《【書籍化】宮廷魔導師、追放される ~無能だと追い出された最巧の魔導師は、部下を引き連れて冒険者クランを始めるようです~【コミカライズ】》葬送の五騎士
『葬送の五騎士』率いるスケルトン軍団が、敵のゾンビとスケルトンのりじった集団とぶつかり合う。
さながらアンデッド同士の縄張り爭いのようで、見ていてちょっとわくわくする。
「ガガッ!」
先頭に立って陣頭指揮を執っているのは、ゴルネザと呼ばれていたスケルトンナイト・オーダーだ。
ゴルネザが使う武は、ドラゴンゾンビの毒牙でできた直刀だ。
パワータイプなのか、スケルトンの全長よりもデカく斬馬刀ぐらいのデカさがある。
ドラゴンゾンビの牙はれるだけで即座に意識を失うような猛毒を出す。
そしてそれを使用したあの剣もまた、ドラゴンゾンビがしていたのと同様、使用の際に魔力を流すことで毒を分泌させることができる。
だが今回は相手も不死の高いゾンビなので、毒は使わないようだ。
「カッ!」
ゴルネザが剣を振り下ろせば、ゾンビが頭から下まで斷ち切られる。
骨だけのとは思えないほどにパワフルに、周囲のゾンビを薙ぎ払っていく。
正に鎧袖一、ゾンビ達は為すもなく全から腐ったを噴き出していく。
ゾンビの弱點は生前と変わらない。
人間のゾンビも犬のゾンビも、基本的には頭を潰せば終わる。
だが逆を言えば、頭を潰すまでは終わらない。
今もゴルネザに上半だけにされたゾンビが、ズリズリと這ってこうとしている。
「ガッ!」
ゴルネザの號令をけ、スケルトンたちはまともにけなくなったゾンビたちにトドメを刺していく。
どうやら彼は、自分が最前線で戦い続けることを好むタイプのようだ。
生前は猛將として通っていたんだろうな。
ゴルネザが吶喊し、彼が空けたにスケルトンたちを差し込む。
そして作った隙間をドンドンと拡げていき、目に付いた相手を片っ端から真っ二つにしていく。
続いてゴルネザより姿勢が良くシュッとして見える、イベリアと呼ばれていたスケルトンナイト・オーダーだ。
骨のも、気持ちエメラルドっぽい気がする。
持っているのはレイピアで、著けている鎧も何故かしが明るい。
一律で死霊を使っても個人差が出るというのは、なかなか興味深い。
彼が率いる騎士団が戦うのは、同種であるスケルトンだった。
數は大同數くらい、どちらも五百前後だな。
俺が造り出したまっさらなスケルトンより、怨念によって蘇ったものの方が個としての強さは上だ。
戦力的にはこちらがやや不利、といったところだろうか。
「……」
イベリアは相手のスケルトンたちの間にスッと割ってり、音もなく通り過ぎていく。
彼はゴルネザのように、ガタガタと歯を打ち合わせたりはしない。
彼が剣を掲げると、パリンと敵のスケルトンの核が割れる。
早いな……魔力による強化までのつなぎがまったく見えなかった。
魔も人間と同様、生エネルギーである魔力と気力を両方とも己の力として使うことができる。
ただしこの場合、アンデッドは例外だ。
彼らは理攻撃に強く、狀態異常攻撃などが効きにくい代わりに、気力を使うことができない。
そのためアンデッドたちが扱えるのは魔力だけなのだ。
もっとも魔が使うのは魔法ではなく、より純粋な魔力の使用による事象改変だ。
そのため今のイベリアのように、特に魔法名をんだり詠唱を加えずとも使える。
その分個差が大きく、効果も魔法ほどは高くないんだけど……ミスリル級の中でも上から數えた方が強い魔が使うと、魔力使用の際、流れに淀みがないせいで、発されるまで気付かないということが多々ある。
「ギ……」
イベリアの指示に従い、スケルトンの軍団が敵へと向かっていく。
強さとしてはあちらが上でも、こちらには現場で命令を下すことのできる彼がいる。
彼が命令をしたのか、こちらのスケルトンたちは敵のスケルトンたちの核(コア)を集中的に狙っていた。
スケルトンは骨だけの魔であり、ただ倒すだけでは骨を組み直して再び立ち上がってくる。
彼らの弱點は、その骨の奧にっている赤い球――核だ。
そこは彼らにとっての心臓のようななので、核を壊せばスケルトンは一撃で沈む。
弱點が丸見えっていうのは、生きとしては致命的だよな。
セリアが供で部裝甲を重點的に強化しているのも、その弱點を補うためだし。
「「「ガガガッ!」」」
イベリア率いるスケルトン軍団は著実に相手にトドメをさしていく。
どうやら二人一組で行をさせているようで、至る所で戦うペアの姿が見けられた。
対し相手はバラバラに突撃し、闇雲に攻撃をしかけているだけ。
いくら個としての戦闘能力が高くとも、これでは勝てるはずがない。
敵が固まり危なそうな場所には、イベリアが率先して割ってって打開する。
彼は戦いを終える度に、周囲を鼓舞するためか剣を高く天に掲げる。
だが俺の作ったスケルトンは本當に命令通りくだけの人形だ。
何も反応がなく、イベリアもどこか不服そうな顔をしている。
殘るシュプリームは守勢に秀で、ない味方で相手の攻撃を防いでいた。
テアは遊軍の將として、急襲を行っては適宜離するような戦い方を好むようだ。
スケルトンの戦闘能力は高くないのでゾンビと戦うとバカスカ死んでいくが、俺がいくらでも補充できるので問題はない。
俺は『葬送の五騎士』と神的な繋がりを持つセリアの言葉を頼りに、戦力を逐次送り出していく。
「なんだか本の戦爭みたいだな」
「ゴルネザさんたちにとっては、久しぶりにやってこれた戦場ですからぁ。嬉しくて舞い上がっちゃってるのが私にもわかりますぅ」
俺はセリアがスケルトン軍団を使う魔同士のぶつかり合いは見たことがあるが、実際の戦爭というものに參加したことはない。
『七師』になった頃には新たな屬州が増え、國の安定を優先させていたからな。
もしあのまま働き続けていたら、俺も連邦あたりに出征させられていたかもしれない。
「『超過駆』クリエイション・スケルトン」
俺は再度五百のスケルトンを生み出し、『前進せよ』と『上位種に従え』、そして『緑のスケルトンに従え』という三つの命令をかけて送り出す。
し考えて、今は命令の容を一つ足している。
スケルトンは鳥頭なので、これが限界だ。
付け足した理由は、もし相手方がスケルトンだった場合、命令に従って俺たちを襲う……なんていうパターンがあるかもしれないからだ。
俺の命令も悪かった。
スケルトン同士の戦いっていうのは今まで経験がなかったから、これは今後の教訓としておかなくちゃな。
戦いが続き、敵の數も徐々に減ってきた。
減る度にスケルトンを追加投できる俺たちとは違い、向こうはあくまでも死からアンデッドを生み出しているだけだ。
補充はこちらよりずいぶんと利きにくいはず。
どうやらそろそろ玉が盡きてきたのか、ちらほらと俺たちのスケルトン軍団が占有する面積が増えてきた。
……さて、そろそろ俺もくか。
「出るぞ、ついてこい」
「はいっ!」
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