もやもやとした気持ちは宿に戻っても殘っていた。

ドロシーは死んだ。スティーヴンが関與しなくても彼は死ぬ運命だった。

いったい誰が、彼が怪しいなどと通報したのか。

スティーヴンにはわからなかった。

彼は眠った。

深夜遅く、突然警告の鐘が鳴った。

悲鳴や不安の聲が聞こえてきた。

スティーヴンは起き上がると、外に出た。

「皆、城へ向かえ！」

騎士がんでいる。

「〔冒険者殺し〕が大量に街に向かっている！　戦えるものは戦え！」

スティーヴンは街の城壁へ向かった。

〈テレポート〉を使う。一枚を目の前に、もう一枚を屋の上に出現させ、発した。

功した。

彼は走りながら〈テレポート〉で屋の上を転移していく。

城壁にたどり著いた。そこにはたくさんの騎士が配備されていて、街の外を見下ろしていた。

火のついた矢を次々にる。

火は地面に燃え広がり、魔たちの様子を明らかにする。

ゴブリンや、スライムだけではない。

キングタイガーや魔族になりかけの黒い人型までいる。

それも大量に。

あたり一面を魔が覆っていた。

スティーヴンは雷撃系最強のスクロールを使った。

しかし、

「魔が多すぎる」街を取り囲む魔すべてに効果があったわけではない。

「終わりだ」騎士の一人がつぶやいた。

スティーヴンは街を一できる場所を探した。

領主の家、城が最も高い位置にある。

スティーヴンは〈テレポート〉を駆使して、城までたどり著き、その最も高い場所に著地した。

ここなら城壁をすべて見ることができる。

街全を守れる。

スティーヴンはあたりを見回し、城壁に空間転寫で防系最強のスクロールを展開していく。

一枚では足りない。

何枚ものスクロールを転寫し、〈対象の選択〉で城壁を選択していく。選択したそばから発する。

魔法壁が発し矢が通らなくなる。代わりに、

魔が魔法壁にぶち當たった。完全に反され、押しつぶされて魔たちはことごとく死んでいく。

終わったか？

気を抜いた一瞬、閃が走る。

閃は魔法壁にぶつかって反する。

スティーヴンは〈テレポート〉で閃がぶつかった場所へと向かう。

城壁にたどり著くと再び一瞬ののあと、閃がこちらに向かってくる。

魔法壁を展開する。

守る。

「スティーヴン！」

マーガレットが城壁を走ってこちらへやってきた。

「お前がほとんど片付けたのか」

「ええ、でも一、頭のいい奴がいます」

また閃が走る。

守る。

「魔族だな」マーガレットは言った。「あそこまで行けるか？」

「〈テレポート〉で、ですよね？　いけますよ」

「頼む」

スティーヴンは二枚のスクロールを目の前に出すとはるか彼方にもう二枚を出現させる。マーガレットの手をとる。

「行きます」

転移する。

目の前に出現したのは、一見するとただの年。

彼は右手を挙げて、唱える。

『**アクティベイト』

スティーヴンは〈アンチマジック〉を発する。

一瞬ったが魔法は発されない。

魔族は首をかしげている。

そのすきに、マーガレットが駆け出した。

彼は跳び、斬撃をくらわす。

魔族がよける。

『*アクティベイト』

『*アクティベイト』

『*アクティベイト』

『*アクティベイト』

『*アクティベイト』

魔族は詠唱を続ける。

スティーヴンは〈アンチマジック〉のスクロールを明滅させる。

片っ端から魔法を消していく。

奴が魔法剣を出現させようが、盾を出現させようが関係ない。

形される前に、バシュという音を立てて消える。

マーガレットは魔族の速度についていく。

奴は詰んだ。

魔族は首をはねられ、死んだ。

「楽勝だったな」

マーガレットは言った。

「あなた一人でも勝てましたね」

彼は微笑んで、スティーヴンの肩を叩いた。

「無理だよ」

二人は街へと戻った。

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