《【書籍化進行中】斷罪された悪役令嬢は、元兇の二人の娘として生まれ変わったので、両親の罪を暴く》49.出立
エルヴィスは第二王子ジェームズと共に、塔の階段を下りていく。
「今朝になって急に警備が手薄になってね。公が従順に連行され、おとなしくしていたから、油斷したのだろう。今のうちにと思って來たんだ。公に何かあっては、セシリアが悲しむだろうからね」
「……殿下がセシリアの気持ちを考えてくださるとは、思いもよりませんでした」
セシリアは王家に誰も味方がいなかったはずだ。
ジェームズから嫌がらせをされたという話は聞かなかったが、優しくされたという話も聞いたことがない。
「あの子には悪いことをしたと思っているよ。兄夫婦にげられているのは知っていたが、かばってやらなかった。私の両親もあの子のことをよく思っていなかったし、波風を立てるのが怖くて見て見ぬふりをしていたんだ。今さらだが、あの子には幸せになってもらいたい」
幸せになってもらいたいという言葉には、真実の響きがあった。
だが、エルヴィスは素直に信じることができない。
「殿下は、セシリアの王即位に賛だったと思うのですが」
過去の王は、荒廃した國を立て直したものの、五年で力を失い、命をめたという。
ジェームズがセシリアの王即位に賛するのは、在位期間が短くて済むからだとエルヴィスは思っていた。災害を治めさせ、その後國王となる息子のための地ならしとするのだと。
「それがどうした? あの愚かな兄に王位が渡らないのであれば、セシリアが王となってもよいと思っている。公が王配となるのだから、あの子を支えてやれるだろう。むしろ、息子が王となるより、そちらのほうがよいくらいだ」
ところが、ジェームズは不思議そうだ。
「王家の法に関しては……」
「基本的には男子がけ継ぐものだが、過去に王が荒廃した國を立て直したという記録もある。問題はないだろう。そういった知識に関しては、公のほうが詳しいのでは?」
「どういうことですか?」
エルヴィスが問いかけると、ジェームズは一瞬首を傾げたようだが、すぐに何か納得したように頷いた。
「公の爵位継承時にはごたごたがあったからか。王家の法そのものについては、王家に伝わるものだ。だが、それに関する知識を管理しているのは、ハワード家とローズブレイド家となっている」
「……ということは、過去の王がその後どうなったかご存知ではないのですか?」
「數年で退位したということしか知らないが……何かあるのか? もしや、妻がセシリアの王即位に反対していたのも、その関連か? 妻は詳しい理由は言わなかった。彼は私など足元にも及ばぬ國者でね。ついていけないことがあるので、あまり深追いしたくないのだよ」
苦笑するジェームズの聲に噓の響きはうかがえず、どうやら本當に知らなかったらしい。
いずれ王となる息子のためにセシリアを利用しようとしていたわけではなく、王太子を排除できればよかっただけのようだ。
ということは、ハワード家出であるマリエッタがセシリアの王即位に反対だったのは、命をめるとわかっていたためだというのだろうか。
これまで最も怪しかったマリエッタが、本當に善意だけでそうしようとしていたとは、エルヴィスには信じがたい。
しかし、塔の出り口にたどり著いたため、會話はそこで終了となった。
用意された馬に乗り、まずは第二王子の宮殿に向かうことになる。
「セシリアが送られた離宮には、妻の息のかかった侍がいる。隙を見て、セシリアを逃がす算段となっているはずだ。向こうの警備も緩んでいるといいのだが……」
首尾よく事が進めば、もうじきセシリアと會えるはずだ。
だが、エルヴィスは騒ぎがする。
塔の警備が手薄になったのは、何故だったのだろうか。それでセシリアのいる離宮の警備も緩むなど、あり得るのだろうかと、不安が募っていく。
第二王子の宮殿にたどり著くと、侍従が駆け寄ってきた。
その顔を見て、エルヴィスは騒ぎが正しかったことを知る。
「離宮から、セシリアさまが出立なさいました。急ぎ、隣國に送られるようで……」
「何だと!? 間に合わなかったのか!」
ジェームズは顔を失ってび、エルヴィスもぐっと奧歯を噛みしめながら拳を握る。
塔の警備が緩んだ理由はこれだったのか。セシリアの護送に人員が割かれたのだろう。
それも、あまりにも早すぎる。まがりなりにも王の輿れだというのに、まるで急ぎの商品を出荷するかのようだ。
「いや……待て、これは利用できる。神が遣わした聖を、己の地位可さに隣國へと売り渡す國王と王太子の所業を糾弾しろ。國を守れと、民衆を煽れ」
しばし愕然としていたジェームズだが、ふと考えついたようで冷靜さを取り戻す。
まだ顔は悪かったが、素早く侍従に命じる。
「私はセシリアを取り戻しに行きます」
エルヴィスはそう言って、背を向けようとする。
ジェームズの言い出した策は効果的だろう。の引き金となるだろうが、今さら引き返せない。それに、このままではこの國に未來はない。
もともと王位代に向けてひそかに準備を進めてきたのだ。その時期が早まってしまっただけで、勝算は十分にある。
だが、セシリアのことはそれからでは間に合わない。今すぐ追いかけねばならないのだ。
「……悪いが、兵は出せない」
苦渋の滲むジェームズの言葉に、エルヴィスは頷く。
これから國王、王太子と衝突するとなれば、武力が必要となってくる。セシリアのために兵を割く余裕はないだろう。
ジェームズにとってセシリアは、絶対に必要というわけではない。國王の首をすげ替えるのが目的で、新しい國王となれる者はセシリアだけではないのだ。
それよりも、今ここで國王、王太子に負けてしまっては、全ての目論見が泡となってしまう。
本來ならば、エルヴィスにも殘ってもらいたいはずだ。だが、引き留めようとはしなかった。エルヴィスは、それで十分だ。
「ローズブレイドの鋭たちだけ連れていきます。騎士団本隊もいずれ到著するでしょう」
護衛として連れてきた騎士たちは、エルヴィスがおとなしく連行されたため、その場で拘束されることはなかった。非常事態として行しているはずだ。
まずは彼らと落ち合うことにしよう。エルヴィスは、早速き始めようとする。
「お……お待ちください! 閣下、これを……!」
そこに、息を切らせた侍が駆け込んできた。握りしめていた紙を、エルヴィスに差し出す。
エルヴィスが紙をけ取って広げてみると、そこにはセシリアが向かうらしきルートが記されていた。
ローズブレイド公爵領となるべく離れつつ、國境に向かうようだ。
もしセシリアを隣國に送るのなら、ここを通るだろうとエルヴィスが考えていたルートと一致する。
「ありがとう。助かりました」
エルヴィスが侍に微笑むと、息の上がった彼の顔はさらに赤くなったようだ。
「どうか、お気をつけて……妃殿下が何やら恐ろしい形相で、國のためにどうのと呟いていらっしゃって……どうか、どうか……」
「お気遣い、謝します。どうかご心配なく」
震えながら祈る侍を安心させるように笑いかけると、エルヴィスは紙を懐にしまった。
マリエッタが何を呟いていたのかは気にかかるが、今は尋ねている余裕などない。
セシリアを助けに行くべく、エルヴィスは駆け出した。
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