《【書籍化・コミカライズ】さないといわれましても~元魔王の伯爵令嬢は生真面目軍人に餌付けをされて幸せになる》2 にんげんっていいなとおもいまして
魔王と言いましてもね、人間がそう呼んでたからそうなのかなってだけです。
前世では、気がついたら巖と枯草のほかはなぁんにもないところにいたんですよね。そうしたらやっぱりそのうちお腹すくじゃないですか。手とか足とかなかったのでね、とりあえずどこかに這っていってみようって思ったんだと思います。ずるずるって。
思ったんだと思うっていうのはあれです、私、今はアビゲイルなので、魔王だったときに思ったことは覚えてないんです。起きたことをなんとなく知ってるだけです。あと魔王ができたこととか覚えたことも知ってます。
そのときはまだが小さくてね、彷徨ってるうちに、上からひゅいんって飛んできた魔にがしって摑まれたんです。巣に持ち帰って食べる予定だったのでしょうね。みるみるうちに空高くぎゅんぎゅんと連れ去られたのです。そりゃやっぱりもがきますよね。本能ってものが多分あったので。
そしたらその飛ぶ魔が突然きゅーって鳴いて、ぱっと離したんです。落ちたとこは森でした。そこには魔がいっぱいいて。
まあ、小さいですから餌だと思われますよね。次々襲われましたけど、返り討ちにできましたので逆に餌にしました。
なんか強かったんですよ。そりゃ魔王っていわれるだけのことはありましたよね。びりびりって雷落としてみたりとか、ぼんぼん燃やしてみたりとか。あ、燃やしたのは一度だけです。樹が燃えて熱かったので消そうとしたんですけどなかなか消えなくて。最終的にどんって空気固めて落としたらその辺一帯が荒野になっちゃったので。
そんなじで暮らしてました。
それでね、たまーに人間が迷い込んでくるんです。そのときはもう魔王も人間くらいの大きさになっていて。いろんな種類の魔を食べたからでしょうか。手も足もいっぱい生えました。後、目とか口も。ああ、でも魔王は一応襲ってくる奴しか食べませんでした。なぜだったのかはわかりませんけど。
魔王を見た人間はみんな大騒ぎして逃げていきます。だけどほんと稀に、ごはんくれるのがいたんです。
持ってたお弁當置いて逃げてくの。
その味しいことといったら!
とかの匂いとかしないし、ほんのちょっとだけいいじにしょっぱかったり甘かったりするの。
思ったことは覚えてないんですけど、味は覚えてるんですよ。
――今朝のソーセージは、あのとき初めて食べたおよりずっと味しかった……。人間でよかった……。
「……?奧さ……奧様!?どうされました!奧様ァァッ!」
おなかいたくて部屋の隅に隠れてたんですけど、遠くから侍長のび聲が聞こえました。ほらね、やっぱりこの人間は優しい人間。
◆◆◆
「坊ちゃま、どういうことでございましょう」
帰るなり侍長のタバサが、家令のイーサンを押しのける勢いで詰め寄ってきた。
エントランスホールでは視線で圧をかけているだけだったが、この目は【こっちいらっしゃい】だと気が付いて逃げたくなったけれど葉わなかった。私室の扉を閉じるが早いか始まる詰問。
「……坊ちゃまはやめろ」
「坊(・)ち(・)ゃ(・)ま(・)、どういうことでございましょう」
鼻がくっつきそうなほど顔が近いから視線を當然逸らすわけだけれど、タバサはぐりんと逸らした先に顔を出してくる。
「なんのことだ」
「奧様のことでございます。ええ、初夜に、初夜なのに、夫に放置された花嫁である奧様のことでございます。わたくし、坊ちゃまがそれほどまでに未者(腰抜け)だとは思いもよりませんでした。閨教育はどうなっていたのでしょう。イーサン?どうなってたのかしら」
家令のイーサンはタバサの夫でもある。普段の仕事でそう見えることはないが、隨分と腹に據えかねているらしい。こうなるとイーサンは頼りにはならない。二人の息子で、俺の兄弟かつ執事のロドニーに視線を向けると素早く顔ごと逸らされた。お前もか。
「この結婚は政略どころか押しつけられたものだと知ってるだろう。タバサだって一昨日まで嫌そうだったじゃないか。社界でもあばず」
「坊ちゃま」
「……失禮。とにかく縁固めだか派閥だかなんだかと、上司である將軍の遠縁の娘を押し付けられたんだ。俺にはなんの益もないのにな。その上悪名高い娘だぞ。けれただけで充分だ」
「その悪評ですけども?坊ちゃまはご自分で真相をお調べに?」
「……いや」
「ほお!坊ちゃまは力だけでなく知將でもあるともっぱらの評判とお聞きしてましたが、所詮、噂は噂でございますね?」
「……っ」
タバサのハシバミの瞳がひんやりと鋭い。俺は一応強面で通ってるんだが、母でもあるタバサにはまるで通用しないし勝てる気もしない。
「……奧様が朝食後お倒れになりました」
「ああ、伝令がきたな。醫者は呼んだのだろう?」
「お部屋のご様子からないとは思いましたが、坊ちゃまが無をした可能も考え、きっちり」
「いやまて無って」
「きっちり!診察していただきましたところ、栄養失調だそうです」
は?栄養失調?伯爵令嬢が?
予想外の言葉に固まった俺に、タバサが畳み込むように追撃をしかけてくる。
「おそらく以前からまともに食事をとれていなかったであろうことに加え、朝食が重かったようです。……お好みもまだわかりませんし、お疲れかと種類を取りそろえたのが仇となりました。本當に、小鳥だってもっとお食べになります。その上、殘りはお晝に食べるなどとおっしゃって、……あそこは先妻がお亡くなりになった後すぐに後妻を迎えたところではありませんか。あれはご生家でひどい目にあわされておいでです。おいたわしい……」
ゆうべ、恥じらいも嗜みもなくはだけたを思い出した。
「……確かに鶏がらだっ「坊ちゃま!?見るだけしっかり見て放置したということですか?まあああああっうら若き乙になんて無を!そんな未者(腰抜け)にどうしてお育ちになったのですか!なんって!なんって嘆かわしい!」」
あれは不可抗力だとか、そういうことではないとか、まるで口を挾む余地などなかった。
6/15発売【書籍化】番外編2本完結「わたしと隣の和菓子さま」(舊「和菓子さま 剣士さま」)
「わたしと隣の和菓子さま」は、アルファポリスさま主催、第三回青春小説大賞の読者賞受賞作品「和菓子さま 剣士さま」を改題した作品です。 2022年6月15日(偶然にも6/16の「和菓子の日」の前日)に、KADOKAWA富士見L文庫さまより刊行されました。書籍版は、戀愛風味を足して大幅に加筆修正を行いました。 書籍発行記念で番外編を2本掲載します。 1本目「青い柿、青い心」(3話完結) 2本目「嵐を呼ぶ水無月」(全7話完結) ♢♢♢ 高三でようやく青春することができた慶子さんと和菓子屋の若旦那(?)との未知との遭遇な物語。 物語は三月から始まり、ひと月ごとの読み切りで進んで行きます。 和菓子に魅せられた女の子の目を通して、季節の和菓子(上生菓子)も出てきます。 また、剣道部での様子や、そこでの仲間とのあれこれも展開していきます。 番外編の主人公は、慶子とその周りの人たちです。 ※2021年4月 「前に進む、鈴木學君の三月」(鈴木學) ※2021年5月 「ハザクラ、ハザクラ、桜餅」(柏木伸二郎 慶子父) ※2021年5月 「餡子嫌いの若鮎」(田中那美 學の実母) ※2021年6月 「青い柿 青い心」(呉田充 學と因縁のある剣道部の先輩) ※2021年6月「嵐を呼ぶ水無月」(慶子の大學生編& 學のミニミニ京都レポート)
8 193【WEB版】王都の外れの錬金術師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】
【カドカワBOOKS様から4巻まで発売中。コミックスは2巻まで発売中です】 私はデイジー・フォン・プレスラリア。優秀な魔導師を輩出する子爵家生まれなのに、家族の中で唯一、不遇職とされる「錬金術師」の職業を與えられてしまった。 こうなったら、コツコツ勉強して立派に錬金術師として獨り立ちしてみせましょう! そう決心した五歳の少女が、試行錯誤して作りはじめたポーションは、密かに持っていた【鑑定】スキルのおかげで、不遇どころか、他にはない高品質なものに仕上がるのだった……! 薬草栽培したり、研究に耽ったり、採取をしに行ったり、お店を開いたり。 色んな人(人以外も)に助けられながら、ひとりの錬金術師がのんびりたまに激しく生きていく物語です。 【追記】タイトル通り、アトリエも開店しました!広い世界にも飛び出します!新たな仲間も加わって、ますます盛り上がっていきます!応援よろしくお願いします! ✳︎本編完結済み✳︎ © 2020 yocco ※無斷転載・無斷翻訳を禁止します。 The author, yocco, reserves all rights, both national and international. The translation, publication or distribution of any work or partial work is expressly prohibited without the written consent of the author.
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