《【書籍化】生贄になった俺が、なぜか邪神を滅ぼしてしまった件【コミカライズ】》アリスの相談
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8/29日に3巻が発売しました。
2巻からはWebとは別ストーリーになっています。
もしまだ読まれていない方は、是非本の方も読んでもらえると嬉しいです。
「それで、ローラのことで話って?」
目の前のカップには紅茶が注がれており湯気を立てている。
俺が見よう見まねでやってみたのだが、茶葉の量やお湯の量が解らずかなりいい加減になっている。
アリスはそれに口を付けることなく俯いているのだが、意を決して顔を上げる。
「実は私、妹に嫌われてるみたいなのよ」
その言葉に俺は意表を突かれる。
「どうして、そう思ったんだ?」
「そんなの見ればわかるじゃない。顔を合わせればああして文句ばかり言ってくるし、話し掛けても最低限の言葉しか返してこないし」
「それは……何かローラに酷いことをしたとか、思い當たる節は?」
まさか、アリスからローラと同じようなことを言われるとは思っていなかった。
俺が確認すると、彼は口元に手を當てて考え込む。
「ローラなんだけど、つい最近までグロリザルに留學させていたのよ」
「ああ、その話なら彼から聞いているよ」
グロリザルでの験を々語ってくれたので、俺自もグロリザルを見て見たくなったくらいだ。
「妹がグロリザルに留學になったのは父と、主に私の要によるところが大きいの……」
アリスは瞳を揺らすと俺を見る。
「多分そのことを恨みに思っているだと思うの……」
そうなのだろうか?
先程話した限り、ローラは留學について特に不満を口にしていなかった。
むしろ、自分がアリスに嫌われていることを気にしている様子だったのだが……。
「それ、一度、ローラと話し合ってみた方がいいんじゃないか?」
「無理よ、だってあの子と二人きりになったら言い爭いをするに決まっているもの」
先日、怒鳴り合っていた二人の様子が浮かぶ。
確かに、あの時のアリスもローラも、普段と違って的というか、冷靜ではなかった。
「第三者をえて話をすると良いかもしれない。アリシアとかに間にってもらったらどうだ?」
アリシアは聞き上手で、よく周囲の喧嘩を収めていた。彼がることで多なりとも冷靜に話をすることができるのではないだろうか。
「うん……」
アリスはギュッと拳を握り締める。
「それでもでも駄目だったらもう一度相談に乗るからさ。俺はアリスもローラも友だちだと思ってるからな」
そろそろ時間も遅い。あまり長く二人きりでいると良からぬ噂が流れかねない。
俺はアリスにそう言うと、彼を部屋へと戻すのだった。
「どうした、エルト。もう降參か?」
俺はレオンとボードを挾んでゲームをしている。
マス目には戦士や魔道士などの駒が並べられており、どう見てもここからの盛り返しは厳しい。
ローラが頑張ってくれたお蔭で初類の確認も終わり、時間に余裕ができたところ、レオンが遊びにきたので何となくゲームをしていた。
「いや、ちょっと悩んでてだな。どうすればこじれた関係って元に戻せるんだろうか?」
「なんだ、自分が囲っているハーレムの間でめ事でもおきたか?」
レオンは楽しそうに顔を近付けると「ここだけの話にしておいてやるから話して見ろ」と言ってくる。
「明らかに楽しんでるよな?」
俺はじっとりとした視線を向けるとレオンを非難する。
「それはもう、他人のハーレムのめ事ともなれば楽しいもんさ」
「一応言っておくがハーレムではない」
アリシアとセレナに告白されてはいるが、今の俺にはが解らない。どちらも大切なので、手を出すなんてありえないのだ。
「仮に二人のが険悪に爭っているとして、レオンならどうやって仲を取り持つ?」
話に聞く限り、レオンはこの手のことに慣れていそうだ。
「俺か、俺なら落ち著いた場所で二人に腹を割って話させるね」
「というと?」
俺が質問をすると……。
「そりゃ勿論、バカンスだよ」
駒をかし、王を倒すとそう言うのだった。
「えっ? 旅行に行くの?」
「私は構わないけど、唐突ね?」
レオンに相談した翌日。俺はセレナとアリシアを呼び出すと二人に提案をした。
「最近、グロリザル王國のレオン王子と親しくなってな。彼の國にある北海と呼ばれる海の近くの別荘に招待されたんだ。今の時期は新鮮な魚介類も摂れるらしく、それらを振る舞ってくれるらしいんだ」
「新鮮な魚介類……楽しそうね」
セレナは生まれてこのかた森から出たことがなかった。
初めて街に出て、酒場の魚料理を食べて以來、その手の料理に興味を持っている。
新鮮な魚介類と聞いて興味を惹かれていた。
「後は王族専用のプライベートビーチもあるらしくて、開放的な気分で海水浴ができるらしい」
「確かに、最近ちょっと疲れ気味だからゆっくりしたかったんだけどね」
セレナもアリシアも綺麗なので、茶會のいや男からのいも多いらしい。
「ということは……」
「私は行きたいわ」
「私もエルトと一緒なら行く」
俺は二人の了承を取り付けるのだった。
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