素材として最高品質らしい。それを聞いてしまえば、俺にはもうリリィの杖とローブが空を飛んでいるようにしか見えない。
グエナ村で崇められているんだか知らないが、倒しても俺の心は痛まない。俺は善人では無いからだ。
そんな訳で、俺はクリスタル・ドラゴンの事を「まあぶっちゃけ余裕で倒せるだろ」と楽観的に考えていた。
この時は、まだ。
【メッセージ】
「面白い!」「続きが気になる!」と思って頂けましたら、
↓の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!
★ひとつ貰えるだけでも本當にモチベーションにつながります!
よろしくお願いします!
【書籍化】わしジジイ、齢六十を超えてから自らの天賦の才に気付く【8/26から電撃マオウでコミカライズスタート!】
スキルと呼ばれる特殊能力が発現する世界で、老人であるディルはある日突然力を得た。ただ殘念なことに、それは老體では扱いに困るような戦闘に特化した能力だった。「わし、もういい年なんじゃけどなぁ……」 齢六十を超えた老人による遅すぎるセカンドライフが今、始まる。 ※書籍化&コミカライズ決定しました! 書籍の発売日は5/2、レーベルはドラゴンノベルス様、イラストレーターは吉武さんです!
8 161「気が觸れている」と王家から追い出された俺は、自説通りに超古代銀河帝國の植民船を発見し大陸最大國家を建國する。 ~今さら帰って來てくれと言っても、もう遅い! 超テクノロジーを駆使した俺の建國史~
ロンバルド王國の第三王子アスルは、自身の研究結果をもとに超古代文明の遺物が『死の大地』にあると主張する……。 しかし、父王たちはそれを「気が觸れている」と一蹴し、そんなに欲しいならばと手切れ金代わりにかの大地を領地として與え、彼を追放してしまう。 だが……アスルは諦めなかった! それから五年……執念で遺物を発見し、そのマスターとなったのである! かつて銀河系を支配していた文明のテクノロジーを駆使し、彼は『死の大地』を緑豊かな土地として蘇らせ、さらには隣國の被差別種族たる獣人たちも受け入れていく……。 後に大陸最大の版図を持つことになる國家が、ここに産聲を上げた!
8 64邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜
武術、勉學、何でもできる主人公がVRMMOで邪神と好き放題楽しんでいく小説です。 チートマシマシでお楽しみください。 作者の辭書に自重と言う言葉はない(斷言) 処女作、毎日投稿です。色々間違っている所もあると思いますが、コメントで感想やご意見いただければ勵みになるので是非お願いします。 作品への意見なども大歓迎です。 あと誤字多いです。御容赦ください。 注意 この作品には頻繁?に書き直しや修正が発生します。 作品をより良くするためなのでご容赦を。 大きな変更の場合は最新話のあとがきにて説明します。 Twitterハジメマシタ! ユーザーネーム「クロシヲ」でやってます。 ID的なのは@kuroshio_novelです。 コメントは最新話にてお返しします
8 61魅力1000萬で萬能師な俺の異世界街巡り〜
毎日毎日朝起きて學校に行って授業を受けて、家に帰って寢るという、退屈な學校生活を送っていた黒鐘翼。 何か面白いことでもないかと思っていると、突然教室の中心が光り出し異世界転移をされてしまった。 魔法の適性を見てみると、全ての魔法の適性があり、 中でも、回復魔法の適性が測定不能なほど高く、魅力が1000萬だった。さらに職業が萬能師という伝説の職業で、これはまずいと隠蔽スキルで隠そうとするも王女にバレてしまい、ぜひ邪神を倒して欲しいと頼まれてしまった。が、それを斷り、俺は自由に生きるといって個別で邪神を倒すことにした黒鐘翼。 さて、彼はこの世界でこれからどうやって生きていくのでしょうか。 これは、そんな彼の旅路を綴った物語である。 駄文クソ設定矛盾等ございましたら、教えていただけると幸いです。 こんなクソ小説見てやるよという方も、見たくもないと思っている方もいいねとフォローお願いします。
8 145【銃】の暗殺者
異世界に連れていかれた少年が暗殺者となってのんびりと過ごすお話です この作品に出てくる銃は素人知識ですので間違いがあってもご容赦を
8 55Primary Wizard ~ゼロから學ぶ基礎魔術理論
●見習い魔術師のエレナが、魔術の先生であるノムから魔術の理論を教わりながら魔術師として成長していく、RPG調ファンタジー小説です ●ノムから教わったことをエレナが書き記し、魔導書を作り上げていきます ●この魔導書の章と、小説の章を対応させています ●2人の対話形式で緩い感じで進行します 《本小説の楽しみ方》 ●魔術よりも、エレナとノムのやり取り(漫才)がメインです。できるだけスピード感がでるようにしたつもりですが・・・。ゆるっとした気持ちで読んでいただけるとありがたいです。 ●本小説の魔術の理論は、いろいろなゲームの魔術の理論を織り込み、混ぜ込みながら、オリジナルのシステムとして體系化したものです。できるだけ系統的に、各設定が矛盾しないように頑張った、つもりです。理論の矛盾點とか、この部分はこのゲームの理論に近いとか、イロイロ考えながら読んでいただけるとうれしいです。 ●本作は元々はRPGのゲームでした。この物語部を改変して小説にしています。それゆえにいろいろとゲーム的な要素や數値設定が出てきます。ゲーム好きな方は是非に小説を読んでやって下さい。 _______________________ ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 【★】創作ポータルサイト http://memorand.html.xdomain.jp/ キャラ紹介、世界観設定などの詳細情報はコチラへ _______________________ ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
8 71