《【書籍化】薬でくなったおかげで冷酷公爵様に拾われました―捨てられ聖は錬金師に戻ります―》対策を考えます
「あと、他國からの輸も考えている」
ディアーシュ様の言葉に、私は目をまたたいた。
「その方がいいかもしれません」
國でこっそりと生産するのにも限界がある。それよりは輸の方が、ラーフェン王國側からも「霊がないから苦労しているらしい」と見えるはず。
警戒されにくいだろう。
「ただし、輸のための代価が必要だ。そして魔の討伐をするため魔力石を必要とする狀態では、こちらの費用がかかりすぎる。対策となる案がほしい。何かあるか?」
ディアーシュ様は真っ直ぐに要求を口にした。
(私を対等な大人として扱ってくれようとしてる)
庇護するべき子供の頃は、私がやりたいことだけでいいと言ってくれていた。
魔力石は購したいものの、無理はしなくていいと。
暖石などを作った時も、まだ私を子供だと思っていたから、ディアーシュ様は生産を真正面から依頼するというよりは、私が作り出せる分だけを私が作りたいだけ買い取るという姿勢だったように思う。
でも今回は違う。
ディアーシュ様の想定するをどうにかして作ってもらいたい、または考えてもらいたいと要求している。
力量と私の知識を見込んでくれたからこそだ。
だから私は、一生懸命に考える。
「最後の輸の件については、鉱石など植以外でアインヴェイル王國から産出されるが適當だとは思うのですが……。魔力石はどうですか? 一応値の高い品ですが」
「輸相手として考えている隣國ツォルンは、平野と湖の國だ。農産の生産はできるものの、湖の魔がやっかいらしくてな。最初は魔力石でどうにかできると思うが……。霊が國からいなくなる危険を冒してでもしいわけではないだろう」
アインヴェイル王國との流が増えれば、聖アリアに目をつけられるかもしれない。
その不安を越えてでもしがる品でなければ。
「難しいですが、し考えてみます」
「よろしく頼む。お前を隠す件については……後でアガサやナディアに指示を出しておく」
「わかりました」
輸については一區切りついた。
「植を長させられる薬については、心當たりがあるので、そちらを作ってみて……」
ほんのちょっとだけ、弟子り志願をしている十人が作れるかどうかを考えて答えた。
「弟子の方々が早々に量産できるかも、考えてみます」
私が作ろうと思っているのは、農産用の栄養剤だ。本來は枯れそうな樹木の活力剤だけれど、構造や作用は魔力石に似ている。
なので魔力石が作れる弟子の皆さんなら、もうし勉強したら頑張れるのではないかと思っているのだ。
ディアーシュ様もうなずいた。
「あと弟子達に関しては、冬の間、保持のためにも公爵家の館の中に住まわせる。それでがしは守れるようになるはずだ」
長くこちらの行を匿したい以上、保持については慎重に慎重を重ねるべきだ。
「そして君のことについても、し対応を変えたいと思う。護衛などの問題で、もうし広い部屋へ変更してもらうかもしれない」
(部屋?)
護衛が今の部屋にっても、十分に広いような気がするけれど。
それとも、外からの見回りがしやすい部屋にしたいのだろうか?
わからないながらも「承知いたしました」と私は答えた。
話がひと段落したところで、ディアーシュ様がため息をつきつつ言った。
「最後に。聖が油斷している間に、聖の力をそぐ方法を試すつもりだ」
「削ぐ方法があるんですか!?」
びっくりする私に、「確証があるわけではない」とディアーシュ様が釘を刺した。
「このアインヴェイル王國で、霊に無條件にされるようになる場合、方法は限られてくる。原因を探して、それを実行してしまえば、聖もラーフェンもなぎ倒せるだろう」
倒す、と言った時のディアーシュ様の目を見て、ぞっとする。
暗く殺気に満ちていた……。
お怒りだとは知っていたけれど、ものすごく恨んでいるようだ。
ナディアさんみたいに被害をけている人もいるし、ディアーシュ様以上にアリアを恨んでいる人は沢山いるだろう。
(今後、私が上手く作の生産に役立つアイテムを作れなかったら……。そういう人が増えて行くんだろうな)
アリアが恨まれるのは別にいい。殺されかけた私も恨んでるし。
でも恨む人が増えるというのは、苦しむ人が増えることだ。飢えに苦しむ人を見るだけでも辛いのに、亡くなったらどう詫びていいかわからない。
だから、私の錬金のこと以外でも、解決する方法が見つかってくれればいい。
時間がしかかるとしても、今度はそれまでの間を埋められるを探して作ればいいのだし。
そもそも解決できるなら、それに越したことはない。
「解決方法が見つかるとうれしいです」
答えた私に、ディアーシュ様は「ああ」と応じてうなずいてくれた。
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