《【書籍化】雑草聖の逃亡~出自を馬鹿にされ殺されかけたので隣國に亡命します~【コミカライズ】》幕間・偽りの聖 01
(お兄様もお父様も何をしているのかしら)
ティアラは困りきった表で、いつもは手袋に覆われている右手の甲を見つめた。
そこには魔式の刻印が刺青として刻まれている。この刻印はトリンガム侯爵家が所有する城館の地下の儀式魔陣に繋がっている。
刻印を曬しているのは、し一人になりたいと言って自分の天幕から侍を追い払ったからだ。
誰にものこの魔は、魔壇に捧げられた人間の中に含まれる魔力と生命力を治癒魔力に変換する。
その魔力は、子供の頃、火災に巻き込まれて失った両足と焼け爛れたを修復しただけでなく、他人に流せば伝説の大聖と同等の奇跡の治癒魔力をもたらしてくれた。
元々ティアラは魔力保持者ではなかった。しかし、父があの大規模儀式魔を発させた時からティアラの瞳は金を帯び始めた。
そこで魔力値を測定したところ、ティアラは父を超える數値をたたき出した。
しかし、父や兄と一緒にその後様々な検証を繰り返した結果、この魔力は儀式魔陣が代償として要求する人間のの質と量によって変する事がわかった。
大聖の力を手にれたのだ。自分自の醜い姿が治ったら、次は憧れのアベル王子がしくなった。
そのための回しや下準備をようやく終え、やっとこうして討伐遠征に參加できたというのに、昨日使い切ってしまった魔力がなかなか補充されない。
(早くマイア・モーランドのを魔陣に捧げて貰わないと。何を手間取っていらっしゃるのかしら)
ティアラは小さくため息をついた。
これまでにないくらい強力な魔力が刻印に流れ込んできたのは三日前の事だ。
何が起こったのかと疑問に思い、通信用の魔を使い父に問い合わせたら、の供給者としてマイア・モーランドを手にれたのだという。
ダグたちを唆(そそのか)し殺害して土に埋めたはずのマイアが、どういう経緯でそうなったのかティアラにはさっぱりわからなかった。しかしなぜ今彼がトリンガム侯爵領にいるのかは深くは考えない事にした。頭を使うのは得意ではないのだ。重要なのは、彼のが、他の何よりも上質なになるという事である。
安易に排除しようとしたのは申し訳なかった。利用価値があると知っていたら、消すのではなく裏に捕まえて領地に送ったのに。
(でも、きっと許してくれるわよね)
卑しい平民の孤児の娘がティアラの役に立てるのだ。相応の待遇も用意するという話だし、今は怒っていてもいずれはティアラを許してくれるはずだ。
もし許してくれなくても、ティアラの魔力を流せばいい。そうすれば彼も他の皆と同じようにティアラを好きになってくれる。
ティアラは常に攜帯している懐中時計を確認した。
そろそろ救護用の天幕に移しないといけない時間だ。でも今のままでは魔力が足りないから行けない。
魔陣にどれだけの魔力が蓄えられているかは、刻印の合いでわかる。満たされていれば金にるし、欠乏すれば黒ずんでいく。今の刻印のはかなり悪い。この狀態だと、一人か二人癒しただけで打ち止めになりそうだ。
今の月齢を考えるとまずい狀況である。魔師も聖も満月の日は最も魔力が高くなるのに、し癒しただけで魔力が盡きたとなれば怪しまれてしまうかもしれない。
(お父様に連絡を取るしかないわね)
ティアラは憂げな表で立ち上がると、通信用の魔を取りに行った。
その時である。ティアラ付きの侍のアニスが天幕の外から聲を掛けてきた。
「あの、ティアラお嬢様、ダグ卿がいらっしゃって外でお待ちなのですが……」
どうやらティアラがなかなか自分の天幕から出てこないから、待ちくたびれて迎えに來たらしい。
「し遅れると伝えて。父から連絡がっているの」
「かしこまりました」
ティアラは時間を稼ぐために平然と噓をついた。
そして通信用の魔に手をばす。
――その時だった。
「いっ……」
右手の甲に酷い激痛が走った。
何事かと思って確認すると、刻印からバチバチと火花のようなものが発生している。
(なに……?)
原因を探ろうとする思考は次の瞬間途切れた。あまりの痛みにそれどころではなくなったのだ。
「うっ、あああああああ!」
刻印から金のが迸り、火花を散らしながらティアラの全を襲った。
痛い。右手の甲だけじゃない。に包み込まれた全が痛くて痛くてたまらない。
何で? どうして? 痛い。痛い痛い痛い痛い痛い――。
「お嬢様!?」
き聲を聞きつけたのだろう。アニスが天幕の中に飛び込んできた。
そしてその場に蹲って苦しむティアラの姿を見て劈(つんざ)くような悲鳴を上げる。
「何事だ!」「ティアラ様、ご無事ですか!?」
引き続いてバタバタと何人もの人間が天幕に駆け込んできた。父が付けてくれた護衛達だ。
「う……」
しずつ刻印から迸るが収まってきた。そして全を苛(さいな)んだ苦痛も和らいでいく。
「ひっ!」
ティアラを見たアニスが再び悲鳴を上げた。
「ティアラ様、お顔が……おも……」
(かお? からだ?)
どうしてティアラを凝視して小刻みに震えるのだろう。
眉をひそめながらティアラは自分の顔にれた。そしてギョッとする。
今までにじた事の無いガサガサとしたがした。いや、それだけではなくての表面がやけにでこぼこしている。まるで皺のように。
次に自分の手の平を見たティアラは愕然とした。
水分が失われ、ガサついて皺だらけになっている。
手の甲側はもっと酷くて、黒ずんで管が浮き上がっていた。
まるで老人の手である。
いや、変化したのは手や顔のだけではない。視界にちらちらと見える耳橫の後れ。その合いが、艶のある白金からパサついた白に変わっていた。
「なに、これ……」
右手の甲の魔刻印は黒ずみ、を失っている。
「かがみを……鏡を持ってきて……」
「は、はいっ!」
ティアラの命令にアニスははっと我に返ったのか、バタバタと天幕を走り、手鏡を持ってきた。
そして鏡を覗き込んだティアラのから甲高い悲鳴が迸った。
鏡の中に映っていたのは――。
皺だらけの醜い老婆の姿だった。
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