《快適なエルフ生活の過ごし方》特別編:疾きこと風の如く

私は海ちゃん派です。アクアマリンな海ちゃんクラブというのが某パソ通にあってな……

「はじめ!」

やる気なく対峙する私。

「スピードスターと呼ばれた俺の技、食らうがいい!」

必中技かな? とか思ってたらダッシュで近づいてくる。うん、遅い。私からは丸見えだよ。まあ火傷とかされてもあれだから私のの周りに風の鎧を著ておこう。もちろん風だから無味無臭……じゃなくて見えてない。

「突っ立ってるだけならいただきだ!」

手に持った短剣で斬りかかってきた。が、當然その刃が屆くことも無く……

「うおっ!?」

風の壁に弾かれて短剣が吹き飛んだ。ちゃんと持っとかないから。

「てめぇ、士だったか。それなら……」

斥候役の周りに風が纏わりつく。なるほど。風系の魔法が使える人なのか。

「風の壁なら風で相殺してやるぜ!」

ふむ、考え方としては悪くない。でも、それは「同程度の出力が出せるならば」ってお話。まあ先程の弾かれたのでいけると思ったのかもしれない。

「死ねぇ!」

いや、殺しちゃまずいだろ。仕方ない。風の霊さん、ちょっと頑張ってね。

「ダウンバースト」

「なっ!」

上から下に吹き付ける風に変えて斥候役の進行を阻む。この方が何やられてるかわかるだろうし。重力(グラビトン)はそういう魔法がなかった時に面倒な事になりそうだしね。

さて、それじゃあ風で抑えつけられてる斥候役のところへ行くか。

「まだやります?」

「まだ俺は負けてない!」

「そうですか。じゃあ出力アップ」

「ぐおおおおおおお」

常人なら気絶しそうなもんだけど、そこはさすが勇者と言うべき?

「まだやります?」

「ぐぐっ……俺の負けだ」

負けを認めてくれたので風を解いてやる。風の霊さん、ありがとね。

「不甲斐ねえ! 何やってんだ!」

「すまん……」

「ちっ、仕方ねえ。俺が片付けてくる」

弓兵が舞臺に進む。こっちはハルだ。

「殺さないように手加減しなさいよ。あと、正ばれると下手したら全員で討伐されかねないから」

「そしたらひとみんは助けてくれるよねー?」

「さすがに帝國滅ぼす訳にはいかないから助けないわよ。そん時はほとぼり冷めるまでどっかで寢てなさい」

「ちぇー」

小聲での會話なので聞かれてなかったと思う。実際ハルが吸鬼だとばれたら大混だろうなあ。歩き(デイライトウォーカー)だもん。

「はじめ!」

合図ともに弓兵は矢を番える。そして速。狙い誤たずハルの腕に命中……したかに見えた。その矢の刺さったところからハルのがゆらゆらとなって消えていく。

「なっ、どこに……」

「ここだよ」

弓兵の後ろに現れたハルは首筋にチョップを叩き込む。

「ぐっ、いつの間に背後に!?」

「あっるぇ? なんで気絶しないのー?」

どうやら首筋にビシッとやれば気絶するものだと思ってたらしい。いや、あれはだいぶ難しいらしいからね。あとで楓ちゃんにでも教わるといいかもよ。

「もうちょい強くやらないとダメなのかなー?」

あんたが強くやったら首の骨がへし折れるかもでしょうが!

「ぐっ、ならば!」

弓兵が再び矢を番えるが、その先に生み出されたのは炎。なるほど、火の屬持ちなのか。

「炎の矢!」

その名前はどこぞの魔法騎士(マジックナイト)さんのものだと思うけど、まあどこの世界でもありそうだしね。などと言ってたらハルに炎の矢が迫る。いや、また転移というか移すれば済むことなんでしょうけど。

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