「リリアーナ、気が進まないのは分かるが、これは國王主催のパーティーであり、14歳から18歳までの未婚の伯爵家以上の令嬢は全員參加(・・・・)なのだよ。招待狀には記載されていないが、エスコートは父親か兄弟でなければならないとの事だ。これはそう、完っ全なる王子とのお見合いの為のパーティーだろう。リリアーナ？　君は私がんで出席させると思っているのかい？」

「い、いいえ。そんな事は……」

リリアーナの視線が泳いでいる。

この狀況で『ちょっとだけ思っていました』等とは口が裂けても言えない。

「リリアーナがお見合いなど、まだ早過ぎるっ！　出來る事なら行かせたくは無い。行かせたくは無いのだが、そういう訳にもいくまい。だから當日は、出・來・る・だ・け、目立たず地味目にする様に。いいね？」

「はい、お父様」

リリアーナが確りと頷くと、オリバーは満足そうな顔をして、手元の書類に視線を落とした。

それを合図にリリアーナは靜かに執務室を出て、自分の部屋へと足を進める。

◇◇◇

ヴィリアーズ家の歴史は古く、王都よりし離れた領地はなかなかに栄えている。

特産品は良質のお酒と酒粕を使った食品や化粧品等で、最近では薬草や珍しい果等の栽培にも力をれている。

過度な贅沢をしなければ、それなりに裕福な生活を送ることが出來るであろう。

當主であるオリバーとその妻であるジアンナの間には、長男のイアン（19）と次男のエイデン（14）と長のリリアーナ（16）がおり、イアンは學園卒業と同時に次期當主としてオリバーについて々と學び始めている。

リリアーナとエイデンは現在、學園に在學中である。

イアンとエイデンは父親であるオリバーの容姿をけ継ぎ、長でサラッと手りの良い銀髪に切れ長のエメラルドの様な濃いグリーンの瞳をした、男らしく凜々しい整った顔立ちをしている。

イアンは銀髪を短く刈り込んでおり、エイデンはまでの長さの髪を後ろで一つに結わえている。

リリアーナは母親であるジアンナの容姿をけ継いでおり、背は低く明るい茶い髪はゆるやかなウェーブを描き、クリクリとしたエメラルドの様な大きな瞳にぷっくりとした可らしい。

そして謙虛な(・・・)可らしい……。

見た目的には13〜14歳程に(く)見えるのだが、本人はソレをいたく気にしている。

小さくてとても可らしい見た目に、小的なイメージを持つ者が多いのだが。

決して皆の想像しているような可らしく、ただ震えるだけの小ではない。

案外ちゃっかりしているし、逃げ足は早いのである。

小説を好んで読んではいるが、現実では花()より団子な、味しい食事やお菓子をこよなくする乙(・・)である。