《【WEB版】劣等賢者のケモノ魔法革命〜「獣人は魔法が使えない劣等種だ」と宮廷魔師から追放されたけど、弟子とFランク冒険者を満喫してたら、いつの間にか最強の魔法學院ができていた〜:書籍化+コミカライズ》33.賢者様、アレのきをするスライム退治にめっさ苦戦する

「な、な、なんじゃこりゃぁあああ!?」

鼻歌じりにスライム退治の丘に向かうと、目の前の景に度肝を抜かれることになった。

明のゼリー型モンスター、スライムがいるのだ。

いや、いるなんてものじゃない、めちゃくちゃな大量発生である。

直徑15~30センチぐらいのスライムで丘一面がスライムで覆われており、生い茂った緑の草を食いつくそうとしていた。

「この草は牛さんが食べるものなんですよっ! 先輩、この邪悪なる使途をやっつけちゃいましょう!」

ライカはスライムに親でも殺されたってのかってぐらいの勢いである。

確かに牧草を食べられちゃったら、酪農家の人は困っちゃうよね。

早々に駆除しなきゃダメだ。

「おぉっ、お前たちも加勢にきてくれたのか!」

「やばいだろこれ、頑張ってくれよ!」

私が呆気に取られていると、先に依頼に參加していた冒険者數人が挨拶に來てくれた。

Dランクの先輩冒険者らしいが、気のいい人達だ。

牧草地には彼ら以外にも冒険者の姿が見える。

皆が皆、自分のやり方でスライムをやっつけているらしい。

「それじゃ、ライカ、やっつけちゃおう!」

「はいっ! 頑張ります!」

そんなじでのスライム退治スタートである。

この時、私は、スライムなんて弱い魔の駆除はすぐに終わるだろうと思っていた。

正直、甘く見ていた。

しかし、駆除作業にった瞬間、私は気づいたのだ。

スライムのきの恐ろしさを。

奴ら、ぷよぷよのに似合わず、かさかさくのである。

そのきはランダムそのもので、完全に靜止した狀態からどぎゅんとダッシュしたりする。

あー、やだやだ、こいつのき、あれにそっくりじゃん。

こいつが黒だったり茶だったり足が生えてたりしたら、私、帰ってたと思うよ。

うぅう、想像しただけであれに見えてくるし、依頼をやめて帰りたいんだけど。

「えいっ、やぁっ、とぉおりゃああ!」

ビビっている私とは対照的にライカは杖でびしばし奴らを駆除している。

凄いよ、この子、まじで尊敬する。

正直、ライカに任せて高みの見を決め込みたいけど、彼の師匠としてカッコ悪いとこを見せるわけにはいかないよね。

「ええい、待て待てえええっ!」

というわけで、私もナイフ片手に奴らを追いかける。

私はナイフや短剣ならば一人前に扱えるのである。

「に、にぎゃあああ!?」

しかし、つぷっ、つぷっとやっつけていくと、事件は起こった。

やつが飛びやがったのである。

しかも、こっちに向かって!

この時、私の頭の中には嫌な思い出がフラッシュバック。

どうしてあいつらって追い詰めるとこっちに向かってくるの!?

あぁ、もうやだ、おうちに帰りたい!!

つぷつぷつぷっ……

「はぇ……?」

驚きすぎてしりもちをつくと、そこにもやはりスライムがいた。

の下でゼリーが潰れる覚。

ちっきしょう、やっちまったよ、せっかくの布の服が汚れちゃったじゃんよ。

せっかくセールで買ったやっすいやつなのにぃ!

「先輩、さすがですよっ! 確かにでつぶした方が楽ですねっ! 私もやっちゃいますよ!」

ライカは「えいえい、このこの」などと言いながら、足でやつらを潰し始める。

やたらと満面の笑みであり、ちょっとサイコパスな空気すら醸し出す始末。

私はおけないり気をじたまま、ライカの狂気的な活躍を眺めているのであった。

目の前にはうんざりするほどの大量のスライム。

他の冒険者がいる手前、大規模な魔法も使えない。

私は目標に狙いを定めて無にナイフを振り下ろすだけである。

そうだ、自分が魔導機械になったと思えばいいのだ。

「目標を発見して、ナイフ……目標を発見して、ナイフ……目標を発見して、ナイフ……」

つぷつぷと単純作業をやっていくと、心が凍っていくような覚になる。

私ってこういう作業がてんで向いていないんだなぁって実

そりゃあ、アレそっくりなきをする奴を潰す仕事なんて心が死ぬに決まってるけど。

「せ、先輩! 目が死んだ魚の目になってますよっ!?」

ライカの心配そうな聲で、私ははっと我に返るのだった。

「あれ?」

そんなおり、私の視界にとんでもない現象が飛び込んでくる。

分裂したのである。

スライムが。

うわ、最悪だよ、アレそっくりのきをするやつが分裂するだなんて。

「スライムは勝手に増えるってこういうことなんですねぇ、えいやっ! でもでも、すぐにやっつけられるし、時間があれば大丈夫ですよっ! どぉりゃ!」

ライカは杖を振り回しながら、相も変わらず笑顔のままだ。

しかし、である、そんな悠長なことを言ってられないのである。

ここにいるスライムの分裂スピードはめちゃくちゃ早いのだ。

たぶん、10分ぐらいで一つが二つに分裂してるんじゃないだろうか。

「この量のスライムが次から次へと分裂しちゃったらどうなると思うかね?」

「……丘が占領されるどころの騒ぎじゃなくなるんじゃないですか? ひぇえええ」

ライカもこの事実のヤバさに気づいて、顔を青ざめさせる。

そう、あとひと月もすれば國全がスライムで覆われる可能だって出てくる。

國家の存亡の危機ってやつなんじゃないの、これ。

いや、それどころか大陸中がスライムに埋め盡くされる可能だってあるでしょ。

ひぃいい、人類滅亡の危機!?

「お師匠様、見てくださいよっ! 私がこれだけ頑張ったのに、ほとんど減ってないですよ!」

驚愕の事実はまだまだ続く。

我々があんだけ頑張ったのに、全然減ってないのである。

ふぅむ、スライムスレイヤーさんってこんなにヤバい生きを狩っていたんだなぁ。

だって、アレのきをする奴が分裂までしちゃうんだよ。

マジで尊敬するよ、心のどこかで舐めてました、ごめんなさい。

「面白かった」

「続きが気になる!」

「あれのきをするスライム……」

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