《【WEB版】劣等賢者のケモノ魔法革命〜「獣人は魔法が使えない劣等種だ」と宮廷魔師から追放されたけど、弟子とFランク冒険者を満喫してたら、いつの間にか最強の魔法學院ができていた〜:書籍化+コミカライズ》36.魔法革命:ライカちゃん、ついに魔法を発させる

「これで終わりですぅううう!!」

ひゅぽおんっと暴風から抜け出してきたスライムの一群にライカが走る!

の強靭な足腰ならば、スライムなんぞ瞬殺だろう。

魔法を唱えようとしなければ、だけど。

しかし、ここで事件が起こる。

「あうっ!?」

ライカは足元をらせてバランスを崩したのだ。

ぬかるんだ地面を走っているから當然ありうる。

とはいえ、これで転んだらどろんこだらけになっちゃうよ!?

ひぃいい、ひどい泥汚れは取れにくいっていうのに!

「どおぉりゃあああっ!!」

ところが、ところが!

ライカはなんとか持ち直し、ぐるるんっと回転しながらジャンプするではないか。

その回転たるや凄まじい!

の姿はまるでドリルのように変化する。

しかも、その回転を維持したままスライムにつっこむ!

しゅばばばばばば!

「でりゃあああ!」

の掛け聲とともにスライムたちはどんどん數を減らす。

めちゃくちゃな能力に舌を巻く私。

いや、それだけじゃない。

ライカの発生させた回転から魔力が吹き出しているのだ。

その証拠に彼の背後に、柴犬がぶるぶるぶるっと首をドリルのように回転させている姿が見える!

その勇姿、まさしく犬魔法の証だよっ!

そう、彼は今、魔力をドリルの形に変化させる魔法を発させているのだった。

だいぶ削りだけど、魔法って言っていいはず。

これが世界で初めての犬魔法だよ!

「ライカ、すごいじゃん! 今のが魔法だよっ!」

回転を終えて、地面にへたり込むライカに走り寄る。

生まれて初めての魔法の出現に気絶したっておかしくないはず。

「ありがとうございます! おばあちゃんの飼ってた、ぽんちゃんのきを真似したんです。名付けて、犬魔法【柴(しば)ドリル】ですぅ……」

ライカはぜぇぜぇ言いながらへたり込むも、自分の魔法について教えてくれる。

なるほど、昔、飼っていた犬との思い出をもとに作ったんだね。

それだよ、それ!

そういうのを待ってたんだよ!

「すごいよ、ライカ! 君を誇りに思うよっ!」

「お師匠様ぁああああ!」

あまりのに抱き合う私たち。

ここにおそらく世界で二番目の、獣人の魔法使いが現れたのだ。

しかも、ライカは純の獣人。

これは歴史を揺るがすほどのすっごいことである。

「お嬢ちゃんたち怪我はないか?」

「ラッキーだったなぁ、雷が落ちてギガスライムが自滅するなんてよぉ」

私たちが涙ながらに抱き合っていると、他の冒険者も私達をねぎらってくれた。

バレなくてよかった。

「犬人のお嬢ちゃんの回転ジャンプ、すごかったぜぇ?」

「あはは、犬が水滴弾くのと同じ要領で敵を倒すなんてなぁ!」

一方でライカの活躍はしっかりと目撃されていたらしい。

あのドリルはれっきとした魔法なのだが、彼らからすると犬がぶんぶんを振るうのと同じに見えたらしい。

いや、正直、私にもそう見えたけど、魔力が出てたんだよ。

柴犬の霊の姿が見えなかったのかな。

「違いますよっ! あれは私の犬魔法、【柴(しば)ドリル】なんですっ!」

ライカは冒険者に抗議するも、「はいはい」「柴ドリルじゃん?」などと軽くあしらわれる。

くぅっ、確かに今のを魔法だって証明するにはちょっと弱いかもしれない。

見た目は犬のやつにそっくりなんだものなぁ。

今後への課題をじていると、私は背後に異変をじる。

カサカサ……

振り返れば、嫌な気配を発するやつが通り過ぎていったのだ。

「あっ、お師匠様、赤いスライムが逃げていきましたよっ!?」

「でぇええ、うっそぉお! まだいたの!?」

奴がまだ生きてやがったのだ。

ライカの言う通り、逃げていったのは赤いのスライムで結構目立つ。変種というやつだろうか。

そいつは猛烈なスピードで逃げていきやがったのである。

最後の一匹とは言え、分裂されたら厄介だ。

私たちは急いでスライムを追いかける。

あんにゃろう、こうなったら丘ごと焼き払っちゃうぞ、このやろう。

しかし、私が牧場を崩壊させることはなかった。

そのスライムの結末はあっけなく訪れたのだ。

「きゃっ!?」

から現れたの子が赤いスライムをもちで潰したのである。

私もライカも、他の冒険者もこれには大歓聲!

偉い、よくやった、すごい!

ナイスしりもち!

の子のもとに駆け寄って、拍手を送るのだった。

【ライカの犬魔法】

柴(しば)ドリル(初級):ライカの祖母が飼っている柴犬のきを參考にして開発された犬魔法。を高速で回転させ、破壊力のあるドリルを出現させる。ぶるんぶるんっと揺れるさまを見ているだけで、非常に和むが、近づくと弾き飛ばされる。発時には背景に柴犬様の魔力幻影が現れるが、原理は不明。

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「ライカ、ついに覚醒!!」

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