《【書籍化&コミカライズ】小系令嬢は氷の王子に溺される》13
私が勝手にリリアーナが恥ずかしいと思っている事をダニエルに話してしまった事で、彼の機嫌はまだ直っていなかった。
「もう二度と言わない」と謝罪したが
「……信じられませんわ」
とソファーの端っこに座り、頰を膨らませてプイッと顔を背けた。
そして彼の次の言葉に私はショックをけた。
「信じるも何も、私はコレでいいと言われて選ばれただけの相手ですもの」
ずっと、リリアーナは私が言った言葉を気にしていたのだろうか。
私はリリアーナがいいのだと、彼に伝わっているものと思っていた。
思っていたが、キチンと伝わっていないのならば、伝えていないのも同じ事なのだ。
どう言ったかではなく、どう伝わっているかが大切だったのに。
彼には伝わっていなかったという事実を今突き付けられ、私は激しく揺した。
「あれはっ、確かにコレでいいと言ったが、その後にちゃんとリリがいいと伝えたつもりだったのだが……」
違う、これではただの言い訳だ。
こんなんじゃ、彼に私の想いを正しく伝える事は出來ない。
だから、噓偽りなく、全てを君に話そう。
そして私は、彼に出會うまでを信用する事が出來なかった事。
今もリリアーナ以外のは信用出來ていない事。
確かに最初は條件さえ合えば誰でもいいと思っていた事。
けれど裏表がなくて、幸せそうにお菓子を頬張る姿を可いと思ったし、一緒にいて楽しいと思った事。
に対してそんな風に思ったのは、生まれて初めてだった事。
包み隠さず彼に伝えた。
ソファーの背もたれを挾んで、リリアーナをゆっくり後ろから抱き締めながら耳元で囁く。
「あの時リリアーナを選んだ自分を褒めてやりたいと思う。
リリアーナで良かった。リリアーナでなければ駄目なんだ」
「……本當に私だけなんですの?他の方にも言っていたりしませんの?」
し震える聲で聞いてくるリリアーナに、斷言する。
しでもその言葉で彼の不安が無くなるのなら。
「リリアーナだけだ。他には絶対に言ったりしない」
「私の目を見て、同じ事が言えますか?」
「言える」
私は抱き締めている腕を解くと、ゆっくりとリリアーナの前に立つ。
そして徐(おもむろ)に跪(ひざまず)き、リリアーナの手を取り
「私にはリリアーナだけだ。リリアーナでなければ駄目なんだ。
これからもずっと、私の隣で笑っていてしい」
手の甲にキスを落とした。
彼は口をポカンと開いたまま、瞬きを繰り返している。
「ねえ、リリアーナ?君は私を選んではくれないのかい?」
リリアーナの目は泳ぎまくっている。
ダメ押しにし首を傾げ「リリ?」と返事を急かす様に言えば、顔を真っ赤にしながらもツンとした様に答える。
「あなたの隣は私だけの特別席ですわ。他の方が座るのは認めませんが、よろしくて?」
全く、素直なんだか素直じゃないんだか。
私の婚約者は可過ぎるのだ。
私は満面の笑みを浮かべ
「構わない」
と言って、リリアーナを抱き締めた。
リリアーナは遠慮がちに、そっと私の背中に手を回した。
……言質は取った。今後何が起きようとも、彼を手離すつもりはない。
これからは私がどれだけ彼(リリアーナ)を大切に思っているかを言葉で、態度で、確りと伝えていこうと思う。
疑う気持ちが起きない程に、でてでてでまくろう。
「離さない」
私は心の中でそう呟いた。
これにてウィリアムside終了です。
明日より番外編をアップしていこうと思います。
よろしくお願いしますm(_ _)m
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