《【書籍化決定】拾ったギャルをお世話したら、〇フレになったんだが。》第121話 ギャルと作戦會議
「はぁ……さっぱり」
何度か気を失って頭打ったけど、そのおかげで無事に寢落ちせずに済んだ。……いや、無事なのか? まあいいや。
ドライヤーで髪のを乾かしていると、不意にスマホが震えた。こんな時間に誰だ? もう結構遅い時間なんだけど。
「……あ? 悠大?」
そういや、最近悠大と連絡取ってなかったな。
「もしもし、どした?」
『あ、海斗? 今大丈夫?』
「ああ、もうすぐ寢るとこだけど……何かあったか?」
こんな時間に電話をかけて來るってことは、相當な用事だろうけど……。
『何かも何も、明後日は誕生日じゃないか』
「は? 誕生日? 誰の?」
『海斗の。水曜日』
水曜日……? 誕生日……?
…………あ。
「そっか。水曜日って、俺の誕生日か」
『忘れてたの?』
「いやぁ、昨日は純夏の誕生日會だったから、そっちでバタバタしてて」
『はぁ!? 清坂さん、誕生日だったの!? どうして俺も呼んでくれないのさぁ!』
うるっさ。深夜にぶなよ、近所迷でしょうが。
まだ電話口でギャーギャーんでいる悠大だが、1分もしないうちに大人しくなった。多分、向こうでおばさんに怒られたんだろう。
『あー……ごめん、俺がこんなこと言うなんて、お門違いだよね。……それより海斗の誕生日、どうする? いつも通り、あそこ(、、、)行く?』
「……そうだな。でも今年は純夏の面倒も見なきゃいけないから、その後はラーメン奢ってくれるだけでいいよ」
『なんか腹立つ』
「緒不安定か」
その後はしだけ當日のことを話し合うと、すぐに電話を切った。
昔っから、俺のことになると気を使ってくれるんだよな、悠大は。まあ家庭の事を知ってるからかもしれないけど。
俺にはもったいないくらい、いい親友だよ。
「はん。家庭の事、か……」
そういや、あの人たち何してんだろ。……俺が心配する義理もなければ、あの人たちが俺を心配することもないだろうけど。
付かず離れず。互いに干渉しなければ、心配することもない。
家族との思い出もないし、幸せもも知らない。
けどそれ以上に、今の環境が幸せなんだよな……人生どう転ぶか、わかったもんじゃないわ。
自嘲気味に笑みを零すと、再び髪を乾かし始めた。
◆扉の外の純夏◆
え……えらいこっちゃああああああああああ!?!?
聞いちゃった! 聞いちゃったよぅ!?
明後日ってカイ君の誕生日なの!? てか、日付またいでるからもう明日じゃん!?
ま、まさかトイレに起きてきただけなのに……なんも聞いてないよ! え、マジなの!?
慌てて寢室に戻って、とりあえずソーニャ先輩に電話する。あの人ならなんか知ってるかも……!
『もしもし、キヨサカさん?』
『おー? 純夏、どったのーん?』
スマホの向こうから、ソーニャ先輩と深冬の聲がする。
そっか、深冬は今日、ソーニャ先輩の所にいるんだっけ。
「そ、ソーニャ先輩っ、明日がカイ君の誕生日って、マジですか!?」
『えっ!?』
『ん? そだよ、知らなかったの?』
「『知らない!』」
私と深冬の聲がハモる。
確かに、カイ君はあまり自分のことを話さない。
だから知らないのも仕方ないけど……私たちばかりが貰ってばかりで、カイ君に何もあげられないのは、いやすぎる。
私たちだって、カイ君に恩返しがしたい……!
意気込んでいると、ソーニャ先輩は『あ〜……』と言いづらそうな聲を出した。
『と言っても、ヨッシーの誕生日って、私も祝ったことないんだよね』
「え? な、なんで……?」
『なんか、いつも2人でどっかに出掛けてるんだよ。私もついて行きたいって言っても、どーしても連れてってくれないし』
あ……そういえば、鬼頭先輩とどっか行くって話をしてたような。
でも、いったいどこに行くんだろう……男2人で、行く場所……あ!
「え、えっちな場所とか……!?」
『かかかかか海斗くんが、いかがわしい場所に……!?』
『いや、ちゅーがん時からだから、それはないでしょ』
ソーニャ先輩が呆れた聲をらす。
た、確かにそうだよね。中學生でえっちな場所とか行かないよね。……よね?
「でも、だったらどこに?」
『わからないよ、そんなこと。聞ーても、どーにもはぐらかされるし』
男2人で、行くような場所……うーん……?
ダメだ。馬鹿な私だと、なんにも思い浮かばない。
確か2人って、小さい頃からのなじみなんだよね。私と深冬みたいに。
だとしたら、その時から2人で行く場所なんて想像もできないけど……。
あーもう! 考えたら考えるほどわからない!
ぐるぐるといろんなことを考えていると、深冬が『ならさ』と口を開いた。
『明日、海斗くんたちを尾行する?』
「え?」
『気になるなら尾行してみようよ。その方が面白そうだし、気になったままじゃ誕生日も祝えないでしょ?』
む、確かに。でもいいのかな……?
『何それ楽しそー。私もびこーするっ』
「そ、ソーニャ先輩まで……」
『いーじゃんっ。私だってずっと気になってたしさ、これを機に2人のを暴くのも楽しそーでしょ』
深冬とソーニャ先輩はノリノリだ。
うーん……ま、いっか。2人の言う通り、ちょっと楽しそうだし。
「じゃ、今日は3人でプレゼント買いに行って、明日は尾行ってことで」
『おけまるっ』
『りょーかいっ』
プレゼントかー。何あげよっかなー。
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