《【書籍化】探索魔法は最強です~追放されたおっさん冒険者は探査と知の魔法でり上がる~》58.何事だ? 王都に何があった!?
「……何かあったんですかね」
「焦げ臭いな……戦闘の後か? こりゃあ」
王都への帰り道、ロノム達一行がダンジョンのあった森林地帯を抜けて街道まで戻ると、草木は踏み荒らされ黒煙がくすぶっていると言ったような狀況だった。
「人……だけではないですね……。魔のような痕跡も見けられます。何があったのでしょうか」
メルティラが踏み荒らされた跡をその手でなぞりながら言う。
「馬鹿な……ここは王都からさして離れていない街道だぞ? 魔との戦闘なんてあろうはずがない」
王都冒険者ギルドから派遣されたお目付け役、シルヴィルも怪訝そうにしながら周囲を見渡す。
「とにかく、一旦王都まで戻りましょう。事が分かるかもしれません」
狀況は分からないが、王都まで戻れば詳しい話が聞けるだろう。
ロノム達一行は王都へと向かう街道を速足で歩き続けた。
*****************************
一行が王都に続く街道の途中にある見砦まで戻ると、そこは蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。
斥候兵達がせわしくき回り、王都の騎士団が隊伍を組んで整列し待機している。
「お……おい、何事だ? 王都に何があった!?」
シルヴィルが騎士に指令を與えている甲冑姿の男に慌てながら聲をかける。
「は! シルヴィル・グレツウィル卿でありますか! 魔です。ドラゴンと思われる魔が多數現れ、ここ、見砦まで襲撃して參りました!」
「ドラゴンだと!?」
甲冑姿の男の言葉に目を丸くしながら、シルヴィルが答える。
「詳細は我が団の団長からお話させましょうか!?」
「ああ、宜しく頼む」
シルヴィルのその言葉を聞いて、甲冑姿の男は砦の口へと向かっていく。
そしてし間を置いた後に、この砦の責任者と思しき髭面の男を連れて戻ってきた。
*****************************
「漆黒のドラゴンが眷屬のドラゴンを率いて……か……」
見砦付近で、ロノムが砦の責任者である髭面の男から聞いた話を反芻しながらぼそりと呟く。
「確かにドラゴンは外で暴れる事もあるけどよ、こんな街の近くであるもんじゃねえぞ?」
ゲンさんも近くの巖に座りながら難しい顔をした。
「しかも漆黒のドラゴンが率いている眷屬もドラゴンなんですよね……大ボスがボスを率いているようなものですよ……」
ルシアも街道の方を眺めながら、不安そうにしている。
砦の騎士団長からの話によれば、漆黒のドラゴンが幾多の眷屬を引き連れて王都の領土を攻め、一時は最終防衛ラインに近い見砦まで迫ってきたとの事だった。
幸いにも王都の冒険者や騎士団の活躍によって撃退はできたようだが、なくない被害が出たと同時に王都の平和を揺るがすような事態となった。
「グレツウィル卿、王都より伝令があります。『ロノム様達アンサスランの冒険者一同にも、この事態に協力頂けるよう打診しては貰えないか?』とのことです」
用意された簡易的な椅子に腰かけているシルヴィルに対して、革鎧姿の男が駆け寄り聲をかける。
「それはやはり、シルバス様とローレッタ様の言伝(ことづて)か?」
「は! 明察の通りです!」
シルヴィルの言葉に革鎧の男がビシっと姿勢を正して答えた。
「あの方達はアンサスランの冒険者に対して何やら興(ごかんきょう)であるからな……。というわけでだ。君達にもこの件で働いてもらいたいわけだが、宜しいかな?」
苦笑いを浮かべながらロノムに問うシルヴィル。
「ええ。我々としては構いませんよね? ゲンさん、シーリアさん」
「ああ、乗り掛かった船だ。問題ねえ」
「アンサスラン冒険者ギルドとして、シルバー・ゲイルに協力の許可をお出しします」
ロノム、ゲンさん、そしてシーリアがその要請に快諾する。
「ひとまずダンジョンの報告書はゲンさん達にお渡ししておきます。俺達は一回戦闘の跡を調査してきます」
「それならば吾輩も同行しよう。吾輩とて元冒険者の端くれ、何か分かる事があるやもしれん」
ロノムがそう言ってゲンさんに報告書を渡し、シルヴィルも席から立ち上がる。
「ああ、何が起こるか分からんから、気を付けろよ」
「だいじょーぶです。無事に戻って參りますよー」
アイリスが力したような聲と共にビシっとした決めポーズを見せた後、ゲンさんとシーリアに見送られながら、ロノム達一行とシルヴィル、そして案の斥候一人が見砦を出発した。
*****************************
「このひときわ大きい足跡が、大ボスである漆黒のドラゴンのものではないかと思います、対して眷屬は思ったほど大きくはないみたいですね。いえ、魔の中では充分巨と言えますが」
ロノムがシルヴィルと共に戦場の跡を見ながら、説明する。
「ロノム隊長、かつて魔だったと思われる砂のようなものがありました。やはりダンジョンから出てきたもので間違いありません」
ルシアが砂だまりを指さしながらロノムに言った。
「やっぱりダンジョンかられ出てきた魔なんですかねぇ。これ程大規模となると他に例がない気がするんですけど、王都ではよくあることなのでしょーか?」
「アンサスランで無いのならばこの王都にあるわけが無かろう。ダンジョンの數で言えば、圧倒的にないのだからな」
アイリスの疑問にシルヴィルが答える。
「魔はダンジョンから溢れ出てきた可能が高い。そして大ボスと思われる漆黒のドラゴンは巨大だが、眷屬達はドラゴンの中ではそれ程大きくはない……と言ったところか。ドラゴン達がダンジョンに戻ったのかどうかは分からないけど、ダンジョンに潛って殲滅するにしろ外で迎え撃つにしろ一長一短だな……いずれにしろ、キーとなるのは漆黒のドラゴンと言われる存在か」
ロノムが獨りそう呟いたのとほぼ同じくらいであろうか、「ドン」と言う地響きと共に空気が揺らぎ、一緒についてきた斥候兵がもちをつきながら悲鳴を上げる。
そこにいたのは、黃金をしたドラゴン。
を眩く反する鱗に覆われ、その左目の上付近にはロノムのハンドアックスがつけた傷が殘っていた。
あの時アンサスランで対峙したものと同じドラゴンである。
「黃金のドラゴン……!」
ドラゴンはロノム達を見下ろしその上を持ち上げ大きな咆哮を上げた。
その咆哮にあわせてロノム達四人は戦闘態勢を取る。
「間違いありません、アンサスランの近くで戦ったあのドラゴンです!」
そしてメルティラの聲に呼応するかのように、黃金のドラゴンはその飛を広げ飛び立った。
「みんな、追うぞ!」
ロノムの掛け聲と共にロノム達一行はドラゴンが逃げる方へと駆け出す。
「あ、待て! お前達!! ……ええい!」
ワンテンポ遅れてシルヴィルが駆け出しながら、一緒についてきた斥候兵に聲をぶ。
「お前は見砦に伝令を! 吾輩はあのドラゴンとアンサスランの冒険者達を追う!」
「は……はい! 了解しました!」
もちをついていた斥候は命令を諾し駆け出す。
それを確認する余裕もなく、シルヴィルはロノム達を追いかけた。
- 連載中128 章
【書籍化】Fランク冒険者の成り上がり、俺だけができる『ステータス操作』で最強へと至る【コミカライズ】
5/19【書籍化・コミカライズ】決定 Fランク冒険者のティムはある日、目の前に見知らぬ畫面が見えるようになる。 自分の強さが數字となって表示されており、さらにスキルポイントやステータスポイントなどを割り振ることができるようになる 試しに取得経験値のスキルを取得すると経験値が2倍に、魔法のスキルを手にすると魔法が使えるようになった。 これまで馬鹿にされてきた主人公の快進撃が今はじまる。 4/24日間ハイファンタジーランキング1位達成 4/25日間総合ランキング4位達成 4/27週間ハイファンタジーランキング1位達成 4/30週間総合ランキング2位達成 5/14月間ハイファンタジーランキング1位達成 5/14月間総合ランキング3位達成 5/17四半期ハイファンタジーランキング5位達成
8 161 - 連載中18 章
俺と彼女と小宇宙とが織り成す宇宙人とのラブコメ
俺、菅原月兎(すがはらつきと)は転校した日にラブレター貰って、宇宙に拉致られる。 この物語の一人一人が他とはちょっと違う歪な愛を持っている。 月兎の自己愛。 マリスの全愛。 エマの純愛。 麗兎、玲浮兎の偏愛。 カリーナの敬愛・・・等々。 そんな彼、彼女達は人とは違う愛を抱えながらも自分の信じる物を必死に守り通す。 本作はそんなハイテンションSFファンタジーです。 *この作品は小説家になろうでも投稿しています
8 135 - 連載中18 章
五つの世界の神になる!?
主人公神谷皐月はトラックにより死んだ…それは神様が関わっていた!? 死なせてしまった神様は謝罪を込めて皐月を異世界に送ると言い そこから皐月の異世界生活が始まるが…能力がチート過ぎて…どうなってしまうのか!?
8 77 - 連載中53 章
すばらしき竜生!
赤羽クロトは生まれつきの特異體質の性で周囲から天才と呼ばれていた。ある日、周囲の期待に耐え切れず家出をして町の不良と行動を共にするようになる。 毎日が喧嘩の血生臭い生活だったが、クロトはそんな生活に満足し始めていた。その矢先、暴走トラックに惹かれそうになってる少女を助けて死ぬ。 そして神から新しい世界で生きる事を勧められ、クロトは一言こう言った。 「喧嘩強くてタフな種族でお願いします」
8 193 - 連載中31 章
糞ジジイにチートもらったので時を忘れ8000年スローライフを送っていたら、神様扱いされてた件
糞ジジイこと、神様にチート能力をもらった主人公は、異世界に転生し、スローライフを送ることにした。 時を忘れて趣味に打ち込み1000年、2000年と過ぎていく… 主人公が知らないところで歴史は動いている ▼本作は異世界のんびりコメディーです。 ただしほのぼの感はひと時もありません。 狂気の世界に降り立った主人公はスローライフを送りながら自身もまたその狂気に飲まれて行く… ほぼ全話に微グロシーンがあります。 異世界のんびりダークファンタジーコメディー系の作品となっております。 "主人公が無雙してハーレム作るだけなんてもう見たくない!" 狂気のスローライフが今ここに幕を開ける!! (※描くのが怠くなって一話で終わってました。すみません。 再開もクソもありませんが、ポイントつけている人がいるみたいなので書きたいなと思っています) 注意 この物語は必ずしも主人公中心というわけではありません。 グロシーンや特殊な考え方をする登場人物が多數登場します。 鬱展開は"作者的には"ありません。あるとすればグロ展開ですが、コメディー要素満載なのでスラスラ読めると思います。 ★のつく話には挿絵がついています。 申し訳程度の挿絵です 一章 0〜5年 二章6〜70年 三章70〜1160年 四章1000前後〜1160年 五章1180〜(996年を神聖歴0年とする) 《予定》五章 勇者召喚編、ただ今制作中です ●挿絵が上手く表示されないトラブルも起きていますが、運営が改善して下さらないので放置してあります。 気になった方いたら、本當に申し訳ございませんと、今ここで謝罪されて頂きます● 【なろうオンリーの作品です】 【この作品は無斷転載不可です】
8 161 - 連載中12 章
貧乏だけど、ハイスペックです!
12月24日。 クリスマス・イヴの夜。 あたりは幸せそうなカップルたちがイルミネーションを見にやってきている。 そんな中、僕は1人ボロボロだけどあったかいコートを著て路上を歩く。 お腹空きすぎてもう歩く気力もない。 あぁ、神様、どうか助けてください。 僕はこれからどうすればいいんですか? そんな最中、 「こんな寒いイヴの夜にどうしたんだ?お前は」 僕と同じくらいの歳の一人の女の子と出會った。 これは、そんな何気ない出會いから始まる奇跡の物語。 ⚠️初投稿作品でございます。 どうぞよろしくお願いいたします! 更新日が最新でないのは、投稿を予約した日が更新日となるからです。 エタっているわけではありませんし、サボっているわけでもありません。 毎週水曜18時更新です! すみません! 5話から、語り方や行間に変化がありますが、どうかお気になさらぬよう、ご理解ご協力のほどお願いいたします。
8 78