《【書籍化】生贄になった俺が、なぜか邪神を滅ぼしてしまった件【コミカライズ】》ウサギの好は虹ニンジン
「さあさあ、こっちなのですよ」
村の連中に生暖かい目で見送られた俺たちは人里に辿り著くことを目的に森を歩く。
「本當にそんな野菜があるの?」
張り切って前を歩くマリーをセレナは眉をひそめてみる。
「あるのですよ。しばらくここに戻ってこないなら収穫していくべきなのです」
俺たちは現在、マリーを先頭に歩いていた。それというのもマリーが激レア野菜である虹ニンジンのありかを知っているというからだ。
虹ニンジンとは錬金の材料に使える高級野菜で、街の外を歩いていると本當にごくまれに1本だけ生えていることがあるレアアイテムだ。
ポーションなどの効果を格段にアップさせることができる材料な上、普通に調理しても至高の味わいの為、錬金士とグルメマニアの間で時に奪い合いが起こる。
そんな食材の群生地をマリーが知っているというので、迷いの森を出る前に採りに行くのが今回の騒の発端である。
「主人さまのストックがあればこそぎ回収できるのです。旅をするからには味しい料理を食べるに越したことはないのですよ」
マリーは目のを変えながら進んでいく。今はウサギの獣人だからニンジンが好なのだろうか?
しばらく黙ってついていくと、開けた場所にでた。
「あったのです。ここなのですよっ!」
マリーは元気な聲を出すと駆けていく。その先には紫の葉っぱが地面に埋まっていた。
「よいしょっと!」
マリーはそのの1本を引っ張ると地面から虹をしたが現れた。
「ほ、本當に虹ニンジンだわ!」
セレナが驚き聲をあげた。
「さあ、主人さま。マリーが採ったこれを食べてしいのですよ」
マリーは俺に近寄ると褒めてしそうに耳をパタパタさせている。
「ありがとうな。マリー」
俺はそんなマリーの頭をでてお禮を言うと虹ニンジンを食べようとするのだが。
「待ってエルト。今水を出すから……」
セレナは水の霊に命じ虹ニンジンを洗ってくれた。泥がとれたニンジンの水気を飛ばす。
「じゃあ、いただくよ」
初めて食べる高級レア食材。俺はセレナとマリーが見守る中ニンジンをかじった。
「……味い。野菜とは思えない甘さだな。新鮮だし、すっきりした味わいはこれまで食べてきたどのニンジンよりも上だ」
「マリーも食べるのです。味しいのです」
「あっ、ずるい。私も…………。味しいわね」
2人も口に含んだ瞬間に幸せそうな顔をしている。どうやら気にったようだな……。
「もしかしてここ一面全部が虹ニンジンなのか?」
森の中にこれ程の広さの平地があるのも驚きだが、見渡す限りに紫の葉っぱが広がっている。
「なのです! ここは全部採集していくべきなのですよ」
「そうね。私もこれ好きだし採っていくべきよ」
すっかり意気投合した2人。どうやら味しいを食べると連帯が生まれるらしい。
そうだな、次にいつ手にるかわからないのだから今のうちに回収しておくことにするか。
急いで人里に出たいところだったのだが、結局俺もこの食材が気にった。
3人でその場の虹ニンジンを採りつくすのだった。
・虹ニンジン×16969
【書籍化・コミカライズ】誰にも愛されなかった醜穢令嬢が幸せになるまで〜嫁ぎ先は暴虐公爵と聞いていたのですが、実は優しく誠実なお方で気がつくと溺愛されていました〜【二章完】
『醜穢令嬢』『傍若無人の人でなし』『ハグル家の疫病神』『骨』──それらは、伯爵家の娘であるアメリアへの蔑稱だ。 その名の通り、アメリアの容姿は目を覆うものがあった。 骨まで見えそうなほど痩せ細った體軀に、不健康な肌色、ドレスは薄汚れている。 義母と腹違いの妹に虐げられ、食事もロクに與えられず、離れに隔離され続けたためだ。 陞爵を目指すハグル家にとって、侍女との不貞によって生まれたアメリアはお荷物でしかなかった。 誰からも愛されず必要とされず、あとは朽ち果てるだけの日々。 今日も一日一回の貧相な食事の足しになればと、庭園の雑草を採取していたある日、アメリアに婚約の話が舞い込む。 お相手は、社交會で『暴虐公爵』と悪名高いローガン公爵。 「この結婚に愛はない」と、當初はドライに接してくるローガンだったが……。 「なんだそのボロボロのドレスは。この金で新しいドレスを買え」「なぜ一食しか食べようとしない。しっかりと三食摂れ」 蓋を開けてみれば、ローガンはちょっぴり口は悪いものの根は優しく誠実な貴公子だった。 幸薄くも健気で前向きなアメリアを、ローガンは無自覚に溺愛していく。 そんな中ローガンは、絶望的な人生の中で培ったアメリアの”ある能力”にも気づき……。 「ハグル家はこんな逸材を押し込めていたのか……國家レベルの損失だ……」「あの……旦那様?」 一方アメリアがいなくなった実家では、ひたひたと崩壊の足音が近づいていて──。 これは、愛されなかった令嬢がちょっぴり言葉はきついけれど優しい公爵に不器用ながらも溺愛され、無自覚に持っていた能力を認められ、幸せになっていく話。 ※書籍化・コミカライズ決定致しました。皆様本當にありがとうございます。 ※ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。 ※カクヨム、アルファポリス、ノベルアップにも掲載中。 6/3 第一章完結しました。 6/3-6/4日間総合1位 6/3- 6/12 週間総合1位 6/20-7/8 月間総合1位
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