《【書籍化】薬でくなったおかげで冷酷公爵様に拾われました―捨てられ聖は錬金師に戻ります―》火山へ
村に、私達はもう一日滯在した。
最初に雪が溶けた畑から早くも芽が出始めたことを確認して、安心したところで、この村から旅立った。
その後は次の町、その次の村へと、マディラ前伯爵一行と一緒に移した。
同じように設置と植長剤の使い方を指導し、芽が出たところでおいとまする。
一カ月目には、アインヴェイル王國北方のマディラ伯爵家の城下町へ到著。
ここでは今まで以上の広さの畑があるので、二週間ほど滯在することになっている。
その間に……私とディアーシュ様は、火山地帯へ向かった。
――まだ朝日が昇り切らないうちに、出発する。
馬車なんてない。
ディアーシュ様と私、そしてアガサさんとカイの他に五人の騎士だけで、騎乗しての出発だ。
見送りはマディラ前伯爵のみ。
ただディアーシュ様が火山地帯へ行くだけなら、周りも問題ないと思うだろうし、堂々と出発してもいいだろう。
しかし私のような子供を連れて、魔がいる火山地帯へ行くなんて、目立ちすぎる。
なので、人に見られない時間に出発したのだ。
マディラ伯爵の館を出て、町を離れてからは、一路遠くに見える赤茶けた山々を目指す。
誰に聞かなくても、噴煙を上げる山を見ればわかる。
あそこが火山地帯だ。
「火山ってああいうじなんですね。始めて見ました」
本で知ってはいたけれど、実を見るのは初めてだ。
整備された道を離れてからの休憩時に、私はあらためて山を眺めた。
火山は地面も熱くなっていると聞く。だから冬のさなかでも雪は解けてしまうので、赤い山が見える。
そして木も草も生えないらしい。もっと言うと、火の魔力が強すぎて、特殊な植しか育たないのだとか。
「特殊な植、ほしいなぁ。きっと々使える植なんだろうなぁ、主に錬金に。赤茶の石も、なにかに使えるんじゃないかな」
ぶつぶつ言っていたら、アガサさんに笑われた。
「火山を見ると、恐ろしいと思う子が多いはずなのに、興味津々ね」
「初めてなので、もう、々知りたいことが多くてわくわくしてます!」
正直に答えると、再びアガサさんが笑う。
その橫を通り過ぎながら、ディアーシュ様が私に忠告した。
「持って帰れる量に限りがあるからな。ほどほどにしておけ」
言われて考える。
「え、どれだけ持って帰れるかな」
「とにかくご飯を済ませましょう」
アガサさんにうながされて、まだ食べていなかった朝食を口に運ぶ。
簡単にパンにや野菜を挾んだものだったけれど、味もよくてまたたく間にたいらげてしまった。
食事が済んだら出発だ。
再びアガサさんの馬に乗せてもらい、山道を進んだ。
山道は、途中まではそれなりに踏み固められた道があった。近隣の人々が立ちるからだろう。
冬なので雪が積もっているものの、積雪は深くない。
けれど晝になる頃、その道も消えてしまう。
し広場になった所で晝食を口にした後、今度は道なき道を進むことになる。
先頭はディアーシュ様だ。
「ディアーシュ様は、何度もこの火山に來たことがあるんですか?」
道を知っているから、先頭にいるんだろうと思って、私はアガサさんに尋ねた。
「ええ。何度も來ているわ。おそらく私達の中で、一番道をよく知っている方よ。だからマディラ伯爵家とも流があって、リズの分のことについても、口裏を合わせてもらいやすかったのだけど」
そういう事があったのか。
マディラ前伯爵がディアーシュ様の事をよく知っていたのも、ディアーシュ様と何度も會ったことがあるからだったのか。
「予定通り、山の中で一泊することになるわ。その後は歩きになるから、なるべく私によりかかって、楽にしていてね」
アガサさんの配慮に、有難く甘えることにする。
なにせ私は鍛えてもいないし、貧弱な子供のだ。同じペースで気を張っていたところで、疲れるだけで肝心なところでけなくなってしまう可能が高い。
足手まといにだけはなりたくない。
なにより、けなくなっては、肝心の採取に支障をきたしてしまう。
だから私は目を閉じた。
そうでもしないと、周囲に生えている、山のふもとでは見たことがない、たぶんこの火山の固有種なのだろう植なんかが気になってたまらないから。
(いつかきっと、あの植を全部調べて、錬金に使えるかどうか確認したいな)
野をにめつつ、數時間後、山に木が生えている箇所の端まできたところで、馬を降り、野営をした。
「ここから先は、徒歩だ。ひと晩しっかり休んでおけ」
ディアーシュ様の指示にうなずきつつも、不思議に思う。
赤茶けたその先は、馬でも十分に進めそうに見える。雪もなく、草だけがまばらに生えていて見通しもいいし、道もきちんと踏み固められているようなのだけど。
「木が生えていない火山地帯は、魔力が濃すぎるのか、馬が怯えてしまうのよ」
アガサさんが親切に教えてくれた。
「それで徒歩なんですね」
怯えた馬に乗るのは危険すぎる。歩いて行くのは當然だ。
(それにしても魔力が濃いとは)
「何かアイテムを作ったらよさそうな場所……」
つぶやいたら、アガサさんや耳にした騎士達に笑われ、ディアーシュ様には呆れた表をされたのだった。
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