支店に戻るとそのまま端末に向かった。よし、やるぞ、と背びをしてカタカタしばらくやってると表の方がなんかうるさい。

「ねーねー、なんかかなり大きな火の霊の匂いがする〜」

火の霊？ ここは特に火を使う場所なんて給湯室くらいしかないと思うんだけど。喫煙所は行煙だから外だし。その給湯室も當然ながら誰もいない。私、無意識のうちに呼び出してないよね？

「どこから？」

「えーと、本の方から」

本……フロアの方だよね。どんな様子なのか見えたらいいんだけど。

「水鏡出してくれたら映像送るよ〜」

あ、はい。集中して水鏡を空中に浮かべた。映りこんだのは三人組で覆面をしてて、手には……銃。強盜か！ さっきおばちゃんが言ってた航者かなんかかな？ もー、なんなのよ、もっと大きい銀行行きなさいよ！ じゃなくて、これヤバくない？

「あ、火の霊が大きくなった」

銃聲が響いて「偽モンだとでも思ってんのか」って怒鳴り聲が聞こえてくる。先輩完全に怯えてるよねえ。何とかしたい。セクハラから助けて貰った恩返しに……係長撃たれてからでもいいかな？ ってそれはないかー。撃たれるとしても先輩か誰かが盾になった後だよね。私は意を決してドライアドに話しかけた。

「よし、じゃああれ、何とかしたいんだけど魔法で何とかならないかな？」

「んー、魔法使わなくても火の霊にお願いすれば？」

あ、そうですか。まあそれなら弾飛ばないよね。……じゃなくて！

「いや、あいつら捕まえたいんだけど」

「んー、じゃあ火の霊何とかしてくれるなら私が蔦で捕まえるよ」

よし、じゃあ渉にろう。とりあえずフロアへ！

フロアは騒然としていた。他の客は殆ど居ない。まあ日頃から店頭に來るお客さんなんてあまりいないんだけど。そんな中、三人組で目出し帽被った奴らが先輩に銃を突きつけていた。

「ねえ、火の霊さん」

渉開始だ。

「アァん？ なんだ珍しいな、姉ちゃんオレが分かるのかい？」

「まあ今朝からね。それよりも危ないからそれかさないでしいんだけど」

「言いたいことは分かるが、この炸薬ってのが味でな。口の中ではじけて止められねえんだよ」

コーラか！ まあ火の霊だけに刺激が好きなのかもしれない。ううーん、それなら……

「私作った魔力りとかどうかな？」

火薬の作り方……調べたら分かるよね？

「おお、魔力りかあ、そいつはガマンする価値がありそうだな。いいぜ、大人しくしといてやるよ」

簡単だったけど渉立だ。これで反撃開始だね！