《【書籍化進行中】斷罪された悪役令嬢は、元兇の二人の娘として生まれ変わったので、両親の罪を暴く》62.あるべきところ
「ええと……私にはセシリアという自分自とは別に、アデラインという存在の記憶があります。このアデラインを渡すことにより、あなたはここから出られるということでしょうか?」
(そう、合っている)
「アデラインを渡しても、私自……セシリアの存在に影響はないということでしょうか?」
(そう、合っている)
ここまでは、セシリアの解釈で合っているようだ。
だが、この先が々難しい。『忘れもの、一緒、空、帰れる』という言葉は、どういう意味なのかすんなりと理解できなかった。
一つずつ確かめていくしかない。
「それでは、アデラインを渡せばあなたは空に帰れて、再び閉じ込められることはないのでしょうか?」
(そう、合っている)
これはそのとおりのようだ。
忘れものとは、アデラインのことを指しているのだろう。セシリアの脳裏には、アデラインが空に飛んでいくようなイメージが浮かぶ。
「あなたと一緒に、アデラインも空に帰るということでしょうか?」
(そう。忘れもの、あるべきもの、違う。あるべきところ、行く)
これもセシリアの予想どおりらしい。
人が新しい生を得るときは、前の生の記憶を失うのが當たり前だ。それが殘っているというのは、本來あるべき姿ではないのだろう。
あるべきものが、あるべきところへ戻るだけだ。
セシリアが前世の記憶を持っていたのは、本來あり得ないことだった。
だが、もしかしたら、それは閉じ込められた彼を救い出すため、神が手助けしたのかもしれない。
わざと神が忘れものを殘し、彼を救い出して、歪な國の姿を戻すように仕向けたのだと、セシリアにはじられる。
「あなたを解放すれば、この國の加護は失われる。これは合っていますか?」
(そう、合っている)
何の揺らぎもなく、純粋に答えが返ってきた。
これが人間だったら、正直に答えれば自分の不利になるかもしれないという迷いが生じたかもしれない。
そういったものが一切なかったので、やはり彼は人間ではないのだろうなと、セシリアは妙な実を抱く。
「現在この國で起こっている天変地異は、あなたを解放すればおさまりますか?」
(おさまる。あるべき姿、戻る)
やはり、國が本來あるべき姿に戻るようだ。
國も、アデラインのことも、歪になってしまったものが、全て本來の姿に戻るだけともいえる。
「……それでは、アデラインの名前をお渡しします。どうすればよいでしょう?」
(……!)
驚愕とあふれんばかりの喜びが伝わってくる。
弾けるような笑顔が浮かんでくるようだ。
(祈って! あるべきもの、あるべきところ!)
言われたとおり、セシリアは祈る。
祭壇の前に跪き、あるべきものがあるべきところに戻り、本來の姿を取り戻すようにと願う。
ずっとこの國に利用されてきた彼が解放され、自由になれるようにと、神に祈りを捧げる。
すると、溫かいぼんやりとした何かに包まれるのをじた。
自分の中から何かが抜けていき、喪失を覚える。だが、それは寂しいながらも、優しい覚だった。
ずっと仲良くしていた姉が、自分の幸福を見つけて遠くに旅立つとすれば、このようなじだろうかと、セシリアはふと思う。
やがて、周囲を覆う空気が変わったのを、セシリアはじ取る。
もう怒りや嘆きといったはうかがえない。
広がるのは朗らかな喜びで、最初は黒くじられた部屋も今は白く見える。
「あ……」
セシリアは自分の中から、アデラインの記憶が抜け落ちていることに気付く。
これまでは頭の中に、アデラインの生涯という本があるようだった。その気になれば、いつでも引き出して好きな箇所を読めたのだ。
今は、もうそれができない。
だが、自分自の人格には影響がないようだ。これまでのセシリアの記憶も殘っている。エルヴィスへの想いも、忘れていない。
彼は解放され、あるべきところへ帰ったのだろう。
セシリアも、自分のいるべきところへ戻ろうと立ち上がる。
(空に帰るまでのしの間、守ってあげる。……エルヴィスのこと、よろしくね)
部屋を出ようとしたとき、聲が聞こえてきたような気がした。
先ほどまでのような、はっきりとした意思ではないが、そうじたのだ。
解放された彼か、それともアデラインか、あるいはその両方か。答えはわからない。セシリアの勘違いという可能だってある。
だが、溫かい気持ちに包まれたことは、まぎれもない事実だ。セシリアは微笑みながら、部屋から出るべく扉にれる。
ったときと同じく、扉はれただけであっさりと開いた。
「セシリア!」
その途端、目の前にエルヴィスが現れる。どうやら、扉の前でずっと立って待っていたらしい。
何か言う間もなく、セシリアはエルヴィスに抱き締められた。
「大丈夫でしたか? あなたに何かあったらと思うと……自分が不甲斐なく……」
セシリアを包み込む腕が、かすかに震えている。
よほど心配だったらしい。何もできないのも歯がゆかっただろう。
自分はここにいるのだと安心させるように、セシリアもそっと腕をエルヴィスの背中に回す。
「大丈夫です。命もめていません。全て……そう、あるべきものが全て、あるべきところへ戻っただけです」
セシリアは自分の居場所に戻ってきたことを噛みしめながら、エルヴィスのに顔をうずめた。
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