《【書籍化&コミカライズ】創魔法の再現者 ~『魔法が使えない』と実家を追放された天才年、魔の弟子となり正しい方法で全ての魔法を極めます。貴方の魔法は、こうやって使うんですよ?~》125話 開戦
王都近郊、その一角。
一つぽつんとある小さな森と、それを囲うだだっ広い平地。
奴の拠點は、そこだ。
「……集まっていますわね」
「ええ。周囲にいる魔の數も他の場所とは段違い、そして──森の中のあの魔力」
「奴が……カルマが、あそこにいる」
準備は全て整った。
分析と対策を重ね、そのために必要なものを揃え、兵士たちの訓練も指揮系統の整理も完了した。
王都を取り囲むように存在している魔たち、他の場所の対処も他の兵士たち及びローズに任せ、一挙に殲滅する準備も整った。王都部の向に関しても、ライラたち第二王派が上手く貴族たちを使って探り、また牽制もしてくれるとのこと。
つまり。
──後は、自分達があの怪を打倒するだけ。
「準備はよろしいですか」
「はい」
「大丈夫よ」
「同じくー」
「いつでも」
聲をかけると、返ってくる応えは四つ。この場所に集中している魔たちを倒すために集まった鋭の魔法使いたち。リリアーナ、カティア、ニィナ、ルキウス。更には主にリリアーナの強化魔法によって行を共にする兵士たち、そして……
「…………」
その一角、王家直屬部隊に囲まれて。仏頂面で佇む人影が一人。
禮儀だろうと考え、とりあえず一言だけをかける。
「……ヘルク殿下も。ご參戦いただきありがとうございます、この決戦においてはあらゆる方向に手が足りない、貴方の力も必要でしたので」
「お前のためじゃない」
対する返答は必要最低限。素気なく、拒絶のも漂っているが……けれど決して悪意はない。それが正しい距離と理解して、エルメスもとやかくは言わない。
そのまま、ヘルクが続けて。
「僕が一人で奴に屆かなかった負け犬であることも、その代償で今すぐ療養が必要なであることも理解している。
……でも、それでも。僕は王族だ、屆かなかろうと誰よりも前に立って、一匹でも多く魔を屠る義務がある。誰に言われたわけでもない、僕がそう決めた。
──だから、自分のためだ」
「……殿下」
その悲痛な、けれど譲る気は一切ない宣言に。周囲に控えている王家直屬の魔法使いたちが心配そうな、案じるような視線を向ける。
……彼らの間にも、きっと自分達の知らない何かがあるのだろう。
それは軽々に踏み込めるようなものでないことも、エルメスはもう理解していたから。
「では──行きましょう」
最早、言葉は要らず。
エルメスの宣言で、全員が奇襲をかけるべく靜かに……けれど最大限の戦意を宿して、行を開始する。
「……さて」
戦端は開かれた。
既にそこかしこで兵士たち、魔法使いたちと魔が遭遇しており、先制攻撃を叩き込んでいる。
魔たちは浮き足立っている──とまでは行かないが、なくとも向こうの指揮が干渉するまではこの奇襲に対処し切ることは難しいだろう。
無論、その代償に相當前がかりに行っていることは否めない。向こうの指揮──つまりカルマが事態を察知し、適切に魔たちを配置、対処を始めれば一気にこちらが不利になる。
故に──向こうに(・・・・)対処させない(・・・・・・)。その前に取り切るのが理想。
そのために。
「では、ルキウス様」
「ああ、行こうか」
各地に散った味方の魔法使いの中、唯一エルメスの隣に殘った彼に聲をかける。カルマの位置は割れている、ならば──予定通り行きましょう、と。
頷きを返して意思疎通は完了、速やかに行を開始する。
「式再演──『無の大鷲(フレースヴェルグ)』」
まずは、ルキウスと共に空高く飛び上がる。高く、高く──限界高度まで。
それは魔に邪魔されず向こうの本拠地まで近づくためでもあるが……それ以上に、時間を(・・・)稼ぐ(・・)ためだ。
ギリギリまで高度を稼ぎ切った後に魔法を解除。空中からの魔の攻撃対処をルキウスに任せてから、意識を集中して魔法の作に全神経を注ぐ。
「式再演──『灰塵の世界樹(レーヴァテイン)』」
「式複合──『火天審判(アフラ・マズダ)』」
そうして生み出したのは、かつて北部反の初戦で使った魔法。否、魔法とも呼べない自攻撃、最大威力だけを追求しコントロールも不能だった彼にとっては魔法とも呼べない代……だが、それは過去の話。
今ならば。更なる魔法の理解が進んだ今であれば、桁外れの威力を誇るこの魔法であれもある程度の制が可能。
その技を全霊で用いて、手のひらの熱の塊を制する。気を抜くと暴れ狂いそうな真紅の化を抑え込み……さらにその先、『圧』する。
力の流れを抑え、制し、正しく最小限のロスで循環させる。その循環のサイクルを小さく、小さく。數秒の全力制ののち、僅かなサイズの凄まじいエネルギーを宿した小塊、手のひらの上の太と呼ぶべきものが完した。
それを。
更に(・・)。
「──【撃て(ミストール・ティナ)】」
『魔弾の手(ミストール・ティナ)』の遅延詠唱(ディレイ・スペル)。
その特を用いて、手のひらの上の太を魔弾に付與。
『灰塵の世界樹(レーヴァテイン)』と『火天審判(アフラ・マズダ)』の複合統魔法を、『魔弾の手(ミストール・ティナ)』に付與。
複合統魔法と遅延詠唱(ディレイ・スペル)。彼の技の粋を集め、実質三種類の統魔法を組み合わせた──ほんの僅かなサイズの紅い魔弾。
それを、エルメスは。
靜かに、眼下の森に向かって撃ち出し……著弾し。
森の一帯が(・・・・・)、消し飛んだ(・・・・・)。
音すら消えるほどの、轟。
カルマが森の何処に隠れていようと関係ない。
森丸ごとをまとめて消し飛ばしてしまえば良いという機上の空論、けれどそれを桁外れの魔法の力によって実現する。
……カルマは極めて危険な相手だ。
故に、事ここに至れば一切の容赦はできない。向こうが油斷しているならば重畳、対処を許さない超遠距離からの強力無比な狙撃で仕留めることにも躊躇しない。
だが──
「……まぁ、そう簡単には行きませんよね」
ルキウスと共に地面に著地すると同時。
焼け焦げた森の中央部から、ドン、と何者かが飛び上がる気配。そのまま一切の迷いなくこちらに飛んできて、著地し──
「──今の、最高」
あの狙撃をけて。
仕留められないどころか、けた傷もたちどころに治癒して元のしい容貌を瞬く間に取り戻し、口の端を吊り上げてそう告げる白い年。
……その規格外は、今の一幕だけでも十分に理解できて。
けれど、臆するわけには行かない。
その決意を込めて、エルメスはルキウスと並んで言葉を発す。
「……以前、言った通り」
靜かに言い聞かせるように、挑発して自分に釘付けにするように。
「ここからは、一切の出し惜しみをしません。全ての魔法を使いますので。
──好きなだけ、死ぬまでそので味わってください」
「……いいねぇ」
年──カルマは、言葉をけ更に獰猛に笑って。ルキウスとエルメス……第三王陣営の実質的な最強二人と、魔王の雛として生まれた怪が三者同時に地を蹴って。
全ての場所で、全く同時に。
決著を決める戦いが、幕を開けた。
再起編、ここから一気に駆け抜けていきます! 次回以降もお楽しみに!
それともう一つお知らせです。
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